21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

最適の為替水準

2010年10月17日 17時01分31秒 | Weblog
 輸入品を買うためには、支払う外貨を用意しなくてはなりません。日本円を売って、外貨を買うわけです。日本円を売るので円安になり、円安になると輸入品の値段が上がります。そして輸入品の量が減ります。

 同じように、

 日本の商品を何か買いたいとき、外国の企業は日本円を用意しなくてはなりません。自分達の国の通貨を売って、日本円を買うわけです。日本円買いなので、円高になります。円高になるとは、商品の値段そのものが上昇するのと同じなので、外国の企業が買う日本の商品の量が減ります。日本からの輸出量が減るわけです。


 輸入量と輸出量のバランスが取れていれば、日本円を買う人の数と売る人の数が同じになるので、為替レートは動きません。
 輸入量に対して輸出量が多ければ、日本円を買う人数の方が多い状態になるので、円高になります。逆に、
 輸入量に対して輸出量が少なければ、日本円を売る人の数の方が少なくなるので、円安になります。

そして、机上の計算だと、
 円高の時は、輸入に増加圧力がかかり、輸出に減少圧力がかかるので、輸出入のバランスが回復するはずです。
同じように、
 円安の時は、輸入に減少圧力がかかり、輸出に増加圧力がかかるので、輸出入のバランスが回復するはずです。

そう考えた場合、
 2010年の日本経済は、$1=80円の水準でも貿易黒字を維持しています。貿易黒字なのです。つまり、まだ「充分に円高が進んだ状態」とは言えない、ことになります。

現実には、その他モロモロのコストがあるので、こんな単純なことは言えませんが。(本来であれば経常収支、サービス収支も考慮にいれる必要があるし)





 アメリカ合衆国は、多額の貿易赤字を抱えながら、それでも莫大な量の商品を中国から輸入し続けています。この理由の一つとして、米ドルがドル高水準を維持していることが上げられます。つまり、米ドルの価値が暴落しないからこそ、中国の商品を「安く」輸入することが出来るのです。
 米国企業が輸入のために米ドルを売り払っても、中国政府が米ドルを買い集めているので、米$の暴落が起きないのです。アメリカにとって、中国はモノの「製造工場」であると同時に、それを購入する資金を提供する「ファイナンス機関」でもあるわけです。


 中国を「おもちゃ屋」、アメリカを「来店客」と考えて、経済構造を単純化するとイメージが湧きます。
お客さん(アメリカ)の方は、収入以上に消費している(貿易赤字を出している)ため、お金がありません。それでも、お店(中国)は製造した商品を売りたいので、お客にお金を貸して(米ドルを買って)、商品を買って貰っています。お客さん(アメリカ)の収入が消費を上回る(貿易収支が黒字化する)メドは立っていないので、貸したお金はいつ返ってくるか分かりません。
 それでも、いきなり商品が売れなくなるのは困るので、お店(中国)はせっせとお金を貸し(米ドルを買い)続けます。



私のイメージの中では、今の「米中関係」ってのはそんな感じです。