山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

重箱読み

2018-12-03 | 知育タンスの引き出し
重箱読み
一昨日の朝日新聞朝刊に。直木賞を受賞した門井慶喜の文章が載っていました。「重箱読みが好き」という内容で、ことさら「寒」がつく漢字が好きだと書いています。
そういわれてみれば、「寒」がつく重箱読み漢字には風情があります。寒鰤(かんぶり)、寒桜(かんざくら)……。

ちなみに「重箱読み漢字」とは。二個以上の熟語で、上部が音読み、下部が訓読みにするものです。重箱、献立、台所、寒稽古などが代表例です。重箱読みと反対に、訓読み+音読みの漢字は、「湯桶」(ゆとう)読み漢字といいます。湯桶、手本、献立、庭下駄などが代表例です。

本日は新年会で、新橋(シンばし)へ行きます。ただし固有名詞の場合読みが複雑なので、重箱読みの仲間に含めないのが一般的です。
山本藤光2018.01.26

315:個人知と組織知

2018-12-03 | 小説「町おこしの賦」
315:個人知と組織知
――『町おこしの賦』第10部:生涯学習の町 

夏休みに、長女の明里が帰省してきた。わずか半年ほどの間に、明里は大人びた雰囲気になっている。恭二は詩織の若いころに、似てきたと思った。明里は、一橋大学経営学部の一年生である。
「本館の前を通ったとき、ちょっと寂しかった。でもお年寄りは、楽しそうに花壇の草むしりをしていた」 
 電話では経緯を知らせてあったが、看板がつけ変えられているのを目の当たりにしてショックを受けたようである。
「おじいちゃんもおばあちゃんも、お友だちに囲まれて楽しそうよ」

「明里、人生の一二三二一って法則、知っているかい?」
「そんなのわからない」
「一は独身。二は結婚しての夫婦。三は子どもができて家族になる。その次の二は子どもが親離れしてしまったとき。そして伴侶を失ったときが最後の一となるんだよ」
「うーん。するとおじいちゃんとおばあちゃんは、最後の二の状態なんだ」
「明里は現在、最初の一。だから二に備えなければならない」
「お父さん、町長になってから、哲学的になってきたね」
「実はお父さんの話には、種本があるんだ。山本藤光という人が書いた『人間力マネジメント』という本に、そう書いてあった」

「その人、知っているよ。私ね、野中郁次郎名誉教授のゼミに入っているんだけど、野中先生が紹介してくれた。読んではいないけどね」
「ナレッジマネジメントの世界的、第一人者のゼミに入っているのかい?」
「すごく楽しい。知(ち)って、神秘的だよね。個人知を組織知にするあたりのことは、役場でも大いに役に立つと思うよ」 

「SECI(セキ)プロセスのことだよな」
「お父さん、すごい。SECIを知ってるんだ」
「英語の頭文字をつづったものと書いてあった。それぞれの頭文字を循環させると、知のスパイラル現象が起きる」
「そう、驚いちゃったな。お父さん、ナレッジマネジメントを勉強してたんだ」
「いや、これも山本藤光さんの本で学んだ」

056cut:どちらが楽しく働けるか

2018-12-03 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
056cut:どちらが楽しく働けるか
――09scene:プロフェッショナル魂
影野小枝 その日の午後九時半。漆原さんはカウンターでラーメンを食べています。他にお客さんはいません。
漆原 おいしかったよ。ごちそうさま。
料理人 お客さん、昼間もきてくれましたよね。まいど。
漆原 聞いてみたいことがあったので、質問してもいいかい?
料理人 スープの秘密以外なら、構わないけど……。
漆原 変な質問で申し訳ないのだけど、どうしても聞いてみたくて。なぜあっちの店を辞めたの?
料理人 お客さん、週刊誌の記者なの?
漆原(名刺を差し出し)いやいや、薬屋さんだよ。
料理人 薬屋さんが何で?
漆原 あなたに興味を持った、っていえばいいかな。
料理人 もの好きっているんだね。あっちの店を辞めたのは、金にうるさくなったからかな。もうかってくると、もっともっとと強要してくる。いちいち客の好みに合わせるな。時間のムダだ。スープも麺も大量に用意しろ。そんなときに、この店のオーナーから声がかかったのさ。お客さんに、おいしいといってもらえる店にしたいって。
漆原 向かいに移ったのは、たまたまだったの?
料理人 そう。別に前の店を恨んじゃいない。問題はどちらが楽しく働けるか、の選択だけだよ。お客さん、今度は濃い目のスープをためしてごらん。すべてのお客さんが濃い目を希望すると、売上は2割ほど落ちるけどね。お客さんがスープまで飲み干してくれたら、こんなうれしいことはないのさ。
漆原 ごめん、スープ残しちゃって。
料理人 いいってことよ。だから今度は、濃い目で挑戦してみてよ。
漆原 楽しく働けるか、か。いい言葉だね。
料理人 じゃあ、後片づけするので、またきてちょうだい。

060:漢字たちを楽しむ

2018-12-03 | 銀塾・知だらけの学習塾
060:漢字たちを楽しむ
――第4講義:書く
若いときの実話です。新入社員を助手席に乗せて、彼の担当する病医院を案内していました。助手席の新入社員「所長、札幌の駐車場はゲッキョクというところが独占しているのですね」

何をいっているのか、わかりませんでした。ゲッキョク。頭のなかで単語を転がしているうちに、思いあたりました。彼が見ている看板には「月極駐車場」とあったのです。

白川静『漢字百話』(中公新書)を読んでから、がぜん漢字の成り立ちに興味を持つようになりました。前記のエピソードを思い出しながら、楽しく1日1話を読みました。良書に触れると、興味の世界が広がります。普段なら何も感じない漢字を見て、その成り立ちを考えるようになりました。少しだけ頭の体操をしてみます。(以下3つのの問題は『知育タンスの引き出し』で紹介済みです)

◎塾生への問題1(正解者はエライ)

「非常に驚くことを、「たまげる」といいます。どんな漢字なのでしょうか」という問題に直面しました。まったく想像できません。まさか「玉蹴る」ではないだろうな、などと思いました。回答を知って、さらに驚きました。とんでもない漢字をあてはめるのです。

◎塾生への問題2(正解者はエライ)

子はカスガイ。新聞を読んでいて、「カスガイ」はどんな漢字だろうかと考えました。戸をとざす金具。両者をつなぎ留めるもの。意味は明瞭だけれど、漢字がわかりません。

こんなときにも、いきなり辞書に頼りません。まずは考えてみます。想像をめぐらすのです。金具だから、金偏だろうな。ここまでは、想像できます。でもわからない。おもむろに辞書を引きます。

漢字を確認して、笑ってしまいました。カスガイ。子は夫婦をつなぐものと同時に、とんでもない意味があったのです。

◎塾生への問題3(正解者はエライ)

エイエイオーの「オー」って何? どんな漢字なのか、その成り立ちをイメージできますか。考えてから、先に進んでください。解答がありますので。

(活字から目を上げて、考える、考える)

司馬遼太郎『項羽と劉邦(上)』(新潮文庫・P210)のなかに、こんな文章がありました。

――楚人がおおぜい集まって気勢をあげるときは、いっせいに、一動作で、ひるがえるように右肩をぬぐ。まことに威勢がよかった。たとえば群集に向かって、「否(いな)か応(おう)か」というと、群集は「応」と、どよめき、いっせいに右肩方をぬぐのである。

普段何気なく用いていた「オー」というかけ声。「エイエイオー」の「オー」の正体を初めて知りました。拒絶するのか、応じるのか。一致団結して戦う、という意味が「応」だったのです。

 漢字をもっと楽しみましょう。ビジネス書を読んでいると、同じ表現がよくあります。たとえば、
――「働く」とは人を動かすことである。
――はたらくとは、傍(はた)を楽にすることである。
 などはその代表格です。塾長の好きなのは、次の漢字です。
――躾は、身を美しくと書きます。

開高健『青い月曜日』(集英社文庫)出た

2018-12-03 | のほほんのほんの本
開高健『青い月曜日』(集英社文庫)出た
開高健の紹介は『輝ける闇』(新潮文庫)と『裸の王様』(新潮文庫)で迷った末に、後者を選びましました。先日『青い月曜日』(集英社文庫)を手にして、『輝ける闇』も紹介したくなりました。『青い月曜日』は『輝ける闇』に連なる自伝的小説です。『輝ける闇』を読みたいと考えている人は、まずこちらからお読みください。
山本藤光2018.12.03

第六感

2018-12-03 | 知育タンスの引き出し
第六感
人間の五感は、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚なのですが、第六感という言葉も存在します。第六感とは何のことなのでしょうか。直感や勘などを思い浮かべる人は多いと思います。これが正しいか否か、検証してみたいと思います。

――(第六感は)五感のはたらきを超えて、物事の本質を直接感じとる感覚であるといわれています。また、五感を合わせた総合的な能力が第六感であるともいいます、五感を鋭く磨くことによって得られるプラスアルファの能力なのかもしれません。(日本社『つい誰かに話したくなる雑学の本』講談社+α文庫)

ちょっとわかりにくいのですが、経験知による直感などは第六感といえるかもしれません。勘もインスピレーションも霊感も第六感なのでしょうね。
山本藤光2018.03

観ているのは4K画面?

2018-12-03 | 妙に知(明日)の日記
観ているのは4K画面?
12月1日から「4K」放送がはじまりました。我が家のテレビは「AQUOS LC-50US40」です。4Kが観られるテレビだとばかり思い込んで、老妻と「やっぱり4Kはきれいだね」と感嘆の声をあげました。ところが「4K対応」テレビにはチューナーが必要と知り、にわかに不安になりました。購入した電気店は電話がつながらず、いまだに4K画面を観ているのかどうかわかりません。
山本藤光2018.12.03