21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

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FRBの救済条件

2008年09月29日 23時06分09秒 | Weblog
 アメリカの金融危機、複数の企業が倒産している。民間の金融機関が救済を目的としたM&Aを繰り返しているが、それと同時に、FRBの金融機関救済も進んでいる。
 ある金融機関は「too big to fail」と判断されて税金で救済されたが、ある企業は見捨てられて倒産した。この判断基準がはっきりしていない。

AIGは保険会社で、銀行を相手にしているFRBが本来担当する分野ではないが、救済対象になった。一方、リーマンブラザーズは、規模が大きく歴史が長い証券会社だったが、救済の対象にはならなかった。そして複数の小規模銀行の倒産では、預金保護にさえ乗り出していない。逆に、不良債権を買い取るために75兆円規模の公的資金の投入が計画されている。
 場当たり的に救済企業が選ばれているように見える。

 FRBの救済条件がはっきりしていないことが、投資家の不安を煽って、株価が上昇しない要因となっている。

が、政策としては、それで正しい。FRBは救済の条件を公にしてはいけない。大体、景気の現状に比べ株価は高すぎる。もう少し下がるべきでしょう。


 FRBの救済対象となっていることがはっきりしてしまうと、企業内では社員の危機意識が薄れ、不必要に損失を拡大させてしまう問題がある。その上、「利益を出せば収入が増えるが、損失を出したら国が補填してくれる」のでは、集団心理で倫理崩壊が起きてしまう。

原則論としては、市場原理を信頼すべきで、FRBは企業救済に資金を出してはいけないのだ。しかし、現実論として「市場の不完全性」を補うためには、市場介入が必要となってくる。

この矛盾を解消するために、「救済条件は不透明」なのが正しいのだ。

「救済条件が不透明」だからこそ、市場危機が起こるまでは「救済は無い」ことが前提となり、市場原理の効率性を活用できる。そして、現実に市場危機が起これば、「なんとなく」救済に乗り出し、市場の不完全性を補完するわけだ。

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