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経済成長への戦略的金融政策

2010年08月28日 22時32分31秒 | Weblog
不景気時に金利を引き下げることで資金の流動性を高めることが出来る。
古典的な金融政策だ。

しかし、金利水準がゼロに近づいてしまえば、経済の浮き沈みに合わせて金利を調節することが難しくなる。

特に現状の金利水準は「ほぼゼロ」であり、古典的な金融政策の効果は限られてきている。


そこで金利の調整以上に、資金の流動性を高めるのに効果を発揮するのが、「量的緩和」だ。

日本銀行が直接資金を出すことで、流動性を高める手段だ。


量的緩和の問題点は、過剰流動性が生まれることで、capital costが消滅してしまうことだ。
資金が非生産的な部門・産業にも流れ込むことで、経済全体の成長率の平均値が低く抑えられてします。
場合によっては、生産性が低い部門に資源・人材が奪われることによって、生産性の高い産業全体の成長率が抑えられてしまうことだ。

「量的緩和」によって、資金不足は解決されるが、変わりに資源不足・人材不足が引き起こされる可能性がある。
そして、次世代の産業への成長率が低く抑えられてしまう心配がある。これは、capital costが消滅することによって引き起こされる問題だ。capital costが消滅することによって経済成長率が低く抑えられてしまうのだ。

そのため、「経済成長への戦略的金融政策」では、capital costを復活させる必要がある。
そして、capital costを復活させるためには、金利が上昇する必要がある。

実際に日本銀行が取れる手段としては「政策金利の引上げ」である。金利が引上げられる事で、capital costが復活し、経済成長率を引き延ばすことが出来る。

資金の流動性を確保するために量的緩和を維持しつつ、capital costを復活させるために政策金利を引き上げる。
それで「戦略的金融政策」と言える。


もちろん、欧米各国が政策金利を低く抑えているなかで、日本銀行だけが政策金利を引き上げれば、金利格差が縮小する。これは円高要因である。円高が起きてしまうため、短期的には輸出企業の足を引っ張ることになるかもしれない。