白昼夢

時に暑さは人を狂わせる。


なんかのサスペンス・ドラマの台詞になかったか。
殺人の動機が、
「太陽があまりに眩しかったから・・・・・・・」

そう、
時に暑さは、人から冷静な判断を奪う事もある。



昨日の事だ。

修理のクルマを納車し、
会社に戻る途中、
同行した整備士が、
そこのモスバーガーに寄ってくれと。

昼飯、食わなかったのかと聞くと、
熱くてかなわんので、シェイクが食いたいのだと。
奢るから、少しサボろうと。
同意しモスバーガーのドライブスルーに。

実はドライブスルーが苦手なのだと話した。
なんか、あの、
ポスター見ながら、マイクに向かってオーダーするのには、
（まあ、滅多に行かない所為もあるが、）
まるで慣れない。
つうか、緊張感を伴うのだ。

彼には普通にバカにされたが、
ファーストフード店を利用する際は、
クルマから降りて、
店内のカウンターでオーダーするのが一番落ち着く。

午後の日差しがより一層、私に襲い掛かった。

「暑い・・・・・」
言葉を話すのも苦痛だ。

通路に沿ってクルマを寄せる。
P/Wを開けるが、
緊張感と暑さで、少しばかり意識が朦朧とする。
で、マイクに向かって出た言葉が、







「マック・シェイク、ふたつ・・・・・・」

















反応が無い。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






隣で、整備士が爆笑している。





ああ、暑い。
なんて暑いんだ・・・・・


薄れゆく意識の中で、
ふと、事実が挿入されていく。


そうだ、

モスバーガーだった・・・・・・・







時に暑さは・・・・・・・・・