後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔180〕今年も、右翼の妨害にめげず、なんと6万人の参加の「5.3憲法集会」でしたよ。

2018年05月07日 | 市民運動
 今年の憲法記念日は久しぶりの集会日和でした。曇りがちの空模様でしたが、上着のいらない心地よい春の一日でした。12時からの集会にあわせておにぎりを持って、清瀬の仲間3人で参加しました。さらに清瀬からは別行動で2人、そして何と演劇教育の仲間も数人参加していたことをあとで知りました。
 正午にはもうかなりの人出で、中央ステージからはかなり離れたところに陣取りました。ゆりかもめの有明駅から降りたときから右翼が街宣車から例のごとく大音響でがなり始めていました。会場について芝生に座っていても、遠くから口汚いスピーカーの音声が聞こえてきます。
12時からは中央ステージでヒロユキ(仲里幸広)と「平和の鐘」合唱、佐藤タイジコンサートがありました。
 そしていよいよ1時、集会宣言・開会宣言です。司会は古今亭菊千代さん。
 次から次へとコメンテーターが入れ代わりました。この時の様子を一番丁寧に伝えていたのが私が知る限りレイバーネットでした。レイバーネットの報告記事をお借りしてコメンテーターだけでも紹介しておきます。

●東京・有明防災公園で行われた「5・3憲法集会」
 (主催:5・3憲法集会実行委員会)
 (協賛:総がかり行動実行委員会、市民連合)

*開会挨拶、高田健さん
*(トークⅠ)
 ①落合恵子さん(作家)
 ②竹信三恵子さん(和光大・教授)
 ③清末愛砂さん(室工大・准教授)
 ④山内敏弘さん(一橋大・名誉教授)

*政党からの挨拶
<立憲民主党・枝野代表>
<民進党・大塚代表>
<共産党・志位委員長>
<社民党・又一党首>
<自由党・小沢党首>(メッセージ)
*(プラカードアピール)
*(スピーチ)おしどりマコ・ケンさん
*(トークⅡ)
 ①沖縄問題(山城博治さん)
 ②フクシマ問題(武藤類子さん)
 ③高校生平和大使(布川さん、重松さん)
 ④教育と教科書問題(上山由里香さん)
 ⑤朝鮮高校無償化(東京朝鮮高校生徒・合唱部)
 ⑥武器輸出入問題(杉原浩司さん)
 ⑦貧困・格差問題(六郷伸司さん)
 ⑧働き方改革(岡田俊宏さん)
*(統一署名の報告)1、350万人の署名
*愉快な(プラカードコンクール)
*(連帯挨拶)市民連合の諏訪原健さん
*実行委員の福山真劫さんの行動提起
 ①9条改憲反対の取り組み(3000万署名を勝ち取ろう)
 ②森友・加計学園問題(国家の私物化許さない)5月8日新宿、5月19日国会へ
 ③辺野古基地建設反対の闘い 5月26日国会包囲へ
 ④東アジア平和確立の取り組み

 レイバーネットの報告は次のような記述で締めくくられています。

  テレビなどでは、改憲派の集会などが
  実際よりも大きく取り上げられていますが、
  安倍首相がビデをメッセージを寄せた日本会議系の
  「公開憲法フォーラム」に集まったのはたったの1200人です。
  それに対し、改憲に反対する集会はこの日、
  東京だけで6万人、全国では250カ所で集会を開いています。


  はてさて、全国紙ではどのようにこの集会がとりあげられているのでしょうか。毎日新聞を覗いてみましょう。ここでは新九条論の集会が一番大きく取り上げられていますね。

●憲法記念日 
「改憲」「護憲」ともに都内で集会(毎日新聞2018年5月3日 21時12分)
 憲法記念日の3日、改憲や護憲を訴える団体が東京都内で集会を開いた。自衛隊を明記して活動に歯止めをかける形での改憲を訴える第三極を模索する動きもあった。
 改憲を目指す「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のフォーラムには約1200人(主催者発表)が参加。安倍晋三首相のビデオメッセージが流され、気象予報士でタレントの半井小絵(なからいさえ)氏が「北朝鮮の核・ミサイル開発など危機的な状況にもかかわらず、国会では大切な議論が行われていない」と述べた。
 改憲反対の署名活動を展開する護憲団体などの集会では、野党4党トップも演説。約6万人(主催者発表)が参加して安倍政権退陣を訴え、和光大の竹信三恵子教授は「平和ぼけという言葉があるが、憲法のありがたみが分からなくなっている」と警鐘を鳴らした。
 解釈で広がりかねない自衛隊の活動を憲法に明記して制約する「立憲的改憲」を主張する集会も開かれ、伊勢崎賢治・東京外国語大教授は「どの国も文民統制を考えている。憲法9条をどうするか国民的議論をすべきだ」と訴えた。
 伊勢崎教授は国連などで紛争地の武装解除などに関わり、国連平和維持活動(PKO)部隊の交戦を見てきた経験から「自衛隊は撃てないのに銃を持たされている」と指摘。東京大大学院の井上達夫教授も「日本は戦力を持っているのに、持っていないふりをしている。対抗的な改憲案を議論すべきだ」など、護憲派と改憲派の双方を批判。権力を縛る形での改憲を求めた。【最上和喜、成田有佳、金子淳】

  5月4日(金)の朝日新聞では1面に改憲派、護憲派の集会を紹介しています。23面では護憲派の集会を大きく取り上げているので溜飲が下がりました。「9条改憲NO!」「いいね!日本国憲法」のステッカーを掲げる参加者の写真が大きくカラーで写されていました。
  最後に、読んでいただきたい鎌田慧さんの新聞記事を紹介しておきます。


 ◆板門店の握手       鎌田 慧(ルポライター)

 テレビ中継にくぎ付けだった。金正恩(キムジョンウン)委員長が軍事境界線を
跨(また)いで韓国側に入った瞬間、「戦争は終わった」との感慨が胸を突いた。
文在寅(ムンジェイン)大統領の笑顔に警戒の影はなかった。「ここ板門店は分断
の象徴ではなく平和の象徴になった」。文氏の歴史的な名言である。

 境界線のむこうは敵国だった。その両側から眺めたことが二度ほどある。両側
で悪口を言い合い、緊張感が凍りついていた。それが一瞬にして氷解した。「対
決の歴史に終止符を打つために来た」金氏の決意表明だ。
 東西ベルリンを遮断していた、チェックポイント・チャーリーも、恐怖の境界
線だった。いまは検問所も取り払われ、日常的な街路と化した。異常な状態は人
間の努力によって必ず修復される。歴史の教訓を信じたい。

 南北和解のシーンをテレビで眺めてホッとしたのは、日本は悪役にならずにす
むからだ。1950年からの朝鮮戦争で、米軍が日本の基地から出撃し、日本は砲弾
輸出などで大儲(もう)けだった。
 その砲弾の下で、どれだけの人間が亡くなったことか。もしもこれから米国が
北朝鮮を攻撃すれば、集団的自衛権行使で自衛隊が出動させられよう。安倍首相
は「制裁強化」と拳(こぶし)を振り上げるだけ。
世界は大きく動いている。戦争に対する想像力と平和への強い希求も言葉も
ない首相では、この激動期に耐えられまい。
(5月1日東京新聞朝刊19面「本音のコラム」より)