山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

灯台もと暗し

2018-12-16 | 知育タンスの引き出し
灯台もと暗し
灯台もと暗し。この灯台は岬の灯台のことではない。こんな説明に出くわしました。ありゃりゃと思ってしまいます。解説によると、昔室内で使っていた燭台のこととありました。私を含めておそらく、ほとんどの人が岬の灯台だと思っていたことでしょう。(『語源・面白すぎる雑学知識』青春出版社文庫をまとめました)
山本藤光2018.10.21

327:息子が先輩

2018-12-16 | 小説「町おこしの賦」
327:息子が先輩
――『町おこしの賦』第10部:生涯学習の町
 瀬口恭二、宮瀬幸史郎、猪熊勇太は、居酒屋むらさきで談笑している。幸史郎の若年性認知症は、奇跡的に進行を止めている。そのことを、恭二は幸史郎に尋ねた。
「町長職のストレスが、災いしていたようだ。今では物忘れの頻度は減った。だから二人の名前も覚えている」
「早めに気づいて、よかったよ」
「コウちゃんには、後継者恭二の仕事振りを見守る義務がある。だから何としてでも、病気に打ち勝ってもらわなければならない」
「毎朝、起きるのが怖い。美和子の顔を見て、名前を頭のなかでそっと呼んでみている。それから勇太や恭二の顔を思い浮かべて、名前を思い出す。今のところ、順調だ」

「勇太、翔和学園大に入学おめでとう」
 思い出したように、恭二は告げた。
「詩織ちゃんと同級生になる。楽しみだよ」
「恭二の生涯学習の町構想は、着実に実現に向かっている。頼もしい限りだ」
 幸史郎は熱燗を恭二に差し出し、うれしそうに笑った。

「とにかく翔和学園大学を誘致しちゃうんだから、すごいよ。長男の勇気は、大阪Jr大学へ行っているんだけど、あそこは翔和学園グループ校だといっていた」
「ということは、勇太が息子の勇気の、後輩になるわけだ」
 幸史郎は、自分の高校時代を思い出している。自分が標茶高校へ入学したとき、上の学年に妹・彩乃がいた。

 居酒屋むらさきの扉が開いて、長島太郎と樋口正直が顔を出した。二人は三人を認めて、合流した。「お疲れさま」と声をかけ合い、ビールとおちょこが持ち上げられた。
「大学の方は何人になったの?」
 恭二が尋ねた。
「五十六人です。二教室で運営することにしました。翔和学園からは、二講師の派遣を了承してもらっています」
「すごいな、予定定員の倍の人数だ」
 恭二がいった。
「私もこんなにニーズがあったのか、と驚いています」
 長島は、うまそうにビールを飲んでいった。

069cut:なぜ使ってくれないのですか

2018-12-16 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
069cut:なぜ使ってくれないのですか
――11scene:発想の転換
影野小枝 午後2時です。漆原さんと寺沢さんはファミリーレストランで、遅い昼食を終えたばかりです。
漆原 このあとは、いよいよK病院だな。説明会以降、どんな状況だ?
寺沢 景山先生が2例使ってくれています。他のドクターは、まだです。
漆原 がんばっているようだな、やるじゃないか。今日の同行では、他の先生にも使ってもらえるように、私も全力を尽くすよ。
寺沢 何も採用されていないから、新人のぼくが担当させられました。唯一の大規模病院(300床以上の病院のこと)ですので、やりがいがあります。
漆原 そこを乗り越えたら、テラにはほかにも大規模病院を担当してもらうよ。ところで、テラはまだ処方をしていないドクターから、その理由を聞いていないのかい?
寺沢 いいえ、聞いていません。
漆原 先生はなぜS(競合品)を、お使いになっていらっしゃるのでしょうか? あるいはなぜ当社のFをお使いいただけないのでしょうか? この質問ができるようになったら、テラも一人前だ。
寺沢 そんな質問をしたら、ドクターに叱られます。
漆原 ではK病院で試してみよう。私がやってみるから、ドクターの表情をよく観察するように。
寺沢 ドクターは怒りませんか?
漆原 そんなことで怒るようなら、そのドクターとは縁を切ってもいい。私の経験では、その質問で1回も叱られたことはない。

073:課題を整理する(小さな研究の進め方2)

2018-12-16 | 銀塾・知だらけの学習塾
073:課題を整理する(小さな研究の進め方2)
――第5講義:考える
◎犬の名前に着目

塾長の記憶では、犬の名前は「ポチ」でした。ところが読んだ本は「シロ」という名前になっていました。

絵本系の「絵本2・3」は、平仮名と片仮名の違いこそあれ「シロ」「しろ」となっていました。物語系の「物語2・3」には、犬の固有名詞はありません。終始、「犬」「犬ころ」で通しています。

塾長が「ポチ」と思い違いしていた理由は、幼年唱歌「花咲じじい」(明治三十四年・石原三郎作詞)にあるような気がします。家族や友人にも質問してみました。8割の人は「ポチ」と答えました。「シロ」と答えたのは少数だったのです。

登場する犬がなぜ白なのかを調べてみようと考えます。資料の評論を検索します。こんな記載がみつかります。

――白い動物は昔から尊ばれていました。倭建の命(やまとたけるのみこと)は、足柄の神であった白鹿を殺し、伊吹山では神であった白猪を神の使いととりちがえ、あなどったために遭難している。(評論1)

尊い犬は、白くなければならないようです。ところが「物語1・2」は頑固に、犬の固有名詞どころか、「白い犬」との記載もありません。茶色の犬かもしれませんし、黒い犬なのかもしれません。

なぜ、白の記載がないのか。白は神の化身であり、安易に殺されてはならない。倭建の命の例を引くまでもなく、殺される犬は「白」くてはまずいのでしょう。だから「物語1・2」は犬の名前も容貌も封印したのです。

長谷部史親『私の江戸川乱歩体験』がいい

2018-12-16 | のほほんのほんの本
長谷部史親『私の江戸川乱歩体験』がいい
長谷部史親『私の江戸川乱歩体験』(廣済堂)は読み応えのある一冊でした。江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』(新潮文庫)を「500+α」ですでに紹介済みです。もう一冊紹介したいということで、本書にたどり着きました。江戸川乱歩の愛読者にはお勧めします。
山本藤光2018.12.16

当たり前

2018-12-16 | 知育タンスの引き出し
当たり前
当たり前。この語源は、意外なものでした。紹介します。

――共同で漁獲や収穫を行った際、その漁獲物・収穫物の一人当たりの配当を「当たり前」といった。それを受け取るのは当然の権利であることから、「当然」の意が生じたという。」「当然」を「「当前」と書き、それを訓読したとする説もある。(国語語源辞典~

あたりまえだのクラッカー。こんなCMが、昔あったのを思い出します。
山本藤光2018.12.16

ショッピングセンターの喧噪

2018-12-16 | 妙に知(明日)の日記
ショッピングセンターの喧噪
今年も残り半月。近所の大型ショッピングセンタ-。いつもは老妻の買い物の間、座って待つソファが落ち着きません。クリスマスソングが鳴り響き、クリスマスツリーの電飾が、文庫のページを七色に染めます。ひっきりなしに子連れの人並みがページを跳ね上げ、天井からは迷子の呼び出しが降ってきます。たくさんの荷物を積んだカートが床を鳴らし、集中できないままページを閉じました。そして帰りはとてつもなく重い荷物を持たされました。
山本藤光2018.12.16