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ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

「10%」の価値とは

2010年07月14日 | 国際・政治
 民主党が大敗した。まあ、当然だと思う。
 普天間・辺野古の基地問題は、結局自民党時代に逆戻り。
 この不況のさなかに消費税アップを持ち出す。
 評価が下がらない方が不思議だ。
 
 民主党は基本的に保守なのだから、根源は自民党と同じ。
 ぼくは最初から過剰な期待はしていない。
 ああ、やっぱり、と思うだけだ。
 
 消費税を10%上げるということが、国民にとってどういうことなのか、議員たちはおそらく本当にはわかっていない。
 
 杉並区に「なみすけ商品券」というのがある。アホ山田区長が仕掛けた一時しのぎの子供騙しだが、1万円で千円得するこの商品券を買うのに行列ができ、たちまち売り切れた。
 庶民にとって、「10%」とは行列を作るほどの価値があるのだ。
 
 買い物をするとたまるポイントカードは、1%から5%だ。それでも庶民は必死でためる。
 政治を司る人たちは、そうした事実を知らないのだろう。いや、知っていても、わずかばかりの特典に血道を上げるのか不思議に思っているか、そういう庶民をばかにしているのかもしれない。
 
 電気代をどうやって払おう、月末の支払いをどうしようと苦労しっぱなしの庶民の気持を逆なでするように、消費税の話を持ち出すなど、意識レベルが低すぎる。
 石橋湛山や浅沼稲次郎の清貧を学んで欲しい。
 10円でも安く買い物をしようと、隣町のスーパーまで自転車を跳ばす主婦の気持を理解して欲しい。
 
 同じことが沖縄の基地問題にもいえる。
 沖縄の庶民の気持を実感として捉えていない。
 というより、沖縄の人々を理解することを避けているかのようにさえ感じられる。
 
 平和祈年式典で、日米同盟が大事とばかり、沖縄への負担を「感謝」の一言ですました、菅総理の実感のなさには呆れる。
 国会議事堂の中で安穏と過ごす輩の頭上に、米軍のヘリは落ちてこない、娘や息子が米兵に乱暴されることもない。
 だから実感がない。
 
 鳩山前総理は、「学ぶほどに海兵隊の抑止力の重要性がわかった」という。
 しかし、何がどう重要なのか説明がない。
 
 もうすこし、国民との間の温度差のない人間が政治家になる必要があるのではなかろうか。
 
 それにしても、消費税のことは自民党も同じことを言っているし、約束を守らないことは民主党以上だ。
 それなのに有権者の支持は、民主党から自民党に逆戻りする。
 自民党の亜流の「みんなの党」なるわけのわからない政党に票が集まる。
 日本は国民も意識レベルが低い。
 
 みんなの党?
 「みんな」ってだれとだれだ? 名簿を提出しろ。
 少なくとも、ぼくはその「みんな」の中には入っていないぞ。
 入りたくもないが。
 
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第8回「沖縄と結ぶ杉並集会」

2010年06月13日 | 国際・政治
 毎年、大田昌秀さんや新崎盛暉さん等を招き、沖縄の現代史や現在抱えている問題について講演をお願いしている、「沖縄と結ぶ杉並集会」に行って来た。
 今回は、琉球新報論説副委員長の前泊博盛さんと、特別報告として参議院議員の山内徳信さんを招いて開催された。
 選挙が近いこともあって、開場には社民党の候補の保坂展人氏も開場に姿を見せている。
 
Maedomari
 前泊さんは新聞記者の習性なのか、詳細で盛りだくさんのレジュメをつくってきた。90分の講演で納まるのかと心配していたら、やっぱり全部は話しきれなかった。
 基本的には「岩波ブックレット723 もっと知りたい! 本当の沖縄」にそったものだから、主要な話はそこで読むことが出来る。
 
Booklet723
 しかし、彼が「余計なことを話し過ぎた」と時間内に納まらなかった言い訳をしたが、それが講演会の醍醐味なのだから、どんどん口を滑らせて欲しいと思う。
 
 ブックレットにもある内容だが、沖縄の実人口の話はあらためてなるほどとうなづかされる。
 住民基本台帳には138万人とあるが、それには“フェンスの中の住民”がカウントされていないという。駐留米軍は42,000~49,000人いて、そこで保有する一般車両は2万台にも及ぶという。
 さらに、住民登録がされていない本土からの移住者が約20,000人ほどはいて、これらカウント外の住民は、インフラや道路整備にかかわる費用(税金)を負担していない。
 また、失業者の問題にも触れて、沖縄では自発的失業者の数が非自発的失業者の数を上回っていることがわかっている。これは、総じて給料が安いために、生活できないことから転職の末失業してしまう例と、基地からの不労所得で仕事をしなくなることがあげられている。
 このほか、基地にかかわる様々な情況が、本土と異なる歪んだ実情を表している。
 
 「米軍は迷惑な『ウルトラマン』」と題し、駐留米軍をウルトラマンにたとえた話は面白かった。
 3分間で退散しなければならないのがウルトラマンだが、ウルトラマンは怪獣を倒す時に周囲の建物などを破壊したまま去って行く。もしそれ以上長くいると、壊したってものなどの保証を迫られるからだという。(米軍の話である)
 「怪獣(ソ連・中国・北朝鮮)が来るから守ってあげるといいつつ64年間居座り続けているが、怪獣に攻められたことは一度もない。まさに狼少年。
 普段はM76星雲(グアムやテニアン)にいて、怪獣が来たときだけ飛んできてくれればいいはずなのだが。
 米軍による犯罪はこれまで5,600件にも及ぶが、責任を取らず「シュワッチ!」と飛び去る。
 
Tokushin
 
 元読谷村村長で参議院議員の山内徳信氏は近況報告。
 「明治維新の光は沖縄からであった」
 いきなり何を話し始めるかと思ったら、戦時中ウチナーグチ(沖縄方言)が禁止されていたことこから、方言の大切さを訴えた。つまり、地方の光を大切にしたいということだった。
 「方言とは何と麗しいものか」
 全国を回って方言に触れ、その度に感動するそうだ。
 
 そして、鳩山元総理の約束違反はたいへん悔しかったそうである。
 「私はこれまで、悔し涙と言うものを流したことは一度もなかったが、鳩山内閣による日米共同声明には『こんちくしょう』と思った」
 昨年就任時の所信表明演説で「命」という言葉が度々出てきて感激したものだが、その後の鳩山総理は、沖縄の住民にも命があることを忘れてしまったようだと残念がった。
 「岡田外務大臣、北沢防衛大臣も当然更迭のはずなのに、まだ居座っている」
 
 Kimitsu
 質疑応答の時間を利用して、前泊さんが伝えきれなかった重要事項を披露。
 広げているのは、辺野古新基地建設にかかわる自衛隊の機密書類で、様々な後方に加え、発注先まで明記されている。
 「(発注先が)決まっているので、中止ができないんです」
 以下に新聞記者とはいえ、よくもまあこんな資料が入手できたものだ。したがって、詳細はここに書かないことにする。
 
 さらに、本土の人間が翌口にする「沖縄は基地がなくなったらやっていけないのではないか」と言うことにも、数字を示して反論。
 基地からの収益に対し、基地外の収益は2.5倍だという。
 このことは今年4月25日の琉球新報に特集されている。その紙面も観せてもらった。
 
 6時半から9時過ぎまでの2時間半ではもったいない充実した講演会だった。
 参加者も100人近くが、狭い会場をいっぱいにした。
 
 Hosakamorihara
 最後に、7月11日に決まった参議院選挙を見据えて、支援する保坂展人氏(左)と今回初めて東京選挙区から立候補する森原秀樹氏が挨拶。
 保阪さん、ちょっと痩せたと思ったら、全国行脚でかなりきついという話だ。ようやく東京に戻れたのもつかの間、翌日からまた旅だそうである。
 
 終了後、いつもの「ぐるくん」で懇談会を行った。
 前泊さんを質問攻めにしたら、「記者は質問する立場なのに、今日は逆になった。勉強になりました」とは本心かどうか。こんど沖縄に行ったらしっかり捕まえてゆっくり話を聞きたい。
 
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立ち枯れ・黄昏・廃品回収

2010年04月12日 | 国際・政治
 居酒屋で、酔っぱらいどうしのたわごと。
 
 
 「変な政党が出来たねえ、立ち枯れ日本」
 「たそがれ日本じゃなかったっけ」
 「あれ? たちあがれ日本だっけ」
 「足腰立たなくなって、立ち上がれなくなったようなご老体が、自分にハッパをかけているみたいな」
 「平均年齢70歳」
 「平沼と与謝野は、そもそも郵政民営化問題では逆の立場だった」
 「消費税の増税についても考えがバラバラ」
 「いったい何をしたいのか、何のための新党か」
 「みんなの党が人気上昇中なので、じゃあ自分たちもってことだろうけどね」
 「まあ、少しでも長く政治の世界にしがみついていたいという、生き残り作戦なんだろう」
 「政策は今のところ、決まってないんだってさ。選挙運動をしながら考えるんだって。決まってるのは打倒民主党」
 「それって、国民をばかにしてないか?」
 「だから、世論調査で、“新党に期待しない”人が、報道番組「新報道2001」(フジテレビ系)の世論調査結果で73%。でも、期待してる人が27%もいることが驚き」
 「自民党に残っていてもはじき出されかねない。自民党から立候補して落選したらあまりにも惨めだ」
 「なるほど、だから同じような境遇の仲間が集まって、“最後の一戦を交えよう”と」
 「石原慎太郎まで応援に加わってる。“年寄りばっかりだと言うけれど。若者が立ち上がらないからだ”と訳の分からないことを言って」
 「平沼、与謝野が参加した保守系団体の会合に、あの田母神が招待されたんだってさ」
 「それではっきりしたね、ようするに、今の世の中に不要な人間が集まって、自分で自分を処分する」
 「集めて束ねて“保守”という紐で縛って、廃品回収に持ってってください、ってか」
 「いや、リサイクルできないでしょう、あれだけ古くちゃ。使用期限が切れてどれだけ経ってんのよ」
 「廃品回収後、選別されて焼却処分だね」
 「有毒ガスが出なければいいけど」
 
 
 「ところで、自民党自体がもう末期症状だね。民主党が支持を下げているのに、自民党の支持率はちっとも上がって来ない」
 「議員の間で、自民党では選挙を戦えないと思ってる議員が少なくない」
 「候補者の擁立にも苦労しているらしい」
 「自民じゃ当選できない、と思ってるからね」
 「現職議員も歯が抜けるように離党したり公認を断ったり」
 「かつての社会党の衰退時に似ている気がする」
 「国民の支持が失われる前に、内部から崩壊が始まってる」
 「すべての政党を全部一回バラバラにして、作り直した方がいいかも」
 「民主党の小沢もいらないしね」
 「うん、廃品回収、焼却処分」
 
 
 そろそろ酔いが回ってきました。財布の中味が淋しくなったので。そろそろご帰宅のお時間、ということで。
 
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資源の再配分は「社会主義」なのか

2010年02月16日 | 国際・政治
 先日、何気なく見ていたテレビのクイズ番組で、「アメリカのフットボールチームは32あるが、3年連続以上優勝したチームはない」という。たとえば、日本プロ野球で読売巨人軍が行ったV9等ということは、絶対ないし、反対に同じチームが何年も連続して最下位などということもない。
 それは、チーム力が拮抗していることが理由だそうである。
 そこで、なぜそのようなことが出来るのか、というのが問題だった。
 答えは、「アメリカン・フットボール・リーグ全体の利益を、各チームで均等配分するから」である。
 それで、金のあるチームが実力のある選手を大量に抱え込むということがなくなり、チーム力が均等になる。そして、経営難に陥るチームが出ることもない。
 
 数年前、日本のプロ野球が存続の危機に陥ったことがあった。長引く不況でオーナー会社は赤字のチームを維持することが出来なくなり、売却しようとしたが買い手もつかないという状況だった。すったもんだの末、近鉄とオリックスの合併、そして、楽天という新チームの誕生で、一応決着がついた。
 しかし、根本的なシステムは何ら変わっていないので、いずれはまた、同じ騒動が勃発することだろう。
 
 その騒動のさなか、当時選手会長だったヤクルト・スワローズの古田敦也が、「日本プロ野球を一つの会社と考え、利益の多いチームは赤字のチームを支援するようにするべきだ」と提案した。
 それを聞いた読売ジャイアンツの当時のオーナーである渡邉恒雄が激昂した。
 「たかが選手が何を言うか! そういう考えは社会主義だ。日本は自由主義の国なんだから、そういうことをするべきではない。……まあ、選手の中にも立派な人間はいるけどね」
 そういう渡邉恒雄自身、かつては社会主義者だったのだから、何をかいわんやだ。社会主義とはどういうものかすっかり忘れてしまったのか、無知な右翼青年のような発言である。
 
 プロ野球に限ったことではない。資源の再配分を行わなければ、社会を支えている多くの庶民の暮しが維持できない。資本主義を支えているのは、そうした庶民による消費なのだから、一部に資源が集まってしまえば成り立たなくなる。資本主義の総本山たるアメリカでさえ、その危機に気付き始めているのに、ごく最近でもこれを社会主義だ共産主義だマルクスだと決めつけて排除するの人間がいる日本とはいかがなものか。
 ぼくにいわせれば、良いことであれば、それがマルクス主義だろうが何だろうが取り入れるべきだと思うのだが。
 
 以前、ぼくはニック・レビーの名前で『ひまわりの種は誰が食べた?』という小冊子を出した。おかげさまでそこそこ売れたものだ。(最近一部でこの本が見直されているというので驚いた)
 出版社に送られて来た読者カードを転送してもらっていたが、その中にこんな意見があった。
 
 「この本は共産主義を薦めているようだが、あなたは東欧やソ連の崩壊を見てどう思われるか」
 
 とんでもない勘違いで大笑いしたものだが、笑ってもいられないことに気付いた。東欧やソ連が理想的な社会主義国だと思っている社会主義者・共産主義者などいない。ソ連はレーニンの理想が破壊されて、スターリンとフルシチョフによって再構築された、全体主義の国家だ。
 現在もっとも理想に近い民主主義国家はデンマークだろうと思っている。
 なぜなのかは、『なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では日とが大切にされるシステムをつくれないのか』という長いタイトルの本に集約されているので、読んでみていただきたい。
 もう、自由競争と言う名のもとに、奪い合い戦い合う時代ではないと思うのだ。
 
Denmark
 
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「日中歴史共同研究」報告

2010年02月01日 | 国際・政治
Nichu_rekishi
 
 2006年10月、安倍晋三総理大臣と胡錦濤国家主席は、日中歴史共同研究を立ち上げることで意見が一致した。その時の外務大臣が麻生太郎で、中国の李肇星外交部長と会談し、実施の枠組みについて合意に達した。
 そもそも、鷹派二人がこれを立ち上げようとしたことがおもしろい。
 靖国問題でぎくしゃくした日中関係を修復することが狙いだったのだろうが、中国側の強力メンバーに対し、日本側はいわゆる近代史のオーソリティーではなく、無難な面子を並べている。
 
日本側委員会のメンバー構成
座長 北岡伸一 東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授

(古代・中近世史分科会)
山内昌之 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授
川本芳昭 九州大学大学院人文科学研究院教授
鶴間和幸 学習院大学文学部教授
菊池秀明 国際基督教大学教養学部教授
小島 毅 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部准教授

(近現代史分科会)
北岡伸一 東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授 【座長】
小島朋之 慶應義塾大学総合政策学部教授
波多野澄雄 筑波大学大学院人文社会科学研究科教授
坂元一哉 大阪大学大学院法学研究科教授
庄司潤一郎 防衛省防衛研究所戦史部第 1戦史研究室長


中国側委員会のメンバー構成
座長 歩 平 中国社会科学院近代史研究所所長・教授

(古代・中近世史分科会)
蒋 立峰 中国社会科学院日本研究所所長・教授
湯 重南 中国社会科学院世界史研究所教授
王 暁秋 北京大学歴史系教授
王 新生 北京大学歴史系教授

(近現代史分科会)
歩 平  中国社会科学院近代史研究所所長・教授 【座長】
王 建朗 中国社会科学院近代史研究所副所長・教授
栄 維木 中国社会科学院近代史研究所「抗日戦争研究」編集部執行編集長
陶 文  中国社会科学院米国研究所・教授
徐 勇  北京大学歴史系教授
 
 3年をかけた共同研究がこのほどまとめられ、戦後史部分を除いた報告書が外務省のホームページで公開された。
 一応全頁を出力してファイリングしたら、2冊になった。なんとA4で300ページ以上あるのだ。

 ここで閲覧できる→外務省ホームページ
 
 
 
 研究は2000年前の西暦57年から始まる。日本と中国の歴史教科書の擦り合わせ的な作業が行われ、大きく「古代・中世史」と「近現代史」の二部に分かれている。
 自分の優先順位としては、やはり「近現代史」から入ることにする。

 日中間で評価が分かれるだけでなく、日本では右翼が神経を尖らせる南京事件、盧溝橋事件、偽「満州国」などにかかわる報告が興味深い。
 
 南京事件については、日本側が「日本軍による捕虜、敗残兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した」ことを認めた。
 犠牲者数については中国側が、東京裁判判決の「20万人以上」と南京戦犯裁判の「30万人以上」をあげ、「重大な国際法違反」と批判している。
 
 盧溝橋事件については、日本側が「最初の発砲事件は『偶発的』で、現地では局地的解決の努力がなされた」とするのに対し、中国側は「歴史の流れという観点からすれば、事件は必然性を帯びていた」と日本軍に侵略意図があったことを強調している。
 
 「満州国」について日本側は、これまで日本の保守派が主張してきたと同じように「(日本のおかげで)満州経済の近代化を促し、34年までに満州は中国の中で最も工業化された地域になった」と鉄道や道路の整備が進んで工業生産が伸びたことを強調したが、中国側は「重工業の偏重や過度の資源開発などは弊害だった」と批判するとともに、満州では中国人労働者が劣悪な環境のもとで働かされ、平頂山事件や731部隊によって多大な犠牲を出し、現在でも撤去作業が終わらない遺棄化学兵器の被害も深刻であることに言及している。
 
 この報告書は、A4判三百ページを超える大冊で、容易に読みこなすことは出来ないので、とりあえず今日のところは新聞で紹介された項目部分を確認したまでだが、日中の意見の相違が同時に掲載されているので一方的でない、両面から観た歴史観が良く現れている。
 すべてを読み終えないと正確な判断は出来ないが、一部拾い読みした限りでは、日本側の見解に、日本でも極端に右寄りの政治家が仕掛けた研究にしては、さほどナショナリズムの匂いがしない。
 もっともそれでは研究でなくケンカになる。
 中国側も、極端な討論は避けているように感じる。
 これも、政権が交代して、意見が出しやすくなったことと同時に、中国側も出来る限り真実に近づけようとする柔軟な姿勢が見え、政治一本やりでない学者としての心意気の現れだろうか。
 
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『9/11 真実への青写真』

2010年01月31日 | 国際・政治
911dvd
 
 建築の専門家による「崩壊」の徹底検証

 昨日、きくちゆみさんからいただいたDVDを見た。
 きくちゆみさんは、9・11事件からほどなく、真相究明活動をはじめ、現在までに複数の書籍やDVDを発行している。
 とくに、アメリカのブッシュ政権時代は、イラク、アフガニスタンへの理不尽な攻撃に対する批難と同時に、ブッシュ政権と9・11との関連性について調査を続けていた。
 
 以前発行したDVD『ボーイングを探せ』では、米国防総省(ペンタゴン)に激突したとされる旅客機が、実は旅客機ではなく、もっと小型の、戦闘機のようなものではないかという証明をしてみせた。

 このDVDでは、トレードセンターが崩壊する様子を専門の建築家が検証し、崩壊の直接原因が旅客機の衝突にあるのではないことを導き出している。
 アメリカではビルを解体する時に、しばしば「制御解体」という方法が用いられる。ビルが垂直に崩れ落ちるあの方法である。あれは、計画的にバランスをとりながら爆薬を仕掛けなければ出来ないという。
 普通は横に倒れるか部分的に崩れ始め、あれほどバランスよく均等に崩れることはないそうだ。
 
 また、残骸はそうそうな高温にさらされたとみえ、鉄骨がまったく原形をとどめず、コンクリートなどとともに隕石のような物質に変形している。
 これは軍が兵器として用いる「テルミット」が燃焼したことをものがたり、残骸からその形跡が推測できるという。
 (テルミット=アルミニウム粉末と酸化鉄粉末を混合したものである。テルミットに着火を行うと還元が起き、高温(摂氏約2300度)が発生する)
 制御解体の場合でも、各階の床の部分が重なり合って残るのだが、床も鉄骨も粉々に粉砕されている。椅子や机、コンピュータや電話機もまったく残っていなかったと語る。
 通常の火災や飛行機の激突事故ではあり得ないことだ。
 
 誰がどのような方法でビルの破壊工作を行ったのかは、まだ今後の調査を待たなければならないが、トレードセンターの三つのビルの崩壊が、飛行機の激突を原因とする火災でないことは明らかだ。
 
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どうなる「普天間基地移設」     グァム? 硫黄島?

2009年12月04日 | 国際・政治
 沖縄には、日本の国内にある米軍基地の75パーセントが集中している。沖縄本島の地図を広げて、関連する米軍施設(米軍向けの住居や娯楽施設)なども含めた被占領地域を塗りつぶしていくと、あの小さな島の3分の1近くが埋まってしまう。
 那覇の飛行場から北に向かって車を走らせていくと、基地のフェンスがどこからも見えない場所はほとんどない。まさに、「基地の中に沖縄がある」と言われる所以だ。
 
 米軍による住民の負担は尋常ではない。騒音、海洋汚染などの環境問題だけでなく、重大な事故や犯罪があとをたたない。
 1959年には、嘉手納基地を離陸した米軍機が小学校に墜落炎上して、児童らが多数死傷する事故があった。
 1955年にはコザ市(現・沖縄市)で少女暴行事件が起き、1995年にも米兵3人による少女暴行事件が起きた。
 2004年には、米軍のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落した。
 
Photo
 普天間飛行場(GoogleEarth)
 
 普天間飛行場はヘリコプターと空中給油機を中心とする基地で、空中写真で見る通り、周囲は住宅に囲まれている。
 米軍機の中には離着陸時に不安定になる機種があり、周辺住民は常に危険にさらされている。
 度重なる事件もあって、少女暴行事件が起きた翌年の1996年、日米両政府は普天間基地の全面返還に合意した。
 しかしその返還は、2014年までに名護市辺野古沿岸に代替基地を造ることが条件だった。
 
Henoko3
 辺野古の海
 
 先の衆議院総選挙で、民主党は在日米軍基地見直しをマニフェストに掲げ、政権交代で発足した鳩山内閣は、普天間基地の辺野古移設を再検討することを約束した。
 それが、政権を取った民主党の約束であり、鳩山内閣の最も期待される政策の一つだった。
 
          ◇
 
 しかし、あちらにもこちらにも笑顔をふりまきたい鳩山総理は、アメリカと沖縄の両方にいい顔をしているうちに、その優柔不断な態度から連立を組む、社民・国民新党から突き上げを喰らうはめになった。
 対アメリカ政策を優先して沖縄住民の意志を無視した辺野古移設を年内に決着させることに、両党は猛反対、社民党は辺野古移転を強引に進めるなら、連立離脱も辞さないとの態度を表明した。
 社民党の国会議員はわずか12人だが、連立を離脱すれば民主党は参議院で過半数を取れなくなり、国会が空転する。
 鳩山総理は結局年内決着を断念、辺野古以外の代替地の検討を、岡田外相と北沢防衛相に指示することとなった。
 そこで浮上した選択肢は最初から考えられたはずの、グァム、硫黄島が今になってようやく候補地として検討対象になる。
 グァムにはすでに8000人の海兵隊を移動することが決まっており、普天間規模の基地を増設できるスペースも十分ある。今現在行われているアメリカの戦争である、アフガニスタンやイラクとも近い。地理的には沖縄よりずっと便利なはずなのだ。
 硫黄島は大激戦が行われ、映画になったことでも有名だが、現在は自衛隊の管理下におかれていて住民はいない。ヘリが墜落しても海の中だ。
 ところが鳩山総理はまだ、「辺野古案も生きている」などと、党内外の右派にゴマを摺るような発言を記者会見で行っている。
 はっきりと、「県外もしくは国外に代替地を求めることにする」と言えないおぼっちゃま体質は、今後の指導力に大きく影響するだろう。
 
          ◇
 
 沖縄住民の多くは、沖縄からすべての米軍基地がなくなることを望んでいる。返還された土地を有効活用すれば、米軍関連からの収益の数倍がもたらされるという試算もある。
 たしかに、年間約900億円ともいわれる軍用地の借地料収入と、約9000人の基地従業員の雇用確保などを、企業誘致などでカバーすることは容易でない。しかし、これまで沖縄に迷惑をかけてきたことに対する保障の意味も含めて、沖縄県だけの問題として放置せず、国家レベルで対策を練り、基地から民間への移行を推進するべきだ。
 長期間にわたり、特定の地域に負担をかけてきたことに対する責任を、国は十二分に考慮する必要がある。
 
 しかし、それにつけても、本土と沖縄の温度差は大きい。沖縄に基地があることはやむをえないなどと言う本土の人間は、一度でも辺野古や高江など、基地候補地を訪ねてみるといい。おそらく、様々な意味で、その現実に驚くだろう。
 
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沖縄、21000人集会

2009年11月09日 | 国際・政治
 米軍普天間飛行場の移設問題で、県内移設に反対する集会が8日開かれた。
 会場の宜野湾海浜公園に参加した人々は2万1千人。
 
Kenminshukai
 
 先日、安次富浩さんも出演した「太田総理秘書田中」で沖縄から米軍を排除する提案が否決された。
 沖縄の人々と本土住民の間の温度差をあらためて感じた。
 沖縄にも基地存続を求める声があることはもちろん承知しているが、その理由は、基地からの収入で生活をしている人々が少なくないからだ。
 しかし、基地が返還された時には、これまでの収入の数倍が可能なことを裏付ける研究が進んでいることを知って欲しい。
 問題は、そこに移行する段階での国の補償なのだ。
 
 それ以前に、沖縄の現状を知らない人、というより、知ろうとしない人が本土には多すぎる。
 
 ぜひ、沖縄を訪ねて欲しい、そして「観光コースでない沖縄」を訪ねて欲しい。
 たとえば、辺野古の美しい海を一度でも見れば、そこを埋め立てて滑走路を造るなどということが、いかに気違いじみたことかがわかるだろう。
 船に乗って沖に出よう。そして、ずっと底のほうまで透き通って見える、熱帯魚が泳ぎ回り海藻の繁った海を見よう。
 
 高江はヤンバルクイナの住処だ。そんなところにヘリポートなど造ってはいけない。
 
 沖縄だけでなく、日本に米軍基地はいらない。
 もう、日米安全保障条約の時代ではないのだ。すでに、日本にとっては必要のない条約になっているのだから。
 
 沖縄では、子どもが安全に遊ぶことができないことを、本土に住む人々はほとんど気づいていない。
 
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魔法のランプが自民から民主の手に

2009年09月21日 | 国際・政治
 今日(9月21日)の朝日新聞朝刊に、「核密約」についての解明ともとれる記事が1面トップで掲載されていた。
 asahi.com
 
 外務省内で核密約を扱う立場にあった元幹部6人が、朝日新聞の取材に対して、経緯を証言した。
 そうである。
 毎日新聞の西山太吉元記者のような辣腕が外務省に食い込んで取材したのかもしれないが、政権という「魔法のランプ」が自民党から民社党の手に渡った今、外務省という魔王も、「はいご主人様」と民社党に従うことになった、ということか。
 外務省の官僚は、秘密だといわれれば家族にも話さず墓まで持っていくと言われるほど口が堅い、はずだ。
 それが元官僚とはいえ、かなりべらべらとしゃべっている。
 
 核持ち込みが密約として成立する以前、1959年安保改正の前年、すでに日米の間に解釈の違いがあったという。

 日本側は当初、(核を積んだ艦船の)寄港・通過を協議対象になると理解。米国側は対象外と解釈していた。
 
 1963年に当時のライシャワー大使から見解の食い違いをただされ、米国に対する当時の日本の立場上、はっきりと拒否できなかった。しかもそれを表沙汰にすれば、国民から糾弾され内閣が持たなくなると判断された。
 
 非核三原則(作らず、持たず、持ち込ませず)は当初からその一つが空洞化していたわけである。
 この非核三原則によって、当時の総理大臣佐藤栄作はノーベル平和賞を受賞している。
 受賞時から前代未聞のブラックユーモアといわれた受賞は、ブラックユーモアどころではない。
 密約があることを知った上での受賞であろうから詐欺に等しい。
 
 民主党による密約解明のための調査は今月25日から始まるようだ。それを先駆けての朝日新聞のスクープは、今後の調査に凶と出るのか吉と出るのか。
 現在の民主党議員にとって都合の悪い何かが出て来た時にはどうするのか。
 密約はこの他に沖縄返還にまつわる基地問題と、返還基地の現状復帰費用に関わる問題もある。
 当時の密約にかかわった議員は民主党にはいないだろうが、元は自民党の議員は多数いる。隠蔽工作にかかわった議員ならいる可能性がある。
 そこで、さらなる隠蔽工作が行われることのないように願いたい。
 
 そういった意味でも、今日の朝日新聞のスクープは価値があると認められる。
 ただし、朝日新聞が入手した極秘文書に密約は明記されておらず、密約成立までの過程がうかがわれるだけである。証言だけであるところがいささか心もとない。
 それとも、朝日新聞には西山事件のときの毎日新聞のように、公開できない文書がまだ存在するのだろうか。
 いずれにしろ、今後の進展に期待できる。
 
 
 
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鳩山内閣発足

2009年09月17日 | 国際・政治
 鳩山内閣が発足した。
 いきなり衆議院で巨大与党になったものの、それがそのまま国民の期待であるとは限らない。
 真の与党として長期政権を維持するには、自民党政権との差別化をはかり、実績を積み重ねて国民の信頼を確固たるものにすることが必要だ。
 
 ご存知のように民主党の大半は元自民党である。とくにご意見番とも黒幕とも言われる小沢一郎は、本来筋金入りの保守派だ。副代表の前原誠司にいたっては、これはもう右翼である。
 案の定、連立は組んだもの、社民党や国民新党には勝手なことはやらせないぞとばかり、権限に制限を加える様子が見られる。
 さらに、菅直人、岡田克也ら党内のリベラル勢力に対しても同様だ。
 近々実現するオバマ‐鳩山会談で、発足当初からぎくしゃくしたくない、ということから、安全保障や沖縄の基地移転問題に触れたくないかららしい。
 しかし、何事も最初が肝心。民主党もせっかく政権交代して自民党と同様御し易しとアメリカに思われてどうするか。
 これでは、当初からのマニフェストであり、共産党も協力すると言っている後期高齢者医療制度の撤廃や、核持ち込み密約の解明なども、ちゃんと取り組むのかどうか心配になってくる。

 民主党が今後はっきりと自民党との違いを打ち出すには、民主党内部に存在する“自民党”のウミを絞り出すか無力化することが、いずれは必要だろう。
 つまり、民主党内部には、民主党でありながら古い自民党政治に引き戻そうとする、いやそれ以上に保守的な亡霊がいて、しかもそれがけっこうな力を持っている、ということだ。
 鳩山政府は今後、国会で自民党と闘うと同時に、党内でも“自民党”の亡霊と闘わなければならない。
 
 八ツ場ダム問題も、外環道問題も、選挙が終わったらとたんに腰が引けているように見えるのは、錯覚だろうか。
 やめるともっとカネがかかるなどと保守的なマスコミが騒いでいるけれど、損得勘定にとらわれると、何も進まない。
 環境を守ることと損得勘定は別なのだから。
 ブッシュが「経済より環境が大事だと言う。狂ってる」とゴアを評した発言を笑えなくなるような事態にならないことを祈る。
 
 しかし、民主党がマニフェストどおりのことをきちんと実現できれば、日本は本当に大きく変わるだろう。
 それにしても呉越同舟の鳩山内閣、まずはお手並み拝見といきたい。
 
         ◇
 
 鳩山兄弟の父、威一郎はなんだかよくわからない政治家だったが、祖父の一郎は、自由党と旧民主党を合併させて、社会党との保革対立を明確にした55年体制のもと、自由民主党初代総裁として、第52・53・54代内閣総理大臣を務めた。ソ連との国交回復を実現したことや、名字のイメージからリベラルと思われがちだが、憲法を改正しての再軍備を唱えるなど、思いのほか、鳩ならぬタカ派である。
 そのタカ派的遺伝子は、弟の邦夫が受け継いでいるように見える。
 権力を手にして、ムクムクとタカが頭をもたげないように、連立の社民党の議員たちにはしっかりと監視してもらいたいものだ。
 
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島へ行こう! ? 大久野島

2009年08月03日 | 国際・政治
0801asahi
 
 8月1日付けの朝日新聞夕刊に、大久野島の記事が掲載されていた。
 
 「毒ガス島と思って来られるお客さんは、ほとんどいません」と、休暇村大久野島支配人代行の鈴木敏康さんはいう。
 
 戦時中、広島県の大久野島で毒ガス兵器が作られていたことを知る人は少ない。旧日本軍が中国に遺棄してきた毒ガス兵器のために、たくさんの中国人が被害に遭い、その賠償を求める訴訟のために、被害者が来日していることは報道で知っている人がいても、毒ガス兵器とはいかなるものか、またどのように作られていたのかを知る人は希である。
 その工場が瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大久野島にあったことなど、平和運動にたずさわっている人でさえ知らないのが普通だ。
 
 実は、ぼく自身も先年出版した『ぼくは毒ガスの村で生まれた。』の制作にたずさわってはじめて、大久野島の存在を知った。
 知る人の少ない最大の理由は、この工場が秘密工場であり、戦時中は地図からも消されていたこと。さらに、日本政府が敗戦後も長い間、国際法違反の毒ガス使用にかかわる工場の存在を認めることを拒みつづけたからに他ならない。
 
 安全設備の不完全な工場では、日本人作業員も多数被害に遭っている。ところが、工場の犠牲者は、わずか2名しか記録されていないと記憶する。
 なぜなら、安全保持のためにガスに触れた工員は死亡する前に解雇していたからである。
 国際法違反の工場の存在を否定するために、工場で作業にたずさわって被災した人々に対する補償も遅れた。
 
 毒ガスの使用は当時もジュネーブ条約で禁止されていた。しかし、研究や製造に関する制約はなかったことを建前にして、日本軍は毒ガス製造の研究をここで進めた。製造された毒ガスは中国大陸に運ばれ、実際に使用されたとされる。
 
 この夏、ぼくは初めて大久野島を訪ねる予定だ。
 『ぼくは毒ガスの村で生まれた。』の制作で膨大な参考資料に触れ、あたかもすべてを知ったかのように感じていたが、現実の大久野島が何を語りかけ、どんな衝撃をもたらすだろうか、期待もあり恐ろしさもある。
 
 参考→ETV特集「裁かれなかった毒ガス作戦」
    『ぼくは毒ガスの村で生まれた。』
    チチハル事件被害者証言集会

 
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アレン・ネルソンさん死去

2009年03月28日 | 国際・政治
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 第二次世界大戦後も「国益のための戦争」「戦争のための戦争」をやり続けて来たアメリカは、たくさんの貧しい若者たちを戦場に送り、世界中に多大な犠牲を強いて来ました。
 その代表的な戦争の一つに、ベトナム戦争があります。

 ベトナム戦争は1960年から75年まで、アメリカの植民地主義に反対する北ベトナム・南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)とアメリカおよび南ベトナム政府との戦争です。
 アメリカはこの戦争を当初、その戦力差から「せいぜい数週間でケリがつく」と豪語していました。ところが、15年以上にもおよび、結局アメリカの敗戦で幕を閉じることになったこの戦争は、周辺諸国も巻き込み大きな被害をもたらすことになったのです。
 当時アメリカ軍が使用した枯れ葉剤などの化学兵器は、その後奇形児を多発させるなど、戦争が終わったあとも被害を拡大させました。

 アレン・ネルソンさんは、20歳の時、海兵隊員としてベトナムに行き、勲章を四つももらって英雄になりましたが、それは貧しい彼とその家庭を豊かにするためには、なんの役にも立ちませんでした。
 軍隊によって洗脳され殺人者に仕立てられたネルソンさんは、除隊後も通常の暮らしに戻ることができず、家族からも見すてられてホームレスになっていました。

 そんなある日、街で出会った高等学校時代の同窓生ダイアンから、学校で子どもたちにベトナム戦争の話をしてくれないかと頼まれました。
 一度は断ったものの、ダイアンの熱心な薦めに加え、送られて来た子どもたちの手紙にも心を動かされたネルソンさんは、ダイアンが教師として勤務する小学校をたずねることになりました。

 話し終わって質問を受ける段になったとき、ネルソンさんは衝撃的で運命的な質問を、一人の女の子から受けることになります。

 一番前に座っていた、小柄な女の子でした。その子が手をあげると、ダイアンがさしました。
 女の子は利発そうな顔立ちをしていました。
 彼女はさっと起立すると、こう言いました。
 「ミスター・ネルソン」
 女の子はまばたきもせず、わたしをまっすぐに見つめると、たずねました。それは、わたしにとって運命的な質問でした。
 「あなたは、人を殺しましたか?」
 だれかにおなかをなぐられたような感じがしました。
 わたしの体はこわばり、重くなり、教室の床にめりこんでいくような気がしました。

   (『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』より)

 その後、アレン・ネルソンさんは、アメリカや日本の各地を回って、戦争の体験を人々に語る活動を続けて来ました。

 アレン・ネルソンさんは昨年暮れから体調を崩し、「多発性骨髄腫」と判明、頭部追う生活を送っていましたが、日本時間の26日(現地時間25日)ニューヨーク市内の病院で亡くなりました。61歳でした。

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「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか」
アレン・ネルソン 著
講談社 発行

 アレン・ネルソンさんが自ら語る戦争についての衝撃的な告白と、生い立ちが書かれています。
 小学校の高学年以上から読める本です。

 格差社会を作り、貧しい若者を戦場に送る軍国主義のシステムは、現在でも変わりません。
 日本でも、派遣切りで仕事を失った若者に、自衛隊の魔の手が伸びていると聞きます。

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西松建設、違法献金の構図

2009年03月04日 | 国際・政治
民主党、一皮むけば自民党

●ニュースの解説
 民主党の小沢一郎代表の秘書が、「政治資金規正法」違反で逮捕されました。

 政治家の間、特に保守系の政治屋といわれる人たちの間では珍しいことでもなんでもなく、常日ごろから普通に行なわれている違法行為です。

 それがなんで大騒ぎになったのかというと、一つは総額8300万円(内、陸山会へは2100万円)という額の大きさ、もう一つは献金を受け取った本人が、次の総選挙で政権を取るかもしれない「民主党」の党首であることです。

 まもなく衆議院総選挙が行なわれるという時期だけに、民主党は「これは自民党の国策捜査だ」と批判しています。
 つまり、逆風の中にある自民党が、政権党という立場を利用して検察庁を動かし、形勢逆転を企てたのだというのです。

 本当のところはさだかではありませんが。

 「政治資金規正法」では、企業や団体は政党に対し年間1億円までの寄付が認められています。しかし、企業や団体が、(たとえば小沢一郎というような)政治家個人の政治団体に寄付することは禁止されています。

 西松建設は、違法献金を隠すことと同時に、自分の会社の名前が出ないように、元西松建設の営業管理部長を代表として設立した「新政治問題研究会」などの団体を隠れ蓑に、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」に献金していました。

 西松建設は、団体の会員候補となる社員をリストアップし、「新政治問題研究会」の会員になるよう勧誘させていました。
 会員になると、会費として一口6万円で、役職に応じて口数が割り当てられ、夏と冬の2回、「新政治問題研究会」の口座に振り込んだり、直接手渡したりしていました。
 その後、賞与に同額分を上乗せして補填してあったといいます。
 その金額が「陸山会」などの政治団体わたっていたのです。
 こうすれば、西松建設からの献金という形にはならないと考えたわけです。

 この資金は、社員の会費だけでなく、西松建設が海外で作ったウラ金も含まれているといわれています。

 小沢側は、そのカネが西松建設から回って来たものであることは、「周知していた」と検察は判断しています。
 ですから、形はどうであれ、企業が政治家個人に寄付したことには変わりはないので、献金した側も受け取った側も「政治資金規制法」違反で逮捕されたのです。

 「政治資金規正法」は、かつて多額の献金をエサに、企業が政治家に便宜を図ってもらう、いわゆる「政治とカネ」をめぐる事件が相次いで起きたため、2000年以降厳しく改正されました。
 
 しかし実際には、法の目をくぐって個人に献金する方法はいくらでもあるといわれていて、名目上は政党に寄付したことにして、そのままそっくり政治家個人にわたる「ひも付き献金」は、日常的に存在しています。

 つまり、大企業が政治家にカネを渡して便宜を図ってもらうという構図は、
 「越後屋、おぬしも悪じゃのう」
 「そういうお代官様こそ、ひっひっひっ」
 という時代から、まったく変わらないということです。

 今度の事件で西松建設が、それぞれの政治家に便宜を図ってもらうために、ダミーの政治団体を通して献金した金額は、わかっているだけで総額4億7千万円にのぼります。

 受け取った政治家は、民主党では小沢代表以外に山岡賢次国対委員長も200万円受け取っていました。
 自民党では加藤紘一、藤井孝雄、山口俊一、川崎二郎、林幹雄、藤野公孝、尾身孝次、森喜朗、二階俊博らの名前もあがっています。

 ですから、政権党の自民党にも飛び火する可能性が多々ありますし、民主党だけで火が消えてしまったら、自民党の「国策」であることが、よりいっそう疑われることになります。

 このほか改革クラブ代表の渡辺秀央元郵政大臣、自見庄三郎国民新党副代表もそれぞれの政治資金収支報告書に西松建設関連団体からの献金が記載されていました。

 なかでも、小沢一郎の8300万円(「陸山会」のほか、小沢一郎が支部長を務める「民主党岩手県第四総支部」など複数の合計)は突出していて、ついで尾身孝次の2080万円、加藤紘一の1400万円が目立っています。

Nishimatsu
(『しんぶん赤旗』2009・3・4)

 野党とはいえ民主党の多くはもともとは自民党。
 権力闘争で自民党を飛び出して野党になったのであって、「革新派」ではありません。
 仮に今度の総選挙で政権党になれば、自民党と同じことをやるのは目に見えています。

 本当に国民のことを考え、クリアに政治を運営できるのはいずれの政党なのか、しっかり見極める目を持つことが大切です。
 自民も民主もダメ。そして残るのはさて……。

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土井敏邦『パレスチナ記録映像4部作』

2009年02月28日 | 国際・政治
土井敏邦

パレスチナ記録映像4部作

完成記念シンポジウム


??ガザ緊急報告??

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 土井敏邦さんの20年間にわたるパレスチナでの取材映像が、4本のシリーズにまとめられるまであとわずか。その完成記念シンポジウムが明治大学リバティータワーで行なわれました。
 今日はそのダイジェスト版(1時間)を見ることができました。
 パレスチナの記録は、広河隆一さんが膨大なアーカイブス版を制作していますが、土井さんの視点は、広河さんと幾分異なります。
 土井さんの映像は、よりいっそう個人に密着しています。
 たとえば、一つの家族をとらえると、さらに一人の少女にずっと視線を送り続ける、といったぐあいです。
 内側に入り込む力は、他に類を見ません。

 「またかよ、と言われるかもしれませんが」と前置きして語ることは、マスコミでは報道されない出来事の下半身について。
 自爆テロとそれに対する報告という上半身だけを見ていると、戦争が終わるとすべてが終わったように見えます。しかしそうではなく、家族を失った子どもは生きるすべを奪われ、農地を破壊された農民は家族を食べさせることができないのです。
 そういうことは、戦争が終わったあともずっと続きます。

 「上半身が自爆テロと報復なら、下半身は占領と難民」であると、土井さんは2002年から使っているという手描きのイラストを示して説明します。(写真を見せられないのが残念)
 また、テロと報復についても、その規模の違いをマスコミは伝えていないといいます。
 「パチンコ玉をぶつけられた仕返しにミサイル攻撃をするほどの違いがある、まるで象がアリを踏みつぶすようなものだ」

 これも手描きの図で説明します。
 「高さの違う二本の柱も、真上から見ると同じに見える」
 ハマスとイスラエル軍では戦力の差がまるで象とアリ。花火のようなロケット弾が一発撃ち込まれると、イスラエル軍は猛烈な空爆を繰返すのです。

 マスコミの報道は、そうした一面的な見方である批判しました。多くのマスコミはイスラエル寄りといわれますが、まさにそのとおりです。

 この日は、先月取材から持ち帰ったばかりの、ガザの最新映像も見せてもらいました。
 この最新映像は3つのテーマに分けられています。

 最初は「人的被害」。

 イスラエル軍によって破壊された建物は、10日経ってもまだくすぶり続けています。
 「燃えているのは白燐弾の破片です。もう10日以上も燃え続けています。水を掛ければさらに燃え広がりますから、自然に燃え尽きるのを待つしかありません」

 送られて来た支援物資の食糧も燃えてしまっています。
 爆撃で家が破壊され、そこに住んでいた36人のうち23人が死亡しました。
 3歳から13歳の子どもも含まれています。
 彼らがテロリストであろうはずがありません。

 家族を失った13歳のアマルは、カメラの前で淡々と語ります。
 「突然イスラエル兵が家にやって来たの。『この家の主人は誰だ』ってイスラエル兵は言ったわ。父は身分証明証もって両手を上げて、??こうやって、両手を上げて、『主人は私だ』って出ていった。そしたら、数メートル離れたところの兵隊が、いきなり父を撃ったの。ここ(左胸)とここ(右胸)とここ(額)」
 このとき、幼い兄弟も含めて、子どもたちは自分以外全員殺されました。

 イスラエルは、パレスチナ人をすべて、この世から抹殺しようとしています。

 二つめは「産業の破壊」

 苺畑がわずか1分で、白燐弾によって破壊されました。
 「ここに武装勢力がいたとでもいうのか!」
 農民がカメラに向かって叫びました。
 400頭の羊と400頭の牛がいた農場は、50頭の羊が瓦礫の下に埋まり、救えた牛は100頭だけ。
 「ここにはハマスもファタハもいなかった。なのにイスラエル軍はやりたい放題だ」

 三つめは「殺す側の耕造」

 荒れ果てたガザとは対照的に、のどかな雰囲気のイスラエルの街。
 「私がテレビに出るのは最初で最後でしょうから、晴れ姿をよく見ておいてください」
 土井敏邦さんがレポーターのごとく語りながら街を行きます。
 「イスラエル国民の92%が空爆を支持したといいます。はたして彼らは何を感じ、何を思っているのか、聞いてみたいと思います」
 空爆でなんの罪もない子どもたちまで死んでいることをどう思うのかと、若い女性にインタビューをします。
 「せっかく土地を与えたのに、彼らは全部よこせっていうのよ」
 塀で囲って封鎖している状態は、占領ではないと考えているようです。
 「封鎖を解いたらテロリストが押し寄せてくるわ」
 ??ロケット弾で数十人死んだ報復に、ガザではすでに900人が死んでいるが。
 「これまでに殺された人の数は、イスラエル人の方がずっと多いわよ。彼らは悪いことをしたんだから罰を受けるのは当たり前。そうよこれは罰なの」

 イスラエルでは、パレスチナ人の子どもや一般人の死体など、ガザの実情を伝えるの映像は一切放送されないそうです。つまり、国に都合の悪いことは自国民にも知らされない。まるで戦時中の日本の大本営。

 「マスコミが興味を持つのは、一番目だけでしょう。二番めと三番めは地味すぎてマスコミでは取り上げてくれません。しかし、大切なことは二番めと三番めにあります。戦争が終わったあとに残される、より多くの苦労は二と三にあるのですから」

 土井さんが追い続けた一人の少女はアマルといいます。家族を失いこれからどうやって生きていくのか、将来はまったく見えていません。
 「パレスチナ人という総体ではなく、アマル、あるいはムスタファという個人とつながることで、パレスチナ全体とつながることができると思うのです。わたしはアマル基金なるものを立ち上げられないだろうかと考えています。協力できる人がいたら名乗り出て欲しい」

 この後、土井さんと朝日新聞社の川上泰徳氏、日本女子大教授の臼杵陽氏によるパネルディスカッションがあったのですが、午後1時から始まって、ただでさえ長い集会がすでに相当延びています。これも付き合っていると終わるのは7時ごろ。
 で、パネルディスカッションはパスしました。

 いつものことですが、JVJAの集会は予定通りにはまず終わりません。



 今回は東京芸術大学を中心に、学制ボランティアが実にすばらしい資料集を作ってくれました。

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 写真の右下がそれで、アラビア語のニュースや資料を翻訳し掲載してあります。
 とくにアメリカのオバマ大統領のパレスチナ問題に対する姿勢を分析したところはすばらしく、「ブッシュと大差ない」という結論を導き出していました。

 こういった集会に参加するのは、資料集めも兼ねています。
 通常手に入りにくいものや、埋もれて見落としているものなどが目にとまるからです。
 今回の収穫は、岡真里さんの講演記録(左下)。
「DAYS」や「Actio」は模索舍でも入手できますが、ついでなので買っておきました。

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『クラスター爆弾なんてもういらない』刊行記念トークセッション

2009年01月30日 | 国際・政治
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 新宿のジュンク堂書店で開かれた、合同出版主宰の「『クラスター爆弾なんてもういらない』刊行記念トークセッション」に出かけました。
 8階奥にある喫茶室を貸し切っての会場は入場者20人ほど。
 今は国内問題に国民の意識がむいているせいか、国際問題を扱った催し物は今ひとつ集客力がたりません。
 ちょっともったいない。

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 お話は本の著者で日本国際ボランティアセンター事務局長の清水俊弘さん(右)と、シナリオライターでJHP・学校をつくる会代表の小山内美江子さん(左)。
 二人の間にある黄色い茶筒みたいなのがクラスター爆弾の子爆弾の模型。布状のものがかぶっているように見えるのは、落下する時に安定を保つためで、形によってリボン状のものもあります。
 この子爆弾1個で、約60ドル。この型の爆弾の場合202個が親爆弾一つの中に入っています。
 ほかには644発の子爆弾が詰められたものもあります。
 外側のシェルの役割をする親爆弾を含めると、1発で1万4~5千ドルになり、ベトナム戦争では29万6000発が投下されたと言われます。
 44億ドル以上!
 もっとも多いのはラオスで41万4000発。
 62億ドル!
 軍需産業が儲かるわけです。
 ばらまかれた子爆弾は、ベトナム戦争で9700万発、ラオスで2億6000万発が、地上に落下したと言われています。
 爆弾の性質上、約2割の不発弾が残り、そのためになんの罪もない一般住民や子どもたちが被害を被っています。


 去る12月3日には、ノルウェーのオスロでクラスター爆弾禁止条約調印式が開かれ、日本を含む94カ国が調印しました。

 「(アメリカに義理立てして反対の立場だった日本は)福田総理(当時)が『こんなものいらないでしょ』とぽろっと言ったのがきっかけで」と清水氏。
 「福田さんはお母さんが、もう90何歳だけど、とっても平和主義で、『ヤなものはヤなの、危ないものはダメよ』と言ったからみたいよ」と小山内さん。

 さて、ぼくがひっかかった偽写真の、カラフルなクラスター爆弾のことについて聞いてみました。
 「子どもに拾わせようと、おもちゃの形をしたものや、おもちゃが入っているように見せかけた爆弾と言うのは実際あるんですか?」
 「間違いそうな形をしたものはありますが、わざわざ子どもに拾わせようと意識して作ったものは聞いたことがありません」(清水氏)
 「クラスター爆弾じゃなくて、対人地雷には、チョウチョのおもちゃみたいなのがあるの。でもそれは落下を制御させるためで構造的なことなのよ。それをおもちゃと間違えて、被害を受けた子どもがいたので、子どもをターゲットにした悪質な爆弾だって思い込んじゃったんじゃない」(小山内氏)
 よく耳にした、子どもに被害を与えるために作った爆弾というのは、どうやらボランティアやその周辺の人々の思い込みのようです。

 しかし、子どもが手に取りやすい大きさといい形といい、危険極まりありません。

 「その爆弾(見本で持って来た子爆弾)は黄色いでしょ。支援物資の食糧も黄色いパッケージに入っているから、間違えて爆弾を拾っちゃうのよ」(小山内氏)

 昨年の条約調印で廃止に一歩近づきましたが、軍事大国のアメリカ、ロシア、中国は調印していません。
 調印した日本は8年後までにすべてのクラスター爆弾を破棄しなければなりませんが、自衛隊は破棄する技術を持っていないとか。
 何をか言わんや!

 しかし、国際法状残虐兵器とされたクラスター爆弾はこの二年間、世界のどこでも使われていません。これは実績として評価できることです。

 「コスタリカでしたっけ、軍隊を持たない国。武器にお金を使っていないから、国内総生産は日本よりずっと少ないのに、はるかに豊かなんです」(小山内氏)

Cluster_3

 『クラスター爆弾なんてもういらない』、実はぼくはまだこの本を読んでいません。
 合同出版からは、重要な刊行物はたいてい送られて来るか、たずねた時にいただけるのですが、なぜか手元になくてもれていました。
 早急に読まなければいけませんね。

【リンク】クラスター爆弾禁止条約

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