青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

マリソル ~安藤忠雄の住宅街の隠れ家

2024-03-04 | 昭和の喫茶店

昔は良かった・・・聞き飽きた言葉ですが、本当に昔は良かった。車の乗って少し走れば、オシャレな食事場所があちこちにありました。たった一軒のラグジュアリー・レストランを知っていたおかげで、恋が意外な発展を見せる時もある。だから昭和の学生や社会人カップルたちは、ちょっとしたお店の情報交換を欠かしませんでした。生きた情報を如何に手にするかは、大切なことでした。今はネットですぐに情報が入手出来ますが、そもそも良いお店が無いから、いくら検索しても良質の情報が上がって来ません。

ここはフランス料理店の「マリソル」。大阪・豊中市の豊中高校の近く、上野新田線の上野小学校横にあったお店です。ここマリソルは、郊外の住宅地にあって、とっても美味なフランス料理をオシャレな空間で食べさせてくれました。まさにデートにピッタリのお店でした。デートに賑わうロマンチック街道に近いものの、ちょっと隠れ家的な存在でした。

コンクリートの打ち放しの壁と天井の建物は、安藤忠雄さんの手によるもの。

吹き抜けの店内は1Fと中2Fから成っていて、広々とした空間で過ごすことが出来ました。写真のフィレ肉とロースト・マスタードソースのコースが昭和62年(1987年)当時、4,800円。

現在は写真左に見えるように閉店となっています。

ちょっと時間が空いた時、ちょっと食事にという時、昭和の時代にはお洒落なお店があちこちにありました。ただし駅の近くでは無く、そこに行くには自動車が不可欠。だから車を持つことに価値があったし、車でのデートは、その人のセンスで輝くものになりました。カーステから流れる音楽1つ取っても、その人の趣味の良さを垣間見ることが出来たのです。

今は仕事を探す時でも、ネット検索。膨大な求人が瞬時に検索可能です。しかし、法律の縛りによって応募資格が誰にでもオープンなように見えるだけであって、実は本当に検索者が応募出来る情報はそんなに多くはありません。逆に言えば、生きた情報を見つけるのが難しい。昔は知人友人等のリアルに繋がりのある人々からの口コミ情報や、足で見つけた情報には本当に価値があり、誰もがそういう情報にアンテナを張り巡らし、それをお互いに交換していました。だから人のネットワークに価値があり、人との結びつきが大切だったのです。

今は人との関係が希薄になり、自由に生きているようでも実は退屈な実りの少ない時間を過ごしている人が少ないような気がしてなりません。少なくともそういう社会の状況が、結婚や人付き合いから疎遠な人々を増やしているのだと感じます。たとえ政府が人から強制的に巻き上げたお金を無差別にばら撒いても、少子高齢化は絶対に止まりません。

 



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