劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

シアターオーブの「シカゴ」

2024-05-04 10:38:24 | ミュージカル
5月3日(金)の夜にシアター・オーブでツアー・カンパニーの「シカゴ」を見る。11日間に16回公演という、すごいスケジュール。シアターオーブは2000席もある大劇場なので、ミュージカルにはちょっと大きすぎる気がするが、若い人中心に満席だった。17時30分開演で、20分の休憩を挟み、終演は20時頃。

シカゴは、ロキシーとヴェルマという女性二人が主役だが、来日カンパニーは悪徳弁護士役のビリーをマシュー・モリソンが演じるというチラシなので、女性二人が大丈夫かと一抹の不安があったが、来日カンパニーでフォッシーの踊りを見られるのは貴重な機会なので、見に行った。

プログラムは重いので買わなかったが、チラシによると振付の再構成はアン・ラインキングなので、現在ブロードウェイでロングラン中の再演版と同じだろうと思う。初演版はあまり記憶にないのだが、初演時に評判になった衣装は使わず、黒のシックな衣装となっていた。

マシュー・モリソンは日本では有名だが、トニー賞候補にはなったものの受賞は逃し、現在はツアーが多いようで、厳しい世界だなあと思った。モリソンの演技や歌は、それなりの水準でなかなか良いと思った。

来日を予定していたヴェルマ役のジャレンガ・スコットは脚を痛めたようで、ミッシェル・アントロバスに代わったが、アントロバスは歌も踊りも良く、十二分に代役を務めた。ロンドンでもこの役を演じていたようだ。一番の主役ともいえるロキシー役はサラ・ソータートが演じた。いろいろなミュージカルに出ているヴェテランだが、アントロバスと並ぶと迫力負けして、ちょっと貧相に見えた。決して歌も踊りも悪くはないのだが、演技の迫力と、ダンサーたちに混ざった時の体型で見劣りした印象。この役には合わないと思う。

オーケストラは舞台上で演奏するスタイルで、13人編成の金管中心だったが、立派な響きを出していて、やっぱり生楽器は良いなあと改めて感じた。

肝心の踊りだが、優秀なダンサーが揃っていて、ボブ・フォッシーの世界を見事に再現して楽しませてくれた。フォッシーの晩年の愛人だったアン・ラインキングが再構成しただけあって、ほぼオリジナルの振付だったが、1幕の弁護士紹介の歌で女性たちが大きな羽根の扇を持って踊る場面は、昔のバーレスクの再現なので、ストリップをイメージしているはずで、弁護士が服を脱ぐという男性ストリップを見せる場面だったが、今回は脱がずに踊ったので、ちょっと違和感を覚えた。

それでも全体の出来はよく、楽しめる舞台で、すっかり良い気分になった。帰りがけにいつものスペインバルで軽い食事。金曜日の夜なので混んでいるかと思ったら、連休のためか、結構すいていた。トルティージャ、ハモン、イワシのエスカベッシェ、ポテトサラダ、塩だらのフリットなどを食べる。