鹿島には昔、葉桜食堂というのがあった。
意味深な屋号であるが、名付けた人はよっぽどの奥ゆかしいお方か、風流人であろうと類推したものである。
その葉桜もまた一興と、先週の日曜日は散歩に出かけた。
旭ヶ丘公園の桜は、七分方散ってしまっていたが、それでもまだ露天商の皆さんは頑張って営業しておられた。
そこで、子供の頃に遊んだ射的の露天があった。
いやはや何と申しましょうか・・・懐かしい、ただ只管懐かしいんである。
コルクの弾を銃口に詰めて、身を乗り出してお菓子の的を狙う。
見事下まで落とせばそのお菓子はお持ち帰りOKという嗜好。
これがなかなか難しかった想い出が脳裏にこびりついている。
子供だったから難しかったのだ。
そう思った私は、家内におねだりして8発500円に挑むことに・・・
結果は夫婦で煙草のお菓子一個だけ。
お菓子だけなら500円で山ほど買えるのだろうが、大赤字なんである。
それでも瞬時に子供の頃に還れてとても楽しかった。
公園内を愛犬を連れてゆっくり散策すると、花見の宴を開くグループが4組ほどブルーシートを広げていた。
西暦1800年頃植えられた楠木の根元は、まるで血が通っているような気がした。
そこでその生命力を妻に授かった。
実は、大楠は私達の仲人なんである。
武雄神社の大楠の前で指輪を交換して、木前結婚式を挙げたのだ。
赤門の大楠に見送られて、「来年もまた来ようね。」といいながら公園を後にした。
いい春の日曜日であった。
鹿島・・・いい街である。