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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

歌舞伎座「伽羅先代萩」「四千両小判梅葉」

2024-05-08 11:07:22 | 歌舞伎
5月7日(火)の夜に歌舞伎座で、久々に歌舞伎を見る。連休明けだったあためか、客席は6~7割の入り。近年の歌舞伎座でこんなに入りが薄いのは初めて見た気がする。4時半開演で、35分間の休憩を挟み、終演は8時半だった。

五月は恒例の団菊祭なので、団十郎と菊五郎の共演が見ものだが、菊五郎はもう年齢が年齢なので、菊之助が大きな役を演じている。先代萩の正岡は、女形では有名な作品だが、菊之助がどんな風に演じるのか見たいと思っていったわけだ。菊之助も決して若いとは言えないだろうが、この大役に取り組むと型を演じるのが精いっぱいで、正岡の強さ、特に精神的な強さが感じられない。この役を演じられるようになるのは、もう少し時間が必要と感じた。団十郎は、床下に変わって仁木弾正になって登場する。花道での面明かりでの演技など、見せ場はあるが、台詞を語って演じる場面がなかったのは残念。この後の「対決」も見たかった。

後半は松緑と梅玉による「四千両」。江戸時代の御金蔵破りの実話を河竹黙阿弥が芝居にしたもの。元は6幕22場だが、上演するのは3幕5場だから、脇筋を全部カットした短縮版。話は通じるが、芝居としての面白みはあまりない。中仙道の雪道での親子の別れの場は本当ならば泣かせどころだろうが、あまり情感が感じられず、面白みが出ていない。最後の牢内の場面と言い渡しは、芝居としての面白さはないが、江戸時代の牢内の様子が再現されていて、こんな感じだったのかと、風俗的な観点で面白い。もちろん現代の牢獄だってよく知っているわけではないが、歌舞伎でこうして再現してくれると、イメージが沸いて面白かった。

団菊祭にも関わらず入りが薄いのは寂しいと思いながら帰路につく。前を歩いていたご婦人は吉右衛門の写真に別れを告げていた。魅力的な役者がそろわないと歌舞伎も面白くないなあと改めて感じる。

家に帰って食事。新玉ねぎのサラダ。ビフストロガノフ、食後に国産のウォッシュ・チーズ。円安で、フランス産のおいしいチーズが入ってこなくなったのは寂しい。ペールエールとボルドーの赤。

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