山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

辞職で乞うこと

2018-12-08 | 知育タンスの引き出し
辞職で乞うこと
クロスワードパズルで、どうしても解けない問題がありました。
「辞職を申し出るときにはこれを乞う。答えはひらがな4文字」
他の問いに答えているうちに、「〇〇こつ」まで絞られました。しかし、いくら考えてもわかりません。

解答をみるのはくやしいので、さまざまな辞書にあたりました。そして発見。

骸骨――「史記」(仕官して捧げたわが身の残骸を乞いうける意。主君に辞職をねがう。(広辞苑第7版)

こんな意味は見たことも聞いたこともありませんでした。答えは「がいこつ」だったのです。
山本藤光2018.03.15

319:知の交流ロビー

2018-12-08 | 小説「町おこしの賦」
319:知の交流ロビー
――『町おこしの賦』第10部:生涯学習の町
長島太郎は、樋口正直を「標茶町生涯学習センター」の副館長に任命した。樋口は東京から移住して、数学教室を経営していた。藤野温泉ホテル・アネックスでの温かいおもてなしに感動して、標茶町に根を下ろしていたのである。
長島と樋口は、「おあしす」に仮事務所を置いた。さっそく、各フロアの募集を開始した。

「一階は我々の事務室、観光局、町民電話相談室、フォト・ラリー事務局が入ります。ここは移転するだけだから、特別にあわてて動く必要はないですね」
図面を見ながら、樋口は長島に問いかけた。
「先日、大阪で翔和学園の小野塚理事長にお会いした。そのときに教えられたのだが、町民がふらっとやってきて、いろいろな人と知の交流ができる空間が必要だ。たとえば大きな声で話ができる、図書館といったイメージなのだが」
「それはグッドアイデアですね。観光局と町民電話相談室は、町民との交流とは無縁ですから、一階になくてもいいと思います」
「そうだな。それらを上に移して、そこを知の交流ロビーとしよう」

 樋口は赤のボールペンで、図面に修正を加える。「入口を入ると、雑誌などを並べた書架がある。鉢植えがあり、いくつものテーブルがある。コーヒーなどを提供できる、バーカウンターも必要ですね」 
「その奥に私たちの事務室と、フォト・ラリーとか雪中運動会などのイベント推進室を置く」
「何だか、ワクワクしてきました」

「二階は、翔和学園夜間大学ですね。ここは学生の募集と、大阪からくる先生のケアを考えなければなりませんね」
「教室は日中空いているので、町民向け講演会やセミナーに活用できるようにしてある。二百席の階段教室になる」
「ここが教員室兼事務室ですね」
 樋口は小さなスペースを指差し、確認した。
「先生の宿泊は藤野温泉ホテルと交渉して、一室借り受けることにしたい。きみは学生募集の準備をしてくれたまえ」

061cut:「おれたちが」という3人称

2018-12-08 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
061cut:「おれたちが」という3人称
――10scene:4月のオフイス
影野小枝 現在の夕方のオフイスです。柱時計は午後6時半を指しています。漆原さんは帯広へ出張で不在です。寺沢さんを除く3人が缶コーヒーを飲みながら談笑しています。
熊谷 (時計を見ながら)テラ、遅いな。6時半に飲み会だと伝えてあるのに。
石川 忘れているのかも?
熊谷 あいつが飲み会を忘れるはずはないよ。
田中 電話くらいよこしてもいいのに。先に行きましょうか?
影野小枝 電話が鳴っています。受話器を取った田中さんが、寺沢さんであると指で合図をしました。
田中 テラ、どうした? えー、K病院の医局説明会、取れたのか。すごいじゃないか。で、いつだ? 明日!
石川(ガッツポーズをしながら)10年間も拒否され続けた、念願の説明会が実現した。漆原さんはすごいよ。こいつを男にしてもらいたいってこの前、薬局長に土下座をしたのだから。
熊谷 テラもよくがんばったよ。難攻不落の薬局長が、ついに首をタテに振った。歴史的な快挙といえる。
石川 ドクターは使いたがっているのだから、説明会が実現すれば採用になる。
熊谷 それにしても、あの薬局長がよく説明会を許可したものだ。いきなり明日というのは残酷だけど。
田中 残念だけど、飲み会は中止ですね。テラの面倒をみてやるのが、最優先事項です。
石川 テラが最高の医局説明会ができるように、おれたちが特訓しよう。今日は徹夜になるかもしれないぞ。
影野小枝 10年前、K病院は前リーダーの鈴木さんが担当していました。鈴木さんは薬局でトラブルを起こし、それ以来、R製薬の新製品は一切採用されていません。それが漆原さんの熱意で、門戸が開かれました。みなさん、喜んでいますね。飲み会を中止して、寺沢さんをサポートするといっています。おれたちという3人称が、チーム内に生まれたようですね。

065:柔らか脳を育てる

2018-12-08 | 銀塾・知だらけの学習塾
065:柔らか脳を育てる
――第5講義:考える
文章は考えなければ、書くことができません。考え方にはコツがあります。深く、広く考える技術を学んでください。

あの人は機転がきく。あの人はアイデアマンだ。このような人は、きっと脳が柔らかいのだと思います。柔らか脳を育てるには、たくさんの雑学を仕入れ、とんちんかんなクイズに挑戦することです。あなたの脳の柔らかさをテストしてみたいと思います。次のばかばかしいクイズに挑戦してみてください。

Q1.ある幼稚園での実話です。先生は「雪が溶けたら何になりますか?」と質問しました。たった1人の園児だけが、ほかの園児とちがう答えをしました。先生は感動してその園児に〇をあげました。さて園児は何と答えたのでしょうか?(制限時間5分、出典不明)

Q2.大きな身体の白熊も、獲物をつかまえるときにはすばやい動きを見せる。ところが、そんな白熊も生まれたばかりのペンギンはつかまえることができないという。いったいなぜだろう。(制限時間五分)――多湖輝『頭の体操BEST2』(光文社P15)

Q3.木(き)偏(へん)に赤と書いて、リンゴと読みます。木偏に紫と書いて、ブドウと読みます。では木偏に黄と書いて、何と読むでしょうか?(制限時間5秒、出典不明)

Q4.ある幼稚園の入園テスト問題です。上と下に数字が分かれています。なぜでしょうか?(制限時間5分、出典不明)
147
235689

3問解ければ、柔らか脳だとしておきます。ちなみに塾長は多湖輝の問題を解けずにタイムオーバーしてしまいました。つい塾長が笑い転げた問題を披露しておきました。

テストの回答は、次の講義でおこないます。しばし待たれよ。

大沢在昌『作家との遭遇』ゲット

2018-12-08 | のほほんのほんの本
大沢在昌『作家との遭遇』ゲット
大沢在昌『作家との遭遇』(新潮社)購入。前作『売れる作家の全技術』(角川書店)がおもしろかったので、また買い求めました。山本周五郎、カポーティ、カミュー論などが掲載されています。大沢在昌の作品は未読なので、これを機会に『新宿鮫』を読んでみようかなと思っています。
山本藤光2018.12.08

エミュレーション効果

2018-12-08 | 知育タンスの引き出し
エミュレーション効果
やたらにカタカナ語を連発する人がいます。小池都知事などはその典型です。コンサルタントのなかにも、そうした人はわんさと存在しています。私にはえらぶっているようにしか、聞こえないのですが。
中谷巌の著作を読んでいて、「エミュレーション効果」という言葉に出逢いました。何のことはない、これは「波及効果」のことのようです。
ただし波及効果は、影響が少しずつ広がるとの意味ですので、中谷は違うニュアンスを「エミュレーション」にこめているようです。それは「速攻」。本文を読むかぎり、「エミュレーション効果」は一発で影響が及ぶということでしょうか。
 
――誰かがすばらしいプレゼンテーションをする。そうすると、それが受講生たちの競争意識をくすぐり、「俺は絶対に負けない、もっと凄い発表をしてやろう」となる。こういったものをエミュレーション効果(Emulation Effect)といっているが、これは「お互いが張り合うことによって生まれる思わぬ効果」ということだ。(中谷巌『次世代リーダー学』小学館文庫・P41)

 うーむ。「速攻性波及効果」でいいのではないか。
山本藤光2018.12.08

角野栄子『魔女の宅急便』(全6巻、角川文庫)

2018-12-08 | 書評「か」の国内著者
角野栄子『魔女の宅急便』(全6巻、角川文庫)

お母さんは魔女、お父さんは普通の人、そのあいだに生まれた一人娘のキキ。魔女の世界には、十三歳になるとひとり立ちをする決まりがありました。満月の夜、黒猫のジジを相棒にほうきで空に飛びたったキキは、不安と期待に胸ふくらませ、コリコという海辺の町で「魔女の宅急便」屋さんを開きます。落ち込んだり励まされたりしながら、町にとけこみ、健やかに成長していく少女の様子を描いた不朽の名作、待望の文庫化。(「BOOK」データベースより)

◎『魔女の宅急便』誕生秘話

日本の児童文学の第一人者である角野栄子は、2018年国際アンデルセン賞を受賞して大いに話題になりました。受賞時の年齢は81歳と高齢の受賞でした。角野栄子の代表作『魔女の宅急便』(全6巻、角川文庫)が発表されたのは、1985年で著者40歳のときです。

昭和28年、当時大学1年生だった角野栄子は、ニューヨーク街の航空写真に心を奪われます。

――空から見る風景は、まるで自分が世界を抱えているような、またそこに物語が隠れているような気がしたんです。それから二十数年後、十二歳になった娘が描いた魔女のイラストとニューヨークの街の写真が頭の中で重なった。(角野栄子『毎日いろいろ』角川書店P16)

――(娘さんの空を飛ぶ魔女のイラストの)ほうきの柄にはラジオがかかっていて上には黒猫がちょこんと乗っていたの。(角野栄子『毎日いろいろ』角川書店P16)

『魔女の宅急便』のお膳立ては、すべて娘さんがしてくれました。こうして愛くるしい魔女キキ13歳が誕生します。ただし娘さんの描いた魔女は「黒いマントを着て、鷲鼻」(角野栄子『ファンタジーが生まれるとき』岩波ジュニア新書P130)だったようです。

 本書の成功の要因は、魔女を娘さんの年頃にしたのが第一点。第二点は仕事に「宅急便」を選んだことです。「宅急便」はヤマト運輸の商標ですが、角野栄子はそのことを知らなかったようです。このミスが、黒猫ジジと重なって「宅急便」の付加価値を上げています。

13歳になったら魔女は、ほかの魔女が住んでいない街で、一年間修業しなければなりません。キキが選んだのはコリコという町です。そこでグーチョキパン屋さんのおソノさんのところに身を寄せることになります。
キキの「宅急便」屋さんは物を配達するだけではなく、。物を取ってくる仕事までまかないます。
キキをパン屋の店員などに据えずに、「宅急便」屋さんを選んだことで物語に奥行きを与えました。

普通の人間である父親のオキノ、魔女の母親のコキリと別れ、キキは知らない街で孤軍奮闘します。『魔女の宅急便』はそうしたキキの成長物語なのです。

◎人生賛歌

『魔女の宅急便』が国際アンデルセン賞にえらばれた理由を、選者は次のように語っています。

――どんな困難も乗り越える方法があると、子どもたちにしめしてくれました。本書は人生賛歌です。(パトリシア・アルダナ)

選評のとおり、幼いキキはたくさんの試練を乗り越えます。詳細は書きませんが、ぜひ本文をご堪能ください。宮崎アニメになった『魔女の宅急便』は、まだ観ていません。やっと第1巻を読み終えたばかりです。全部読んでから、アニメを観たいと思っています。

角野栄子は、『魔女の宅急便』への愛を次のように書いています。

――この物語の一番好きなところは、キキの最初の旅立ちのとき。心配する家族や村の人たちに対し「私は贈り物を開けるときのようにワクワクしているわ」というセリフ。これは私の性格そのもの。(角野栄子『毎日いろいろ』角川書店P20)

今回取り上げる『魔女の宅急便』は、第1巻しか読んでいません。代わりに、次の書籍を読みました。そんなことから、『魔女の宅急便』にまつわることを紹介させていただきました。

・『ファンタジーが生まれるとき「魔女の宅急便」とわたし』(岩波ジュニア新書)
・『毎日いろいろ』(角川書店)
・『考える人2014年春号;海外児童文学ふたたび』(新潮社)

アニメを見た方もぜひ活字の『魔女の宅急便』や上記の本を読んでみてください。新たな味わいが生まれると思います。
山本藤光2018.12.08 

フランス炎上

2018-12-08 | 妙に知(明日)の日記
フランス炎上
フランスが大暴動で、非常事態宣言に近い状態です。マクロン大統領のグローバリゼーションは富裕層にはありがたいのですが、一般庶民を圧迫しています。トランプ大統領の保護主義と対極の施策が大荒れ状況なのです。日本でも働き手不足から、外国人労働者の受け入れを決めました。働いてくれる外国人を大切にし、満足してもえるような受け入れ体制は、確立できるのでしょうか。フランスを見ていて、今回の強引な日本の決定は、不安になります。
山本藤光2018.12.08