後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔137〕畏友・山﨑隆夫くんから素敵な本『教室は楽しい授業で いっぱいだ!』が送られてきました。

2017年03月28日 | 図書案内
  先日のこと、1冊の本が届きました。大学のときの親友で、同じバドミントン部に所属し、ダブルスも組んでいた山﨑隆夫くんからでした。いつもは山﨑と呼び捨てにしている仲です。もう1人の仲間とそれぞれの結婚式の司会を務めました。
 私が55歳で自主退職したときに、彼の教室を半日訪ねたことがあります。学校公開の日だったようですが、保護者以外にも大学生など多くの参観者が来ていました。子どもたちとの当意即妙の穏やかなやりとりが印象に残っています。大学時代の山﨑とちっとも変わらない彼がそこにいました。子どもが好きでたまらなく、彼らを尊重し、慈しむ優しさに溢れていました。頼まれて写真を撮っていたのですが、カメラ越しにも十分居心地の良い教室空間が広がっているのを感じることができたのです。
 彼は定年まで東京都の小学校教師を続け、その後すぐに都留文科大学の非常勤講師になり現在に至っています。
 本に添えられた「献本のごあいさつ」の1部です。

〔学校は今、子どもと教師がその生を輝かせて生きる上で、たいへん息苦しく厳しいものになっています。学力テスト体制や学校スタンダード、「規則・決まりの徹底」など、形式化・形骸化を強めているように思います。
 また現在、アクティブラーニングやユニバーサルデザインといった新しい視点にたつ教育や授業展開が求められてもいます。子どもへの配慮は当然ですし「主体的・対話的で深い学び」も重要なことです。しかし、現場の多くの教師だちから聞こえる声は、首を傾げるような実践や授業の形の押しつけが多く胸を痛めています。新しい学びこそ、より子どもや教師を自由で創造的にすべきだと考えます。多様な学びを展開すべきです。
 こうした思いから、子どもたちが瞳を輝かせ、今を生きることに夢中になり、「先生、授業楽しかったね」「授業、やめないで!」とつぶやくような、そんな授業の具体的な様子を紹介してみたいと考え、本書を執筆しました。
 「ああ、こんなことなら、私もできる」「私ならもっと楽しい学びを創り出すことができる!」-そんな思いを持っていただけたらうれしいです。多くの若い教師たち、教職を目指す学生たち、そして、今日の事態に心を痛める現場の先生たちに、ぜひ本書を手に取り読んでいただきたいと思います。
 もっと自由で、もっと豊かに、個性的な発想を生かしながら授業実践に取り組んでよいのだと勇気を持ってもらいたいと思います。その方がずっと子どもたちは生き生きと学ぶでしょう。教師として生きることの喜びも生まれてくると思います。〕

  本の執筆動機についてはこの文面で明らかです。内容については、HPから引用してみましょう。

■『教室は楽しい授業で いっぱいだ!』山﨑隆夫、高文研、2017/03/26、240ページ、1,700円+税
〔オビ〕私のクラスの子どもたちと、私のクラスにしか生まれない授業を生みだしていこう!
 チャイムが鳴っても「先生、授業続けて!」と子どもたちがせがむ授業にするには? 教師も楽しい授業づくり入門!!
 「スタンダード」の名のもと、教師の授業は型にはまり、自由な発想や教材研究がしずらくなってきています。つまり、子どもに合った授業を作るのではなく、決まった型に合った子どもを作る教育が推し進められようとしています。
 本書は、子どもたちの目が毎回輝き、どうしたら喜ぶ授業が出来るか、自らの実践経験を語りながらそのポイントを示します!
 子どもも受けて楽しい、教師も教えて楽しい授業実践入門です。
 本当の〝アクティブ・ラーニング〟がここにあります。

【目次】
 ・はじめに
 第Ⅰ部 楽しい教室、楽しい授業づくりの基本
   第一章 こんな学級がいいね
     (1)大好きな教室  (2)一枚の絵  (3)学級づくりで大切にしていること
   第二章 楽しい授業づくりのために
     (1)あふれだす子どもの思いをうけとめて  
     (2)授業、最初に考えるべきこと、3つの視点
     (3)授業づくり―4つの基本
     (4)授業と座席、子どもの発言の受け止め方
 第Ⅱ部 心はずむ学びの世界
   第三章 子ども世界をあそぶ   (1)~(4) 具体的授業実践事例
   第四章 学びの旅のはじまりは、たんぽぽ、蝶が舞う(1)~(3)  授業実践事例
   第五章 基礎・基本―やさしく、ふかく、おもしろく(1)~(6)  授業実践事例
   第六章 わくわく、どきどき、話し合うって楽しいな(1)~(3)  授業実践事例
   第七章 秘密を探る物語~みんな学びの探偵団   (1)~(4)  授業実践事例
   第八章 豊かに広がる学びの世界   (1)~(3)
   エピローグ
 ・おわりに

  本書は、38年にわたる小学校教師生活の中で、印象的だった日常の授業をその時々に書きためたものを集約し、再構成したもののようでした。
  一読して感じたのは、とても読みやすい本だということです。教師のフィルターを通して描いていて、子どもたちの息づかいがリアルに聞こえてきます。おそらく山﨑の頭の中で、固有名詞を持った子どもたちが躍動していて、それを主体的意図的に書き留めたのでしょう。
 この本に温かさを感じるのは、ところどころに山﨑自身の挿し絵が入っているからです。学生時代から絵が得意で、毎年の年賀状は必ず彼の描いた絵が登場します。授業参観のときにも、黒板にさらさらと描く絵が子どもたちを授業の核心に引き込んでいったのでした。そういえば、雑誌「教育」の挿絵に彼の絵が頻繁に登場します。
  さらに感心したのは、「子ども世界をあそぶ」という標記に代表されますが、遊ぶ感覚をたいせつにしている点です。学びの根底にある<遊ぶこと>に着目しているに違いありません。
  「声を聴く」という表現にも注目したいところです。まさに教育は「ことばと心の受け渡し」なしに成立しえないものなのですから。

  この本は紛れもなく、多くの教師や学生、親に読んでもらいたい、優れた実践記録とも言えるものなのです。

〔136〕「さようなら原発全国集会」は全原発廃炉まで闘いますよ。

2017年03月22日 | 市民運動
 2017.3.20「 いのちを守れ! フクシマを忘れない-さようなら原発全国集会」が東京の代々木公園で開かれました。主催は、「さようなら原発」一千万署名市民の会です。
 参加者は1万1千人でした。
 1年前のこの集会、あいにくの雨模様で、集会後のデモ行進が中止になったのでした。この日は絶好の集会日和で、しっかりデモまで参加しました。
 清瀬・くらしと平和の会、清瀬・憲法九条を守る会の仲間は7人での参加でした。閉会あいさつの鎌田慧さんのことば「70歳になっても80歳になっても頑張ろう!」を引き受けている面々です。
  この日のプログラムを紹介しておきましょう。

■いのちを守れ!フクシマを忘れないーさようなら原発全国集会プログラム
第1部1 1 : 00 さようなら原発ライブ(野外ステージ)
演奏 超博&ジンタらムータ
   中川五郎さん
   李政美さん・板橋文夫さん・矢野敏広さん
   ジンタらムータ
第2部13 : 30
司会 木内みどりさん(俳優)
黙とう
主催者あいさつ 落合恵子さん(呼びかけ人)
フクシマ関連報告
   福島在住者から 野口時子さん(3a郡山代表)
   避難者から 松本徳子さん(郡山市から川崎市へ避難)
         瀬戸大作さん(避難者の協同センター事務局長)
   被曝労働者から あらかぶさん
   甲状腺基金から 河合弘之さん(3・11甲状腺がん子ども基金理事・弁護士)
   フクシマ連帯キャラバン報告
原発関連報告
   核燃料サイクル関連報告・六ヶ所 佐原若子さん(核燃サイクル1万人訴訟原告団)
   原発輸出問題から 福永正明さん(日印原子力協定国会承認反対キャンペーン)
連帯あいさつ
   総がかり行動から 福山真劫さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表)
   脱原発首長会議から 三上元さん(元湖西市長)
閉会あいさつ 鎌田慧さん(呼びかけ人)
15 : 10 デモ出発 デモコース
●原宿コース(平和フォーラム・組合関係)代々木公園4原宿駅前一々表参道⇒青山通り一々外苑前解散 2.5km
●渋谷コース(市民団体・個人)代々木公園→公園通りラ渋谷駅ハチ公前→宮益坂下⇒神宮通公園解散 1.3km
*1000万めざして署名を集めましょう
 2017年1月31日集計+オンライン署名=8,673,257筆
 さようなら原発1000万人アクション実行委員会 〒101-0062東京都千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1階 TEL03-5289-8224

 渋谷コースをデモ行進しているときに、運動を通して親しくなったTさんと今年も会いました。労働組合の役員として、デモ行進のお手伝いをしていました。彼は大学が同じで、1年違いの同世代です。川内原発、伊方原発、福島での反原発集会で度々会って話をするようになりました。こうした「仲間」の存在は大いに励みになりますね。
  さて、1万1千人参加集会を全く伝えないメディアが多いのに驚愕します。ニュース性がないと踏んでいるのでしょうか。フクシマは終わったとでも思っているのでしょうか。…しかしながら、あるメディアは次のように伝えました。

 ■脱原発集会に1万1000人=福島事故から6年、誓い新た―東京(3月20日時事通信16:55配信より)
 脱原発を求め、東京電力福島第一原発事故による避難者らへの支援を訴える大規模な集会が20日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれた。
 主催者によると、市民ら約1万1000人が参加。事故発生から6年が過ぎても廃炉の道筋は描けず、費用も膨らみ続ける中、参加者は原発のない社会の実現に向け、誓いを新たにした。
 「事故を起こした人たちに最後まで責任を取らせようじゃありませんか」。午後1時半すぎに屋外ステージに登壇した作家の落合恵子さんは声を張り上げた。一部の避難者への住宅支援が3月末で打ち切られることを批判。「もっと声を上げていきましょう」と呼び掛けた。
 福島第一原発で事故対応などに従事した後に白血病を発症し、労災認定を受けた北九州市の男性(42)は「東電は労働者を使い捨てるような扱いをしてきた」と訴え、東京地裁に起こした損害賠償請求訴訟で責任を追及する決意を示した。
 「原発はもう時代遅れだ」と指摘したのはルポライターの鎌田慧さん。原発事業によって経営が大幅に悪化した東芝などの例を挙げ、「今や原発は完全に行き詰まって、(社会は)自然エネルギーに向かっている」と断じた。 




〔135〕「話しあうことが罪になる共謀罪 国会提出を許さない 国会前行動、院内集会」すごい盛り上がりでしたよ。

2017年03月08日 | 市民運動
  3月6日(月)、国会会期中に、350人が国会前に集まりました。オリンピックのためでもなく、国際条約を結ぶためでもなく、三度廃案になった共謀罪を国会提出しようとしています。それを阻止するための集会です。一時間では到底足りずに、10分ほど延長の熱のこもったスピーチが続きました。
 一時半からの院内集会もまさに満席でした。
 どのような方が登壇したのか、下掲しましょう。
 主催の「共謀罪NO!実行委員会」は2月27日に結成され、5団体が大同団結したものです。この団体の初めての集会でした。集会後に記者会見も行われました。
 この日の集会の様子はユーチューブで視聴可能です。検索してみてください。記者会見も見ることができますよ。

 4月6日(木)に日比谷野外音楽堂で大集会が開かれます。末尾に掲載しましたので、メモしておいてくださいね。野音で会いましょう。

〔 話 し あ う こ と が 罪 に な る
共 謀 罪 国 会 提 出 を 許 さ な い
国 会 前 行 動、 院 内 集 会 へ〕
 政府・法務省は、三度廃案になった共謀罪の名前を「テロ等準備罪」とかえ、国会に提出しようとしています。話しあうことが罪になる共謀罪をつくらせてはなりません。現代の治安維持法・共謀罪の国会提出を許さないために、3・6国会行動にご参加ください。

■国会前行動
3月6日(月)12時~13時:衆議院第二議員会館前
佐高信さん、高山佳奈子さん(京都大学教授)
国会議員、市民団体多数

■院内集会 13時30分~15時30分:参議院議員会館講堂
・司会:米倉洋子 共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会 日本民主法律家協会
・主催者挨拶:海渡雄一 共謀罪 NO! 実行委員会
・講演:「共謀罪と治安維持法」
    内田博文 九州大学名誉教授・神戸学院大学法学部教授
・挨拶:藤野保史(共産党)
   福島瑞穂(社民党)
   山添  拓(共産党)
   小林基秀(日本マスコミ文化情報労組会議議長・新聞労連委員長)
   高田  健(戦争させない・9条を壊すな!総がかり実行委員会)
   弓仲忠昭(共謀罪に反対する法律家団体連絡会 自由法曹団)
   桜井昌司(布川事件えん罪被害者)
・今後の運動
   前田能成(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)

○主 催 共謀罪NO!実行委員会
 呼びかけ5団体 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会 / 解釈で憲法 9 条を壊すな!実行委員会 / 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)/盗聴法廃止ネットワーク/共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会(社会文化法律センター、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本民主法律家協会、日本労働弁護団)
○協 賛 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
○連絡先
・「秘密保護法廃止」へ!実行委員会(新聞労連 jnpwu@mxk.mesh.ne.jp/平和フォーラム 03-5289-8222)
・解釈で憲法9 条を壊すな!実行委員会(憲法会議03-3261-9007/許すな! 憲法改悪・市民連絡会03-3221-4668)
・日本マスコミ文化情報労組会議(MIC) mic-un@union-net.or.jp
・共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会(日本民主法律家協会 03-5367-5430)
・盗聴法廃止ネットワーク(日本国民救援会 03-5842-5842)

○共謀罪に反対する日比谷野音集会・デモ
■と き 2017年4月6日(木)18時30分~19時30分(集会)
集会後、国会・銀座デモ
■ところ 日比谷野外音楽堂
■共 催  共謀罪 NO!実行委員会
   戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会

〔134〕「福島原発事故による県民健康調査を縮小することなく今後も継続していくよう福島県に求める請願」をします。

2017年03月07日 | 市民運動
 上記のような長いタイトルの請願を連れ合いが出しました。やむにやまれぬ請願です。請願文もかなり長いのですが最後まで読んでくださると嬉しいです。この請願は、近々、東京・清瀬市議会、福祉健康委員会で論議されます。傍聴歓迎です。実際は10:30頃開始になりそうです。

《2017年3月15日(水)10:00~、清瀬市役所・福祉健康委員会、4階》


福島原発事故による県民健康調査を縮小することなく今後も継続していくよう福島県に求める請願

       紹介議員 ふせ由女
<請願の理由>
 福島県は昨年3月までに子どもたちの甲状腺検査を二巡行ってきました。その結果は第16回[資料1]、及び第25回福島県「県民健康調査検討委員会」[資料2]で以下のように報告されており(平成28年度スタートの三巡目検査はまだ半ばで全部の結果が報告されていません)、平成28年9月30日現在までに172名の子どもたちが「悪性ないし悪性の疑い」と診断され、102名の子どもたちが手術を受けて、そのうち良性だった子どもは一人だったと書かれています。

[資料1]平成26年8月24日 第16回福島県「県民健康調査」検討委員会資料より
  一巡目の「甲状腺検査(先行検査)」結果概要【暫定版】
  平成23年度~25年度 (ただし、平成26年6月30日まで延長)
対象者367,707人のうち296,026人受診(受診率80.5%)※震災当時11-18歳

<一次検査>
│判定内容 │A1判定 │A2判定 │A判定合計 │B判定 │C判定 │
│人数 │152,389人 │141,063人 │293,452人 │2,236人 │1 人 │
│割合 │(51.5%) │(47.7%) │99.2% │0.8% │0.0% │
  ※A判定:次回の検査まで経過観察
     A1:結節やのう胞を認めなかった場合。 
     A2:5.0mm以下の結節や20.0mm以下ののう胞を認めた場合。 
   B判定:5.1mm以上の結節や20.1mm以上ののう胞を認めた場合。→二次検査実施
   C判定:甲状腺の状態などからしてただちに二次検査を要する場合。→二次検査実施

<二次検査 (B判定対象)>
│悪性ないし悪性の疑い104人 (手術58人:良性結節1人、乳頭癌55人、低分化癌2人) │

[資料2]平成28年12月27日 第25回福島県「県民健康調査」検討委員会資料より
  二巡目の「甲状腺検査【本格検査(検査2回目)】結果概要   
  平成26年~27年度  対象者381,282人のうち270,454人受診(受診率70.9%)

<一次検査>
│判定内容 │A1判定 │A2判定 │A判定合計 │B判定 │C判定 │
│人数 │108,675人 │159,534人 │268,209人 │2,222人 │0人 │
│割合 │40.2% │59.0% │99.2% │0.8% │0.00% │

<二次検査 (B判定対象)>
│悪性ないし悪性の疑い68人 (手術44人:乳頭癌43人、その他の甲状腺癌1人) │
 ※この表は、もっと細かな検討委員会資料の表から福田の責任で一部を取りだしたものである。なお、A1判定とA2判定の割合は福田が付け加えた。
※文章中の「がん」はひらがなで書いたが、県民健康調査の資料は「癌」と書かれていたので、漢字を使った。

 この甲状腺検査に関する資料の「実施期間」には、「その後は、対象者が20歳を越えるまでは2年ごと、それ以降は25歳、30歳等の5年ごとの節目健診により、長期にわたり検査を実施する。ただし、25歳時の検査までは5年以上空けないこととする。」と書いてあります。
 しかし、昨年8月8日の福島民友新聞は、「甲状腺検査見直し議論へ 対象者縮小も視野」という記事を載せました。太神(おおが)太神(おおが)和広・福島県小児科医会長の意見は「潜在がんを見つけているだけ。希望者だけを対象に。」、星 北斗・福島県民健康調査検討委員会座長は「今後の在り方について、すぐにでも議論を始めるべき。検査を受けない選択肢も。高校を卒業した子をどこまで深追い? 小児科医の意見を大切に。」(註:1)と話したというものでした。
 第一巡目の先行検査で結節やのう胞が認められなかったA1判定の子どもたちの約半数が二巡目の本格検査ではA2に進みました(註:2)。2年前にはなかった結節やのう胞が次の検査で認められ、手術を受けた子どもの75%はリンパ節に転移(註:3)していたそうです。一般に小児の甲状腺がんの発生は100万人当たり1~3人といわれているそうです(註:4)。その計算で考えれば福島の発生率ははるかに高率です。
  ※註1~3:「これからますます甲状腺がん増えるのに福島の甲状腺検診を縮小??」(放射線ひばくを    学習する会発行)による。 註4:日本臨床検査薬協会ホームページによる。

 こうした検査結果から被曝した多くの人たちが子どもたちの健康について不安を抱いています。だからといって「不安をあおるので検査は縮小」という意見に対しては「3.11甲状腺がん家族の会」などを中心に強く反対する要望書が出されています。
 なぜなら未だ原発事故は収束しておらず、日々汚染水や空気中に放射能は出され続けているからです。2011年4月4日現在でも1時間当たり2900億ベクレルのセシウム134、セシウム137が放出されていたことが東京電力の記者会見で明らかにされています。福島原発の処理に大きな進展は見られず、その後6年間にわたって強い放射能が日々出続けているのです。事故後も福島に住み続ける人、他県等に避難している人々、子ども、大人にも、被曝した人々全員の健康を見守り、治療を保証することが国と県の何よりの努めではないでしょうか。それを縮小するというのはどういうことなのか理解できません。

 こうして5年間続けてきた甲状腺検査は、今後、世界中の人々にチェルノブイリと併せて予防・治療の指標の一環となるものです。一端検査規模を希望者だけに縮小してしまえば、「心配になった人だけが受けた検査だから」と、統計資料として成立しにくくなってしまいます。私たちは、被曝された方々と共に、何よりも進行の早い子どもたちのがんを早期発見して命を守り、今後の検査がきちんと継続されて、甲状腺がんと福島原発事故との関係を考察できる資料となることを強く願うものです。

 以上のことから清瀬市が福島県に当初の計画を縮小することなく、甲状腺検査を継続していっていただくよう要望するように請願いたします。
                            2017年2月23日  
           清瀬市議会議長
                渋谷のぶゆき様
                             清瀬・憲法九条を守る会 福田 緑
                     

 こうした請願の背景には、下掲のような学習会を開いたということがあります。フクシマから6年が経過して、ますます見過ごせない問題が起こってきているのです。「アンダーコントロール」などと公言したのはどこの誰でしたっけ。






〔133〕『「10代とともに」語りあう~「異文化」交流を成長の糧に』 (ラボ教育センター新書)には珠玉のことばがちりばめられています。

2017年03月05日 | 図書案内
  私がラボ教育センター(ラボ)のラボ言語教育総合研究所に関わって10年以上になりますが、最近、ラボで編集した一冊の本を手にすることができました。『「10代とともに」語りあう』という本です。

■『「10代とともに」語りあう~「異文化」交流を成長の糧に』 (ラボ教育センター新書) 松山幸雄 , ラボ教育センター (編集) 2011/4/10
〔オビ〕「異文化を理解する」 いま各界で活躍する一流の学者やアスリート、作家、文化人たちが、たどる道は違っても同じ心を抱いて生きてきたことが如実に示される。(鳥越俊太郎)
学者、音楽家、落語家、詩人、教育者、スポーツ選手、宇宙飛行士など、各界で活躍する人々から若い世代に対するメッセージを集めました。国際派を目指す若者や、異文化交流に関心のある方にもおすすめです。 文中メッセージより抜粋“あこがれによって学びを持続する”(佐藤学氏)、“ディズニーランドに行けばアメリカがわかる”(能登路雅子氏)、“楽になるため、いま、苦しむ”(桂歌丸師匠)、“人間の視点だけでものごとを見ないようにしよう”(アーサー・ビナード氏)、“とてつもない人間に出会いなさい”(佐々木毅氏)。


 ラボでは、1984年から機関誌「ラボの世界」に「一〇代とともに」というインタビュー記事を連載しています。ここには音楽家、美術家、武道家、詩人など各界の著名人が数年前までにすでに120名近く登場したそうです。その中から16編を選んで編集したのが本書です。どんな人たちが登場するのかラインアップしてみましょう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
この本を手にする人のために(佐藤学)/若い世代におくるメッセージ(大河内一男)/ことばのちから、ことばのいのち(大岡信)/世界を結ぶ友情の架け橋(山下泰裕)/いまも民話を語り継ぐインドの家族(タゴール暎子)/音楽の意味を問い続けて(一柳慧)/青い地球を宇宙から(若田光一)/言語、物語、そして文化(池上嘉彦)/ディズニーランドを通してみるアメリカ(能登路雅子)/グローバル世界を自分らしく生きる(入江昭)/芸の道も、人の道(桂歌丸)/自分の器を広げる挑戦(佐々木毅)/多面的な価値観で異文化と交流(東洋)/ことばのむこうがわにある詩(アーサー・ビナード)/興味が学習の原動力(福田誠治)/探求的作文の冒険(菅啓次郎)/ほんものは実体験から(大河原良雄)/本書編集委員より(松山幸雄)/「ひとりだちへの旅」としてのラボ国際交流(ラボ教育センター)

 どうですか、錚々たるメンバーでしょう。
 実は、この私もインタビューを受けたことがあります。当時、東京・練馬でテューターとして活躍されていた鵜飼春美さん(現在は名古屋市)と、彼女のパーティのラボっ子たち10人に囲まれてのインタビューでした。メインインタビューアーは確か、当時、会長だった松本輝夫さんでした。この記事には「演劇教育という名の総合学習」というタイトルが付けられました。(1999年12月、208号)
  ところで、本書は手軽な新書版ということで、お出かけ時にポケットに忍ばせると、行き帰りの時間が実に有意義に過ごせること、請け合いです。読み応えのある短編小説を読んでいる気分になるのです。

 巻頭の「この本を手にする人のために」(佐藤学)が圧巻でした。心に響くことばを抜き書きしてみましょう。

「本書は、未来を背負っていまを生きている一〇代の人びとへの学びの讃歌であり、各分野の一線で先人が生みだした文化と知恵の結晶であり、世代を超えて学びあう者の知的な対話です。」(4頁)
「もっとも重要な準備はことばをたいせつにすることです。ことばに対して誠実であることです。日本語を豊かにしておくことです。その成否が外国語の学びを決定すると思います。本書のメッセージのなかには外国語を学ぶうえでたいせつなことが散りばめられています。身体全体で学ぶこと、ことばの文化的背景に関心を寄せること、よき師と出会うこと、どれも貴重な助言です。」(11頁)

 どのページからでも本を開いてみて、自分にしっくりくることばや気に入ったことばを見つけ出すのもおもしろいかも知れません。