【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「家族の庭」

2012-02-25 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

アキ・カウリスマキだな。
違うわよ。マイク・リーの映画よ。
しかし、冬の章に出てくる寡黙な男、あれはどう見たってアキ・カウリスマキの映画の中のキャラクターだろう。
冴えない風情で、ほとんど動きもない無粋な男っていうのは、たしかにそんな感じだけど。
女のほうだって、饒舌なところは違うけど、不幸が似合いそうな貧相な風情はアキ・カウリスマキの映画の中のキャラクターに重なる。
二人が出会ったときの、なんともぎこちない間。
いい年をしたおとながな。
イギリス人のマイク・リーがフィンランド人のアキ・カウリスマキを意識していたとも思えないけど、市井の人々を描くと似てくるっていうことかもしれないわね。
そうは言っても、この映画の中心にいるのは、彼らとまったく違って品のいい熟年夫婦。
休日には家庭菜園なんか耕して夫婦仲もいいし、何の悩みもない感じ。
そういう夫婦のもとに集まってくる連中が、なぜか寂寥感を漂わせた、アキ・カウリスマキの映画が似合いそうな人たちばっかり。
春、夏、秋、冬と季節を区切って夫婦の家に集う人々のとりとめもない姿を点描していくんだけど、みんなとても幸せそうには見えない。
そんな状況でも、アキ・カウリスマキの映画は見終わるとどこか温かい気持ちになれるんだけど、マイク・リーは厳しく人間を見つめるからやや救われない思いが残る。
そうね、市井に生きる人々を描いても、アキ・カウリスマキは実は楽観派、それに対してマイク・リーは冷徹派って感じかしらね。
やっぱりイギリス人なんだな、マイク・リーは。




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