80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

幼稚園での思い出(1)

2014-02-05 10:27:18 | 教育
入園前にお試し入園というのが1日あったが、

一番最初にこられたのはお人形さんのようなお顔の坊ちゃん

だった。 髪の毛は黒く多めで、背は小さめだけれども、きりっと

したお子さんだった。

私にとってははじめてみる私のクラスに入るお子さんだったが、

前の日まで、ご家族と一緒に写っている写真を見て、一生懸命

お名前を覚えたかいがあって、すぐお名前がわかった。

 ”K ちゃん おはようございます。”

と声を掛けると、しっかりとした声で、

 ”先生。おはようございます。”と、ご挨拶。

 ご家族から子供さんを受け取って、ご家族にはご挨拶をして

 大丈夫ですからと帰っていただいたが、泣き出すこともなく、

 ご家族の後を追う事もなくほっとして、園児たちの帽子掛けや

 おかばんを掛けるフックについているシールの説明をし、

 ”これがK チャンのマークになるので、覚えてね。 毎日、

 幼稚園についたら、まず帽子を取って、ここに掛けましょうね。

 それから、おかばんを取って、中から、エプロンを出してください。

 おかばんは、また、同じシールのついたこのフックに掛けてくだ

 さいね。”と、言った。

 彼は小さな手で一生懸命、かばんの中からエプロンを取り出して、

 かばんをフックに掛けた。

 ”じゃあ、エプロンをつけましょうね。”と、私は言ったが、

 その後、彼は、黙って私に背を向けて立っていた。

 私は彼のそばに膝をついて見ていたが、一向にエプロンに

 手がいかず、少しも動かないので、どうしたかと声を掛けようと

 したとたん、彼が大きな声で、

 ”先生。自分のことは自分でちゃんとやりなさい。”と詰問口調で

 言ったのである。

 私はびっくりしたが、考えてみると、彼は、毎日大人ばかりに

 囲まれて着替えの時は立っていれば、誰かがさせてくれたので、

 エプロンを着せるのは、大人の私の役目だと思っていたようなのだ。
 
 ”K チャン。 幼稚園では、みんなエプロンは自分でつけるのよ。

 私が見ているからつけて御覧なさい。”

 彼はびっくりしたような顔でつけ始めたが、そのエプロンは後ろに

 ついている左右の紐を前に回して、自分の体の前で結ぶようになって

 いたが、それがなかなか難しいらしく、きちんと全員が結べるように

 なったのには,約一ヶ月かかったのである。


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