風竿の「人生の達人」烈伝

愛すべき友、仕事・趣味の磯釣り・ゴルフ・音楽、少しの読書などにまつわるあくまで「ヒト」に重点をおいたブログです

北村尚志からの手紙

2009年10月08日 23時38分50秒 | 風竿の音楽夜話

ガンで闘っている友達がいる。僕らのおじさんバンドのシンガーにして呑み仲間、はたまた信金の同僚、さらにはゴルフのライバルでもある。

とても思いやりに溢れた男で、酒は滅法強く、若い時にはサッカーで鍛えた180センチに90キロという堂々とした体躯の彼がまさかガンに侵されることになるなんて、まさに、まさに、まさに、青天の霹靂とは、このこと。

神も仏もあるものか・・・。あんないい奴が・・・って何度思わされたことだろう。できれば少しだけ年上の私、人間性も彼の方が数段も上なのだから、彼の方が世の中のお役に立つ筈だと、代わってあげたいと理屈抜きに考えたくらいの、とても貴重な大切な友達・弟なんである。

上西山の親友を今年の晩春に失い、大切な弟みたいな友をガンに侵された私は、大胆にもガン細胞をこの街から追い出してやるなどと、あえて本気で、思い上がった行動に出たのであった。

その間のことはこちらに書いたとおりであるが 

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①癌細胞よこの街から出て行け

②孝二の花、孝二の月

③朝の来ない夜は・・・

④Amazing Grace  もっと生きたかった、生きてほしかった

⑤癌撲滅特区ムーブメントに点火

⑥ガン細胞をこの街から追い出そう

⑦ガン撲滅推進市民大会実行委員会

市民総ぐるみのムーブメントを音楽仲間からも盛り上げようという尊い声があがり、佐賀県を代表するシンガーソングクリエーターである友人の北村尚志君と、スタジオ・音響を営むインプットの山下光男さんに相談したのは6月であったろうか・・・。

作戦はガン撲滅キャンペーンソングを武雄から発信してYoutubeに貼り付けて、武雄ブログシティーズで大々的にキャンペーンムーブメントしようというもの。

曲のテーマの大きさに悩む北村君に、私の考えるモチーフを差し出したのがこの散文とも詩ともつかない一枚のペーパーだったのだ。

ガンを宣告された母が、遠く離れて暮らしている息子にそれを告げたいのだが、仕事が大変な時期にも関らず頑張っているわ息子にそのことをどうしても言えずに、「大丈夫だから安心してね」と言ってしまうお話なんである。

「蝉時雨」・・・遠く離れて暮らしているあなたへ

                                尾形風竿

今朝も早く目覚めました 窓越しに御船山が光っています

あなたは変らずに元気に暮らしているだろうか 

便りがないのが気がかりだけど

仕事が大変なのだろうと思うことにしています

難しい世の中だから 淋しいのはがまんしないとね

 

幼いあなたの手をひいて歩きまわった あの夏の日と同じように

今日も暑くなりそうです

実はあなたにはどうしても言えないことが

この半年で私の体の中に起こっているのです

いのちのろうそくは消えかかっていると

突然言われたのです

 

何度もあなたに電話をしようと ダイヤルを押したけれど

何度もあなたに手紙をだそうと 便箋を前にしたけれど

あなたの悲しむ顔が浮かんでは消えた

東京という都会の片隅で頑張っている 

おまえのことを思うと

 

父さんが亡くなってから 元気が自慢の私も気が弱くなった

さすがのスーパー教育ママも

今ではやさしいおばさんだと

まわりの人がほめてくれるよ

おまえにももっと やさしくして

あげれば良かったのにと この頃そう思う

 

夏祭りの夜のことだったか

家に迷い込んできた子犬をめぐり

泣きじゃくるあなたと口論したよね

ふくれっ面で外に子犬を捨てに行く あなたのやさしさに私は

本当は泣いていました

生き物を飼うには覚悟がいる と言いつつね

 

三年前に帰ってきたときに

仕事の話は なしにしようと言ったね

それで 大変なのだと思ったよ

でもあなたならば なんとかやれると

信じているんだよ 今でも

悪いこともあれば

いいこともあるのが人生だから

 

裏山からは蝉時雨 私の夕暮れが近づいているのを

知っているような

来年の夏には もうここにはいないかもと

さみしく思ったりしているよ

人生はいいことと悪いことの

めぐり合わせと繰り返し

 

このところあなたの幼い頃の夢ばかり見る

お前はほんとに とっても可愛かったよ

そして野山を走り回った あの頃のように

今でも手をつないで歩きたいものです

蝉時雨のあの道を

蝉時雨のあの道を

蝉時雨のあの道を

 

そしてアーチスト北村尚志君は数ヶ月にも及ぶ生みの苦しみを経て、ついにガン撲滅のキャンペーンソングを紡いだのである。

彼からのアンサーソングは、今朝そっと私のメールボックスに届けられていた。

11月3日のガン撲滅推進市民大会で披露されるこの曲は、ガンという病が特別なものではない。二人に一人は罹病するという現実を、世の中の人々にちょっと立ち止まって考えていただくために生まれてきた。

日常的な親子のふれあいを通じて、決して深刻にならぬよう、とても気を配り、しかしテーマは外さぬように、詩人としての北村尚志渾身の力作となった。

彼に公開を問うとおそらく、「まだダメです。」と言うであろう。

彼は完全に納得しない限り、自分の分身たる作品をけして無作為に見せようとはしないからだ・・・。  実は完全主義者なんであります。

しかし先の蝉時雨とのカップリングがあまりに見事に表現されていることから、私は素材の提供者としての立場から、今夜読者の皆さんにだけ、こっそり公開してみたい。

尚さんごめんちゃい。

あなたの手紙            尾形風竿「蝉時雨」より

                            作詞・作曲 北村尚志

今朝も早く目覚めました

都会暮らしも板についた

便利なものは あふれているけど

懐かしい文字が 何より嬉しい

時は毎年早くなるばかり 今日も仕事に追われています

最近の僕は すっかり疲れて

だからこそ あなたが気がかりなのです

「大丈夫、大丈夫 心配いらないよ」

いつもそう綴られた あなたの手紙

 

父さんがまだ元気な頃

みんなで出かけた 夏の花火

何気ない日々が 今はいとしい

父さんが 夜空で微笑っている

ひとり田舎で暮らすあなたも

同じ夜空を 見ているでしょうか

笑ったり 泣いたり 喧嘩したのも

家族が揃っていればこそ

「大丈夫、大丈夫 心配いらないよ」

今日もそう綴られた あなたの手紙

 

あなたの身体のことを聞きました

頑張るあなたのことも知りました

飛んでいきたいけれど 帰れないのです

あなたの背中を抱きしめてあげたい

今朝も早く目覚めました

幸せっていったいなんでしょうね

もう一度あなたと手をとり歩きたい

御船山に続く あのたんぼ道

「大丈夫、大丈夫 心配いらないよ」

今日もそう綴られた あなたの手紙

いつもそう綴られた あなたの手紙

 

 これからこの歌は、蝉時雨をプロのナレーターが朗読して、北村尚志さんが歌と演奏をレコーディングされることになっています。

来月にはYoutubeでご紹介できるものと思います。皆さん応援してくださいね。

 

追記

10月14日北村尚志さんのブログに関連記事がアップされました。

ぜひご覧下さい。