ひまわり博士のウンチク

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市来とも子「新春懇談会」

2013年02月17日 | 国際・政治
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 16日土曜日、区会議員市来とも子氏が主催する新春懇談会に参加した。
 メインは福島県で反原発運動をしている武藤類子さんの講演である。
 
 先日、市来氏が我が家に来て、この会への参加を要請された。そのときには、区長の出席はないということだったが、突然現れた。毎度のことながら予定の時間を大幅にオーバーして、30分ほどスピーチして帰った。

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 急遽参加した田中良杉並区長。
 
 主な話は、姉妹関係にある南相馬市に、杉並区としてどんな支援を行ってきたかについての報告で、ことさら新しい情報はなかったが、いくつか興味深い話を聞いた。
 
 国が定めた退避圏についてである。
 原発から半径20キロ圏内は、自衛隊によって強制退避となった。そして、20~30キロ圏は屋内退避とされていたことは周知の通りである。問題はその20~30キロ圏内に済む住民の避難である。
 ライフラインは途絶し、家から出ることも出来ず、生活できない。自衛隊が住民を30キロ圏外に退避させることは任務外だという。バスで避難させようとしてものの、バス会社は、住民が30キロ圏外まで出てくれば避難場所まで送るという。
 要請があり命令がなければ動かない自衛隊の融通のなさが現れた例である。
 結局、杉並区が災害時相互援助協定を締結している群馬県東吾妻町、新潟県小千谷市などに物資の提供や避難民の受け入れを要請して、住民を避難させることが出来た。
 災害時に大切なのはスピードと支援だという。
 海で溺れそうな子どもがいたら、助けられる人がすぐに助けに行くだろう。親の要請を待ってレスキューが出動するなどということはない。
 かかった費用はどうするのか、それが決まらないと動けないというのもおかしい。それは助けた後の話だと。
 そういう考え方をしていた松下政経塾出身の首長を、「松下政経塾は何の価値もない」と、かつての区長を批判すると会場から拍手が沸いた。
 
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 武藤類子さんの話は大変わかりやすく勉強になった。現地に住んでいないとわからないことが多々ある。
 水素爆発を起こした4号機の写真を見せられた。事故後かけられたカバーが度重なる余震で破損し、天井がむき出しになっている。事故当時稼働していなかった4号機は、炉内に燃料棒はなく、燃料プールに格納されている。しかし、今後大きな地震があれば崩れる可能性があり、それに対して東電も国も対処はしていないらしい。 
 
 福島県内には、各所に測定器が設置されている。ところが、そこに示される放射線量は必ずしも正確ではないそうだ。設置前に周囲を除染し、さらに、センサー近くには測定器を稼働させるための太陽光パネルと蓄電池がおかれ、それらによって、放射線がセンサーに届くのを妨害している可能性が高いというのだ。
 
 国や自治体は、被害を出来るだけ小さく見せようとする。それが住民の健康被害を拡大させている。
 
 武藤さんは、除染作業も信じられないという。1軒の家を除染しても、他の家の屋根や森林に積もった放射性物質が飛散し、数日すると元に戻ってしまうのだ。集められた汚染土や廃棄物などの行き場がなく、住宅の脇に積み上げられたままだという。当然、そこからは放射線が出ているわけで、危険きわまりない。
 
 最後に、農産物や海産物の汚染についてうかがった。
 福島県産の農産物は、場所によって汚染度は異なるが、出荷されているものに関しては安全だという。しかし、福島県産の農産物に対し、「風評被害」があるという表現は当たっていないとも語った。あれは「実害」であると。
 風評とは根拠がないのに危険物呼ばわりさせることだが、福島県産の農作物の中には実際食べると健康を害するものがあるのだから、「実害」なのだと。風評被害という言葉は、原発推進派が被害を小さく見せるために流布した言葉で、それこそ風評被害だと。
 
 海産物は、水揚げされた所が産地になる。福島で水揚げされた魚介類は、現在でも出荷停止だ。しかし、回遊魚などは福島沖を通っているかもしれないし、そうでないかもしれない。だから、「福島産」の魚介類を何もかも禁止するのはどうかと思うとも。禁止するのなら、日本の近海で捕れた魚介類はすべて禁止すべきなのだ。
 
 そして、福島にはもう住めないと思われる場所が実際にある。そういう場所を明確に示してほしいとも語った。
 だが、住民の中には、いずれは戻りたいと考える人が少なくない。チェルノブイリにも危険地域に居座る人がいる。わかっていてそこに居座るか、わからないで被害を受けてしまうか、それは大きな違いなのだ。
 
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 帰りに武藤さんの著書を買って署名をいただいた。森住卓さんの写真があしらわれた、オールカラーの美しい本だ。
 遊べないように束ねて縛り付けられた保育園のブランコの写真が、いたいたしい。
 
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