後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔621〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑪ フランスロマネスクの真骨頂、トゥールーズとモワサックへ。

2023年10月23日 | 美術鑑賞
  9月1日(金)、ロンドン・セントパンクラス駅からユーロスターでパリ・北駅へ向かいました。北駅でまたしても待ち構えてくれていたのが愛さんでした。お忙しい仕事を差し置いて駆けつけてくれたのです。北駅からパリ・モンパルナス駅の移動を心配してのことでした。今回は私たちにとっては久しぶりのおにぎりの差し入れです。TGVの乗車券も彼女がネットでとってくれたものでした。感謝あるのみです。
 さて、今回はパリから一気に南下してトゥールーズへ向かいます。最大の目的はトゥールーズからほど近いモワサックに行くことです。日本で初めてリーメンシュナイダーの本を著した植田重雄さんの蔵書に、立派なモワサックのサン・ピエール教会の写真集がありました。ここの戸や柱に施された彫刻が素晴らしいのです。パリからは遠いのでどうしたものかと思案していると、是非行こうと背中を押してくれたのが緑でした。
 このサン・ピエール教会はロマネスク様式で、回廊の柱の上部の柱頭彫刻も個性的で素敵です。柱にそった聖人の彫刻が秀逸で、いままで見たことがないものでした。これは行って見るしかありません。
 しかも、トゥールーズにはロマネスク様式の代表作、サン・セルナン・バジリカ聖堂があるのです。
 というわけで、トゥールーズに3泊することになりました。
 9月2日(土)、人間とは欲深いもので、近場の世界遺産・カルカッソンヌに足を伸ばすことにしました。チャンスがあればフランスで一番行きたい世界遺産でした。愛さんとの話の中に登場したことに刺激を受けたことは事実です。しかしこのことがはらはらどきどきの始まりでした。

 そもそもカルカッソンヌとモワサックは方向が逆でした。まずはカルカッソンヌに向かうのですが、そこからトゥールーズを通り過ぎてモワサックまで行くのが難儀でした。でも結果的には2箇所を踏破して目的を達成したのです。
 モワサックのサン・ピエール教会の入り口近くの柱頭彫刻は拝観できましたが、中庭を囲む回廊には入ることができませんでした。実はここに多くの彫刻があるのです。(76柱に76の柱頭彫刻)他日を期したいと思います。
 このあたりの様子は写真で見ていただきましょう。




*カルカッソンヌの街中

*モワサックのサン・ピエール教会の柱頭彫刻

*タンパン

*ロマネスク彫刻の最高傑作と思われます。


〔620〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑩ ロンドンの3日間は美術館・博物館三昧でした。

2023年10月23日 | 美術鑑賞
  8月29日(火)、V&A美術館訪問のあとはテート・ブリテン鑑賞です。



 8月30日(水)、徒歩で大英博物館に行きました。さらに徒歩でロンドン・ナショナルギャラリーへ。次はこちらも徒歩で初めてのコートールド美術館への梯子です。日本でも少し前にコートールド美術館展が開催されたばかりでした。その展示物が戻っていてじっくり鑑賞できました。小ぶりの美術館ですが、名品揃いです。ちなみにコートールド美術館からホテルまでも頑張って歩き通しました。この日1日で2万歩弱を記録し、旅の最高記録となりました。



 イギリスの素晴らしいところは、コートールド美術館以外はいずれも無料だということです。公費と寄付金で運営されていて、寄付金を入れる箱は用意されています。
 8月31日(木)、雨模様の1日でした。フェルメールの「音楽の稽古」(これを見ればフェルメール全作品完全踏破)を見るためクイーンズ・ギャラリーを訪ねましたが、予約が必要ということで午後遅くに再度舞い戻りました。その間、国会議事堂、ウェストミュンスター寺院、ウェストミュンスター大聖堂、などで時間をつぶすことになりました。ウェストミュンスター寺院の入場料が27ポンドと高額なので土産物売り場を覗いただけにしました。


*国会議事堂に臨む雨の中のチャーチル像

 しかし再びのクイーンズ・ギャラリーにはフェルメールはありませんでした。しかも展示物が皇室関係の煌びやかなものだけで辟易してしまいました。クイーンズ・ギャラリー前の植え込みに咲くカタクリのような花には癒やされました。


*クイーンズ・ギャラリー

*クイーンズ・ギャラリー前の植え込みに咲くカタクリのような花

〔619〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑨  ロンドンのヴィクトリア&アルバート(V&A)美術館は彫刻の宝庫でした。

2023年10月22日 | 美術鑑賞
 街全体が博物館の趣のあるディジョンを訪問した翌日、私たち2人はルーブル美術館にいました。前述したように、グレゴール・エーアハルトのマクダラのマリアを撮影するためです。
 コロナ明けのルーヴルは多くの人でごった返していました。ネットで事前予約をしておいて正解でした。ちなみにマスク着用の人は1%ほどでしょうか。
 無事入館できて、次は見たい作品に直行できるかどうかの「勝負」でした。さすがに3回程度の訪問になる私たちは、それほど迷うことなく後期ゴシック彫刻の部屋に辿り着きました。あれだけ混雑していたのが嘘のようです。ゆっくり丁寧に作品と向き合うことができました。後期ゴシック彫刻の重鎮作家の作品も数点「発見」することができました。おそらく興奮して凝視続けていたのは私たちだけでしょう。さすがルーヴル、3部屋にわたって後期ゴシック彫刻の作品が展示されていました。
 館内で食事をしてから北方ルネサンスの絵画を中心にひたすら見続けました。版画作品が展示されたコーナーがあると記載されていたのに、そこは閉鎖されていて見ることはできませんでした。徒労に終わりました。
 モナリザなどダ・ヴィンチ絵画数点やニケやミロのビーナスなど有名どころにもご挨拶してきました。
 ちなみに第1日曜日、ルーヴル美術館は無料になりますよ。

 翌8月27日(日)、知人の娘の愛さんがフランス人と結婚して、パリ近郊に住んでいます。今回初めてお宅をお邪魔して旧交を温めました。
 写真は、愛さんが時々散歩に訪れるというセーヌ河畔です。



 パリまで行ったらロンドンに行かない手はありません。ロンドンは2回目の訪問で、市内に4泊の予定です。
 ユーロスターでドーバー海峡をくぐるのはあっという間です。(2時間ほどでしょうか)ただ乗り込むまでが大変です。パリ・リヨン駅からパリ・北駅まで移動するのが不安でしたが、なんと愛さんが手作りのサンドイッチを持って同行してくれました。感謝感激!
 ホテルはロンドン・セントパンクラス駅から徒歩数分のところ、部屋が狭いのは我慢するしかありません。近くの中華料理店が美味しかったのが救いでした。


*ユーロスター到着のロンドン・セントパンクラス駅

*ロンドン・セントパンクラス駅に隣接するキングス・クロス駅、「ハリー・ポッター」の「ホグワーツ行き特急」の最終駅

 8月29日(火)、ロンドン滞在最大の目的のV&A美術館訪問の前にしなければならないことが2つありました。移動のための電車のカード(オイスターカード)を買うことと古いポンド札を新しいのに替えることです。ここでも緑様々です。駅で無事カードを買って、英国銀行に直行です。厳重な警戒の中、ようやく両替して、いざV&A美術館へ。移動中の通路に日本人のバイオリニストとチェリストの大きなポスターが貼られていました。どなたでしたっけ?
 








 V&A美術館は2回目の訪問です。ミヒェル・エーアハルト、グレゴール・エーアハルトの作品を期待していったのですが空振りに終わりました。彫刻の小品は展示しない方針のように感じました。収穫といえばここに世界中の複製品コーナーがあったことです。古代ローマのトラヤヌス帝記念の円柱やミケランジェロの「ダビデ」や「モーゼ」など所狭しと陳列されています。リーメンシュナイダーの像に混じってペーター・フィッシャーのブロンズの墓碑が3つありました。1つはお馴染みのゼーバルドゥス教会のもの(『完・祈りの彫刻』掲載)、もう1つがマクデブルク大聖堂の初代神聖ローマ皇帝オットー1世の墓石です。後者はフィッシャーの初期の作品のようです。実はもう1つの墓碑を緑が見つけていました。マイニンゲン近くの街にあるようですが特定できません。
 次回のドイツ旅行の折には、まだ見ぬ2つの墓碑を探しに行くことになるのは間違いないでしょう。2025年かな。

〔617〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑧ ブルゴーニュ公爵墓碑の悲しむ人々に対面(ディジョン美術館)

2023年10月21日 | 美術鑑賞
 オットーボイレン大聖堂で、オットーボイレンのマイスターの作品を穴の空くほど眺め、その日は再びシュツットガルトのアンゲリカの家に泊まらせていただきました。彼女の家には合計3泊ということになりました。しかもこの日は娘も一緒にお世話になりました。
 翌日は、ドイツの仲良し4人組にシュツットガルト駅で見送られて、娘は帰国の途に着くためフランクフルト空港へ、我々2人はパリに向けて出発です。
 今回なぜパリなのかというと、ルーヴル美術館で、ミヒェル・エーアハルトの息子のグレゴール・エーアハルトの代表作のマクダラのマリア像を見るためでした。間違いなく彼の最高傑作で、ルーヴル美術館でも目玉の作品の1つとして、パンフレットに特記されているのです。
 ちなみにパリは5泊。パリ市内の名だたる美術館を再訪する以外にもディジョンまで「遠足」に行く予定もあるのです。

 ドイツの仲良し4人組にシュツットガルト駅で見送られ、パリのリヨン駅に到着して予約したホテルを探しているときでした。「何かお手伝いできることがありますか。」と突然背の高い外国の女性に話し掛けられたのです。何かやばい客引きかなと用心して相手の顔を見たら、なんとシュツットガルト駅で別れたはずのシルヴィアとクラウスがそこにいたのです。びっくりして腰を抜かしそうになったのですが、しかし彼らは大笑いです。私たちより先回りして駅について、驚かそうとしたのでした。考えられないサプライズで、以後、このことを反復して思い出しては皆大爆笑するのでした。
 翌日はオルセー美術館とオランジュリー美術館に同行してくれて、食事を共にして別れました。今度再会するのは清瀬の我が家です。

 その翌日、8月25日(金)はリヨン駅からフランスの新幹線TGVで2時間弱のディジョンまでの遠足でした。
ディジョンといえばエスカルゴとブルゴーニュワイン、そしてマスタードの名産地ですが、私たちにとっては、ディジョン美術館のブルゴーニュ公爵墓碑の悲しむ人々との対面が念願の1つでした。
 そもそも墓碑の下に配された大理石の彫刻群を拝観したいと切望したのは緑でした。
 随分前の話になりますが、ボーデ博物館の元館長のジュリアン・シャピュイさんから送られてきたのが下掲の1冊です。(A4サイズより大きいため下部が若干写っていませんが)
 シャピュイさんはこの本の巻頭言を書かれたお一人です。



 数十体の彫刻の一部が以前盗難に遭ったということでセキュリティ対策は厳重でした。しかし間近で凝視できたのは幸せなことでした。階上から俯瞰でも見られました。





 ディジョンは街全体が博物館のようでした。ディジョン美術館の次にノートルダム教会、宗教美術館、ブルゴーニュ生活博物館、考古学博物館、サン・ジャン教会、サン・フィリベール教会など街全体を堪能し尽くしました。ほぼすべての博物館が無料だったのには感激しました。


 *街中の案内表示

〔616〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑦ こちらも昨年のリベンジ、オットーボイレン大聖堂博物館、改装展示なる。

2023年10月20日 | 美術鑑賞
  8月22日(火)、私たち夫婦と娘、クラウスとシルヴィアはオットーボイレンという街にいました。ドイツ後期ゴシックの彫刻家、オットーボイレンのマイスターが活躍した街です。昨年初めてここを訪れたのですが、残念ながら大聖堂博物館は改装中で、展示は見られませんでした。今年こそはと再度訪れたというわけです。我ながらしつこい!
 予想通り綺麗に改装されていました。お目当てのオットーボイレンのマイスターによる「受胎告知とキリストの誕生」は見事なレリーフでした。美しい彫りの線が特徴の、この作家の代表作と言えるのではないでしょうか。後3点ばかり周辺作家の作品も発見することができました。その1部はバイエルン国立博物館からの出品作だということが緑の調べでわかりました。







 食事前にクラウスとシルヴィアのサプライズがありました。このレストランはビールの醸造所が経営するものでした。ビールを試飲しながら醸造所を見学できるというのです。様々な種類のビールを味わうことができました。
 この2人、もっと大きなサプライズを用意していました。それは後日。

〔615〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑥ 昨年のリベンジ、ついにヘッヒンゲンでビンゲン祭壇を見ました。

2023年10月19日 | 美術鑑賞
 昨年のドイツ旅行の最終盤、奇跡的に1日だけ自由行動が可能の日が生まれたのです。ならばフランクフルトからビンゲンに行こうと決めたのでした。ウルム博物館で入手したニクラウス・ヴェックマンの図録にビンゲン祭壇のことが書かれていたからです。
 ビンゲン祭壇はヴェックマンの彫刻とバルトロマイオス・ツァイトブロムの祭壇画で構成されていますが、彩色がしっかりしていて実に美しいのです。
 心躍らしてライン川近辺のビンゲンに降り立ったのですが、ここにはその祭壇は存在しませんでした。ホーエンツォレルン城近くのヘッヒンゲンにあるというのです。

  今年は再度チャレンジ、リベンジのビンゲン祭壇になりました。
 マリア被昇天教区教会は手入れの行き届いた、素晴らしく美しい教会でした。堂内には私たち2人の他には、車で同行してくれたクラウスとシルヴィアしかいませんでした。心ゆくまで祭壇を堪能し尽くしました。






〔613〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く⑤ ラーマーズドルフでグラッサーの磔刑祭壇を見る。

2023年10月19日 | 美術鑑賞
 8月13日(日)、ミュンヘン滞在の最終日、地下鉄で30分ほどのラーマーズドルフという街を目差しました。ここの聖マリア教会にある磔刑祭壇はエラスムス・グラッサーと工房の作品です。バイエルン国立博物館のヴェニガー博士からいただいたグラッサーの図録(ブログ既掲載)に掲載されていて、機会があれば是非拝観したいと願っていたものです。
 いつものことながら、お目当ての場所に首尾良く到着できるまでが難関です。難儀して「対面」できたときの感動は言い表すことができません。ミサのために集まっていたのでしょう、身なりを整えた老若男女に邪魔にならないように撮った写真がこれです。





 このあと、もう何回目になるのでしょうか、バイエルン国立博物館を訪れました。何回行っても発見があるものです。2人で舐めるように写真を撮りまくりました。

 ミュンヘンの後、ローテンブルク2泊、ヴュルツブルク2泊、フランクフルト1泊と続きます。子どもと孫たちはノイシュバンシュタイン城への日本語ツアーと、ミュンヘンから足を伸ばしてレゴランドを満喫しました。レゴランドで遊び倒し、ミュンヘンのラーツケラーで食べ尽くし満足の体でした。ローテンブルクとヴュルツブルクでは、リーメンシュナイダーの最高傑作についてお婆ちゃんの緑から話をしっかり聞いていました。
 2組のドイツの友人にも対面しました。
 金婚記念の子ども・孫孝行はこれでほぼ終了です。

〔612〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く④ 「アルトエッティングの扉のマイスター」の扉をガン見する。

2023年10月10日 | 美術鑑賞
 ライプツィヒ滞在の最終日、ドレスデン国立美術館を訪ねました。ここは2020年11月17日に世界を揺るがす大盗難があったところです。巨額の金銀財宝が盗まれたため、入場の際は厳戒態勢が敷かれていました。
 お目当てのペーター・デルの3枚のレリーフはまたもや見つからず、会場からの美しい町並みだけ撮影したのでご覧ください。





  8月10日(木)、私たちはドイツの臍といわれるアイゼナハに1泊しました。ここにお住まいの友人のエルケさんを訪ねました。お連れ合いのウヴェさんを亡くされたので、昨年に引き続いてお墓参りをしました。今年はミュンヘン在住のお嬢さんがいらっしゃいました。
 世界遺産のヴァルトブルク城でお仕事をしていたのがエルケさんです。お城が見渡せる丘の上で旧交を温めました。



 アイゼナハの次のミュンヘンで息子家族4人と合流しました。ここで3泊することになります。彼らがノイシュバンシュタイン城のツアーに行っている間、私たちはアルトエッティングに向かいました。
 アルトエッティングは日本のガイドブックにはほとんど出てこない町です。ミュンヘンの東約80㎞のところに位置する、昔からの宗教都市です。ドイツの彫刻関係の文献にたびたび登場した地名でした。「アルトエッティングの扉のマイスター」という表記も多く見受けられました。
 ミュンヘンから1時間40分ほどでアルトエッティングに着きました。教会が多いので目差す聖フィリップ・ヤコブカトリック教会がどれなのか判然としませんでしたが、人が多く集まる2つの教会のどちらかがそれでないかと狙いを定めました。
 ありました、ありました。素晴らしく彫りの深い扉のある教会がありました。暗いため撮影が困難な扉でしたが、2人夢中で撮影しました。




〔611〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く③ 世界遺産、ナウムブルク大聖堂で美しいウタ夫妻の彫刻に対面しました。

2023年10月09日 | 美術鑑賞
 リューベックから向かったのは3回目の訪問のデュッセルドルフでした。じっくり市内を巡るのは初めてでした。ここに1泊して次はライプツィヒに3泊です。
 デュッセルドルフでは美術博物館に所蔵されているオットーボイレンのマイスターによるクリストフォロスが目当てでした。イギリスの美術史家バクサンドールの本に掲載されていた像でした。写真で見る限り秀作と思われました。しかし、ようやく探し当てた博物館は閉館中でした。ぐったりした私たちを癒やしてくれたのは美味しいラーメンでした。デュッセルドルフは日本人が多く住んでいるところで、日本料理店が数多くあります。たまたま入ったラーメン店が大当たりでした。


*デュッセルドルフの街中を歩く

*街中のオブジェ

 ライプツィヒから足を伸ばしたのが、こちらは初訪問のナウムブルクでした。ナウムブルク大聖堂は2018年に世界遺産に指定されたところです。ここに、ナウムブルクのマイスターによる「ウタとエッケハルト夫妻」と「レグリンディスとヘルマン夫妻」の像は見事で、『地球の歩き方 ドイツ』にも掲載されています。


*ナウムブルク大聖堂

*ナウムブルク大聖堂の入場券

 そもそもここを訪ねるきっかけは、清瀬在住の詩(うた)さんが、以前に自分と同じ名前のウタ像を訪ねたことがあったと教えてくれたのでした。かつてご夫婦でドイツに住んでいて、一人でこの像を訪ねたというのです。
 大聖堂は12世紀に建造され、ウタ像は13世紀の作品ということで、いずれもロマネスク期のものになるようです。今回の旅はフランスロマネスクの傑作を数多く拝観する予定なので、格好の「予行演習」になりました。



*「ウタとエッケハルト夫妻」の像

*「レグリンディスとヘルマン夫妻」の像

〔610〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く②  まずは、「ハンス・ブリュッゲマンの旅」からスタートです。

2023年10月08日 | 美術鑑賞
 7月31日(月)、2人はフランクフルトに向かうJALの機上にいました。緑は18回目のドイツ旅行、私は16回目でした。
 昨年の2月にロシアがウクライナを侵略し始めてから、ロシア上空を通らない飛行ルートに変更されています。行きは北極海上空へ迂回するため、以前より2時間ぐらい飛行時間が増して、15時間くらいになっています。ちなみに帰りはロシアの南を通るルートで13時間ぐらいでしょうか。戦闘が続けられている黒海なども通って13時間、なんとも不気味な、実に複雑な感情がわき起こってきました。
 フランクフルト空港に無事到着し、珍しくここで1泊しました。
 今回の長旅は、「ハンス・ブリュッゲマンの旅」からスタートです。
 ハンス・ブリュッゲマンについてはブログ〔517〕に詳述しました。昨年の旅で初めてブリュッゲマンに出合いました。ロストックに住む友人のヨーラとヘルヴィックに車で大祭壇のあるシュレスヴィッヒに案内してもらいました。その時に手に入れたブリュッゲマンの図録が今回の旅の手引き書になっています。

 「ハンス・ブリュッゲマンの旅」は、まずフランクフルトから初めての陸路でデンマークのコペンハーゲンに入りました。コペンハーゲンに2泊、ドイツのシュレスヴィッヒ近くのタープに2泊、リューベック1泊までがそれになりました。




*コペンハーゲン駅


*チボリ公園

 コペンハーゲンのデンマーク国立博物館では雄大なブリュッゲマンのゲオルク像に出合うことができました。一部屋に頭上高く展示されているのですが、あまりに巨大すぎて、どうしてもその全体像を写しきれないのです。まさに勇敢に戦うゲオルクと竜の迫力は凄まじいものがあります。ボーデ博物館にあるリーメンシュナイダーの穏やかなゲオルク像と対比すると実に興味深いものがあります。昨年も訪れた、シュレスヴィッヒ大聖堂のブリュッゲマンの大祭壇〔ボルデスホルマー祭壇〕や巨大なクリストフォロスとキリスト像と相通じるリアルで迫力ある造形です。




*シュレスヴィッヒ大聖堂

 リューベックの聖アネン博物館に伝ブリュッゲマンの「跪く使徒像」を目差したのは大正解でした。著名な作家の彫刻があるわけではないのですが、リューベックを中心とした地域の彫刻家の作品が多数所蔵されているのです。バイエルン国立博物館のヴェニガー博士はかつてここで仕事をしていたことがあったと後日聞いてびっくりしました。ここで出している図録『聖アネン博物館の祭壇』を購入してホテルのベットの上で穴が空くほど眺めたのでした。





*カタリーネン教会、エルンスト・バルラハの作品、外壁上部に設置されている。

*カタリーネン教会、ゲオルク像

 あっ、シュレスヴィッヒのホテルが満室で予約できなくて、電車で十数分のタープに居を構えたのは大正解でした。とても静かな美しい街で、ホテルの人も親切でした。お手頃価格で広く綺麗な室内でした。

〔609〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く① まえがき

2023年10月07日 | 美術鑑賞
 今年2023年、この猛暑の夏に、今までで最長50日間のヨーロッパ旅行を決行しました。このブログ連載ですでに報告済みの、昨夏の「後期ゴシック彫刻を歩く」旅を3日上回る長さでした。我々の結婚50周年、金婚記念ということで、この旅行の途中に子どもや孫たちを招待する一世一代の大旅行になってしまいました。

  訪れた国は、ドイツを中心にフランス、イギリス、デンマーク、オーストリア、イタリア、スイスの7カ国になります。ユーレイルパスをフル活用しての旅です。イギリス、デンマーク、スイスはユーロが使えないので難儀することになりました。


*ドイツ鉄道の車窓から

 旅の最大の目的は、まだ見ぬドイツ後期ゴシック彫刻 を追いかけることです。リーメンシュナイダー作品をほぼ訪ね終え、さらにシュトースなど同時代の作家の作品もかなり訪ね歩きましたが、まだまだ気になる作品が存在するのです。そして旅を続けるうちに、どうせならロマネスク彫刻も見てみようということになり、今年はフランスロマネスクの傑作を目差すことになったのです。
 緑の計算によると、訪れた教会は40箇所、美術館・博物館は36箇所です。

 記憶が薄れないうちに「 ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く」ブログを開始しましょう。どうぞお付き合いくださいませ。

〔577〕絵仏師・明兆の五百羅漢図と巨大仏殿の仏像群が嬉しい、東京国立博物館の東福寺展に行ってきました。

2023年03月31日 | 美術鑑賞
 2023年3月30日(木)、久しぶりの上野詣でした。東京国立博物館の東福寺展に行ってきました。例年ですと、上野の美術館・博物館には年2,3回は足を運びます。しかしコロナ禍で、すっかり足が遠のいてしまっていました。
 まずは上野駅の変貌にびっくりしました。かつてなら駅を出るとすぐに横断歩道を渡って国立西洋美術館に向かうのですが、改札がそもそも位置が変更されて、信号を渡ることがなくなりました。つまり駅前の道路がなくなり、脇に車のロータリーが整備され、とても小綺麗でスマートになりました。
 逆に、国立西洋美術館の庭は設立当初に戻されてすっきりしたのですが、木立が消えてさびしい感じがしました。向かいの文化会館は植物スケッチパネルが多数設置され、歩きやすくなったようです。

 京都の東福寺は2回訪れたことがあります。確か最初は春先、2回目は紅葉の時期でした。
 私は仏像を見るのが好きで、全国約500ヶ寺を巡りましたが、東福寺では仏像を拝観した記憶がありません。今はわかりませんが、仏像を公開していなかったように思います。気になる仏像もそれほどありませんでした。
 しかし、通天橋からの紅葉はとりわけ有名で、シーズンには列を作って入場を待ちました。





 さて、今回の東福寺展、ひょんなことから招待券と割引券を入手しました。ならば行かない手はありません。普段見られない仏像も来ているようでした。
 連れ合いは入場に列を作っているかも知れないといっていましたが、やはりそんなことはなくスムーズに入館できました。ほとんどの人はマスク着用でした。
 まあまあ人も出ていましたが、それはBS日テレの「ぶらぶら美術館・博物館」で東福寺展を放送したからでしょうか。私にとってはこの放送は鑑賞の良い「予習」になりました。山田五郎さんの美術的博識にはいつも驚嘆しています。

 どうやら東福寺展で必見なのは、絵仏師・明兆の五百羅漢図と巨大仏殿の仏像群です。
 部分的に写真撮影が許されていました。通天橋を模した紅葉風景とか仏像の一部です。ヨーロッパの美術館・博物館ではノーフラッシュでの撮影がほぼ可能ですが、ようやく日本でも一部撮影ができるようになってきたのは嬉しいことです。
 では撮影した一部をご覧いただきましょう。










〔560〕「歩く、描く 谷口ジローと清瀬」展(清瀬市郷土博物館)絶賛開催中です。

2023年01月24日 | 美術鑑賞
 1月24日(火)、「歩く、描く 谷口ジローと清瀬」展(清瀬市郷土博物館)に足を運びました。谷口ジローのことはたびたびこのブログで取り上げてきたので、どうしても行っておきたい展覧会でした。なにしろ我が家から歩いても10分で行けるところですから。
 1月21日(土)に展覧会が始まりましたが、なかなか注目度は高いようです。朝日、毎日、読売新聞いずれでも紹介されたようです。

 





 展示は1階と2階に分かれていますが、1階だけなら無料、2階は大人が500円です。
 1階には未完の作品を含めて年代ごとの作品がコンパクトに紹介されています。なにより嬉しかったのはヨーロッパやアジアで出版された膨大な数の谷口作品が所狭しと展示されていたことです。これらはご遺族が保管されたものなのでしょうか。これを見て谷口の凄さが実感できました。

 



 2階に上がると、いきなり「歩くひと」の一場面の大きなパネルに出迎えられます。ここは野塩地域だというのですが、野塩の何処なのか特定できません。受付の人に聴いてもはっきりしませんでしたが、ガラスケースの中の取材アルバムに絵とそっくりな写真が置かれていました。でも、果たしてこの写真が何処で撮られたのか、特定できないのが悔しいのです。

 





 近年出版された豪華な著作集も2箇所に展示されて、谷口の仕事の全体像が見渡せるものになっていました。世田谷での谷口ジロー展には行けなかったけど、近場でゆっくり鑑賞できたのは嬉しいことでした。
 撮影が自由だったのでフォトアルバムとしてご覧ください。

〔557〕ドイツから届いた待望のお年玉『ラインベルガーと弟子と同時代の作家たち』とオリジナル・カレンダー。

2023年01月09日 | 美術鑑賞
 このブログでお馴染みの、マティアス・ヴェニガー博士(ミュンヘンのバイエルン国立博物館)から届いたのは1月初旬、クリスマスプレゼントではなく大人のお年玉でした。ずっしりと重い大冊『ラインベルガーと弟子と同時代の作家たち』(um leinberger Schüler und Zeitgenossen )と手作りカレンダーです。
 カレンダーは以前にも何回か送られてきましたが、すべてご自身で撮影された写真が使われています。ドイツだけでなくフランスやイタリアなどヨーロッパ各地に足を伸ばして、ゴシックの彫刻を中心に、様々な芸術作品、風景や昆虫などもカメラに収めています。その写真は玄人はだしで、美術館のカタログに掲載されることも多いのです。
 今回はその表紙だけご覧ください。





 もう1冊の『ラインベルガーと弟子と同時代の作家たち』は私どもが喉から手が出るほど欲しかったものでした。
 昨年7月刊行された写真集第Ⅴ巻『結・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』(福田緑・福田三津夫、丸善プラネット株式会社)にはドイツ後期ゴシック彫刻の作家列伝を書き込みました。しかし、それにまつわる日本語文献はリーメンシュナイダー以外はほぼないといっていいので、底本としたのはドイツ滞在中に「発見」した、ドイツ出版の作家ごとの図録(カタログ)でした。十数回の渡独でかなり収集できたのですが、どうしても手に入らなかったのがファイト・シュトース、ミヒェル・エーアハルト、ハンス・ムルチャーの3巨匠でした。
 昨年のドイツ旅行中にアイゼナッハの友人からファイト・シュトースの写真集をいただいたことはブログに書いたとおりです。残るはミヒェル・エーアハルト、ハンス・ムルチャーの図録です。

 ところでもう一人の気になる作家はハンス・ラインベルガーです。後期ゴシック最終盤に現れた個性派彫刻家です。写真集第Ⅴ巻では手帳ほどの小さな図録を紹介しているのですが、大きな図録には巡り合っていなかったのです。
 そんなときヴェニガーさんから連絡が入りました。2007年にランツフート(ラインベルガーが活躍した町)の博物館が展覧会開催時に出版した図録があるというのです。しかも彼もこの展覧会・図録づくりに深く関わっていて、論文も掲載されているのです。ご厚意に甘えてこの大部な図録(350頁、A5版)を送ってもらうことにしました。写真は本のサイズが大きすぎて若干まわりが欠けています。

 この本が届いてから、重量感たっぷりの本の頁をまさに舐めるように捲りました。不思議なことに片言のドイツ語を知っているだけでもいろいろのことが読み取れるのです。時々緑に助けを求めました。
 この本には写真集第Ⅴ巻で紹介した小さな図録に掲載されているラインベルガーの代表作品を含めて、おそらく優に百以上の作品が収められています。とりわけ興味深かったのはラインベルガー派といっても良いと思うのですが、「アルトエッティングの扉のマイスター」や「ラーベンデンのマイスター」などが取り上げられていることです。その詳細についてはドイツ語の壁にたじろいでいるところです。

〔549〕後期ゴシック彫刻を歩く㉜ まだまだ歩き足らない私たちです。

2022年11月28日 | 美術鑑賞
 2022年秋、今までになく後期ゴシック彫刻を歩き回ったのは事実ですが、実はまだまだ歩き足らないのです。つまり、我々の後期ゴシック彫刻を歩く旅はこれからも続くということです。おそらく緑も同意してくれるでしょう。
  では、あと何処の何を見れば良いのでしょうか。
 旅を終えた今、忘れないうちにそのことを書き留めておきましょう。読者の皆様がそのことに興味を持ってくださることを願っています。
 *写真はいずれもウルム、ドナウ川近辺です。



■ドイツ
・ビンゲン(チュービンゲン近郊)*ビンゲン祭壇(ニクラウス・ヴェックマン)
・オットーボイレン *オットーボイレン博物館(オットーボイレンのマイスター)
・デュッセルドルフ *クリストフォロス(オットーボイレンのマイスター)
・アルトエッティング *(アルトエッティングのマイスター)
・リューベック  *聖アンネ博物館(ハンス・ブリュッゲマン)
・シュレスヴィッヒ *シュレスヴィッヒ州立博物館(ハンス・ブリュッゲマン)

■デンマーク
・コペンハーゲン *コペンハーゲン国立博物館 ゲオルク像(ハンス・ブリュッゲマン)

■イタリア
・シュテアツィング *聖母子像、ウルスラ像(ハンス・ムルチャー)
          *ハンス・ムルチャー博物館(ハンス・ムルチャー)
・フィレンツェ *ルーカス像(ファイト・シュトース)

■フランス
・パリ  *ルーブル美術館 マグダラナマリア(グレゴール・エーアハルト)

■イギリス
・ロンドン *ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館 
          聖母子像(ファイト・シュトース)
           胸像2体(グレゴール・エーアハルト)

■ポーランド
・クラクフ *カイザーミールの墓碑(ファイト・シュトース)
       *ドミニカン教会 浮き彫り(ファイト・シュトース)