少し前に、子供時代に遊んだ「土管」の話を書きましたが、「ドラえもんで見たことがあるけど、本当にあったんだ」・・という声をたくさん頂きました。その記事の写真は、土管を公園の遊具として使っているものでしたが、今回は本物の土管が放置されているのが写っている写真を見つけました。
しかも・・・実は「野つぼ(肥溜め)」がメインの写真です。ドツボでも無ければ、茶壷でもありません。(笑)
野つぼというのは、農業設備の1種で、農家や農家だけでは足りない時は近隣の家から(当時は汲み取りトイレだった)糞尿をもらい、それを貯蔵するために畑の1部に堀った穴のことです。貯蔵している間に、下肥(しもごえ)という堆肥になります。野菜などの収穫期が来ると、農家の人が糞尿を提供した家に、取れた野菜を配っていました。
70年代になっても、そういう光景を僕は見ていました。
野つぼはそれを囲んで人が落ちないようにしているものもありましたが、そのままの所もあり、僕の子供時代の友達でも落ちたり(悲惨です)、靴を落としたり、野球のボールを落としたりしたことがあり、ワーワーギャーギャーと大騒ぎになりました。今となっては懐かしい!
この写真は昭和45年(1970年)のものですが、当時は大阪府・豊中市内にはまだまだ畑が多く、写真のような野つぼ(肥溜め)や、野井戸が残っている所が沢山ありました。農業には欠かせないものでしたが、子供には危険な場所でした。住宅が増えた今日では考えられない施設でしょうが、当時は当たり前で、風向きや天候、季節によっては周囲に当然臭いが漂うこともありました。
後方には土管も、無造作に放置されています。こういう場所で遊んだり、麒麟草などの草が伸びた夏や秋には空き地にダンボールを持ち込んで秘密基地を作ったり、防空壕跡で本格的な基地を作ったりもしました。そういうことが出来ない今の子供たちは可哀想だな・・と思います。僕はゲーム等無くても、友達とそういう子供時代を過ごせたことが幸せでした。
<追記>
この記事をご覧いただいた方から、「豊中市育ちの漫画家田渕由美子が作品集”最後の楽園”のあとがきの中で、野壺について触れていますよ。」と教えて頂きました。
こういうことを懐かしく覚えている方が多い事、それを教えて頂いたことを嬉しく思います。ありがとうございました!