後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔222〕留学先の高校のシンボル「原爆のきのこ雲」に違和感を表明したのはラボ教育センターのラボっ子でした。

2019年06月15日 | ラボ教育センターなど
 今回のブログは前のブログの続編のような話です。
 ラボ教育センターの教育事業局長の木原竜平さんから以下のようなメールがありました。

■ラボ言語教育総合研究所の皆様
 本日6月13日(木)夜7時のNHKニュースに,ラボ高校留学生への取材が放送される予定です。
 11日(火)に帰国したラボ高校留学生の古賀野々華(18歳・九州・金森P)さんは,ワシントン州Richlandの高校(Richland High School)に1年間留学していました。
 Richlandは,第2次世界大戦時にアメリカが開発した原子爆弾の生産基地でした。そのためその土地の公立高校Richland High Schoolの,学校のシンボルであるマスコットは,mashuroom cloud(原爆のきのこ雲)であり,地域の人びとはそれを誇りに思っています。
 そのことに違和感をおぼえた古賀さんは,学校の先生に相談してBroadcast(放送)の授業で制作するYoutubeに出演。彼女の意見を述べました。

https://www.youtube.com/watch?v=mpY8q1XH3QI&feature=youtu.be&fbclid=IwAR0v09iqZ_-
Tslv9zud1XmX7gsfuD9mdhRI4NJdPxxsYMzRpJVp8OFUFvVU


 このことを報じたアメリカのニュースを見たNHK記者が,帰国直前の古賀さんにコンタクトを取り,帰国直後の古賀さんをNHK本局にて取材しました。

https://www.usnews.com/news/best-states/washington/articles/2019-06-09/japanese-
exchange-student-speaks-about-mushroom-cloud-logo
 
 ※番組の都合により放映が変更になる可能性があります。ご了承ください。
 以上,直前になり恐縮ですが,お知らせ致します。
                      ラボ教育センター 木原竜平


 私(福田三津夫)が木原さんのメールを読んだのは残念ながら夜の8時でした。NHKニュースはすでに終了していたのです。しかしながらメールに添付されたサイトを開いて驚愕しました。高校留学生の古賀野々華さんが「完全アウェー」の中、堂々と英語で自分の念いの丈を開陳しているのです。また、それを受け止めるアメリカの友人や教師たちの度量の広さが素敵です。
 NHKニュースではどのように報じられていたのか気になってアクセスしました。ありました、ありました。以下に添付しましょう。
 古賀野々華さんのこの話題をフジテレビも取り上げるということも木原さんから伝わってきました。
  確たる意思を持って清々しく登場した若者に拍手を送りたいと思います。そして、彼女を育んだであろうラボ教育センターの「地域演劇教育活動」を引き続き注視し続けたいと思うのです。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190613/k10011950881000.html?utm_int=all_side_ranking-access_003


〔221〕髙﨑彰さんによる、『地域演劇教育論-ラボ教育センターのテーマ活動』(福田三津夫、晩成書房)書評に、ただただ感謝!

2019年06月12日 | 図書案内
 私が20年間編集代表を務めた雑誌「演劇と教育」の最新号に、拙著『地域演劇教育論-ラボ教育センターのテーマ活動』の書評が掲載されました。
 評者は髙﨑彰さん。彼は私と同じ団塊の世代です。東京都の中学校教師から指導主事、江戸川区室長、都内各地の校長などを歴任し、退職後は大学数カ所で特任教授、講師などを勤められています。日本演劇教育連盟では長らく研究部を牽引され、数年、私もその仕事に携わってきた同志です。
髙﨑さんによる書評は、私の意図を余すところなく汲んでいただいき、嬉しくもありありがたいもので、ただ感謝あるのみです。おそらく書評しにくいであろうこの本を、しっかり関連づけられ、まとめ上げる力量に感服するしかありません。
 近々、私も携わり、髙﨑さんを編集代表とする「ことば教育」に関する新刊本(日本演劇教育連盟編、晩成書房)が出版される予定です。「乞う、ご期待」といったところです。

 では、その書評を採録させていただきましょう。

■長年の演劇教育実践を背景にした到達点―

福田三津夫=著 晩成書房=刊 定価=二〇〇〇円+税
『地域演劇教育論』

 髙﨑彰 東京・日本演劇教育連盟会員

 私は昨年の秋、群馬県・渋川市・上三原田に江戸時代から伝わる「常設農村歌舞伎」の舞台と地元の小学生による「子ども歌舞伎」を参観してきた。地域による演劇教育の伝統は古くから様々な形で日本の各地に残されていると思われる。本書は私が従来より関心をもってきた伝統的な「地域演劇教育」とは全く異なる視野ではあるが、新しい発見もあり最後まで楽しく読ませていただいた。
 この福田三津夫さんの新著『地域演劇教育論』は二〇一三年に刊行された『実践的演劇教育論』と並び、彼の「演劇教育論」の到達点を示すものである。福田さんのこの作品の背景には、それを支える深くて幅広い「根っこ」があると思われる。
 その一つ目は、彼の公立小学校教員としての先進的かつ長期にわたる地道な実践の成果である。そして公立小学校教員退職後にも、埼玉大学や白梅学園大学で非常勤講師として斬新な授業を行い、教員を志す学生たちに自己のユニークな経験を踏まえた「ことばと心の受け渡し」をおこなっている。
 その二つ目は、様々な文化運動の同志ともいうべき仲間たちとの出会い、そして日本の演劇教育運動の優れた活動家たちとの直接的な出会いである。「日本演劇教育連盟」の創始者である冨田博之(以下敬称略)、「劇あそび研究会」の小池タミ子と平井まどか、そして全劇研などの講師として出会った詩人・谷川俊太郎や竹内敏晴、特に竹内のレッスンからは彼は多くのことを学んでいる。日本演劇教育連盟は『演劇と教育』誌を発行し続けているが、その編集代表であった副島功の後を受けて、二十年間にわたって彼がその重責を果たしてきたことも、人々との出会いを考えるうえで重要なことであると思う。
 本書の第二章の〈演劇教育の原点を探るⅠ〉という箇所にまとめられた高山図南雄、鳥山敏子、辰嶋幸夫、渡辺茂、及び〈原点を探るⅡ〉の寒川道夫などへの交流と人格的描写も素晴らしいものがある。
 そして彼を支える三つ目の「根っこ」は、諸外国の教育実践や日本の教育運動に強い関心をもち、それを支えるリーダーたちとの深い連帯のきずなを形成しているということである。
 福田さんは教育評論家・村田栄一の主宰する「飛ぶ教室」の縁で三年連続春休みにヨーロッパヘの学校訪問ツアーに参加しておられるが、そのことがきっかけで「フレネ教育」に関心をもち、 一九九八年に埼玉県の「自由の森学園」で開催された「第二二回フレネ教育者国際会議」に実行委員として参加しておられる。その会議の中で、「テーマ活動」と呼ばれる参加者の自主的な劇表現を体験し、独自の手法で英語を学習する「ラボ教育センター」という組織とのつながりをもち、「言語教育総合研究所」の研究員として新たにその運動にも参画するようになった。
 本書『地域演劇教育論』では、彼の各地の「ラボ・パーティ」への参加の様子や各ラボのチューターを対象とした「ラボ・ワークショップ」の実践の様子などについて詳しく報告されている。そこでは、竹内敏晴や冨田博之などの薫陶を受けた福田さんの演劇教育指導者としての力量がいかんなく発揮されている。
 昨年、日本演劇教育連盟の元副委員長、佐々木博の『日本の演劇教育―学校劇からドラマの教育まで』(晩成書房)という労作が刊行されたが、この福田さんの著書も、前に刊行された『実践的演劇教育論』と併せて日本の演劇教育運動の到達点を示す労作であると思われる。
(A5判二〇〇ページ)


 さて、この書評は『演劇と教育』2019年5+6月合併号に掲載されたものです。その内容を紹介します。

■晩成書房HPより
新刊!
『演劇と教育』2019年5+6月合併号 通巻709号
【特集】「平成」の教育と学校演劇
    この30年を振り返って
編*日本演劇教育連盟
定価 900円+税
【ドラマの眼】中学校演劇…本当に盛んなのは?=福島康夫
【論考】
「子ども・学校・教育の危機」と「教育改革」の時代を拓く
~人間らしさあふれる教育をめざして~=行田稔彦
【対談】
「平成」の演劇教育を振り返る
~小学校での劇づくり・ドラマ教育の30年~=大垣花子+神尾タマ子
【論考】
「平成」の中学校演劇を振り返って
~東京都大会 30年間の記録から~=田代卓
【新刊旧刊】
『授業づくりの考え方』(渡辺貴裕=著)=若杉健彦
『地域演劇教育論』(福田三津夫=著)=髙﨑彰
【スポットライト】
『どうぶつ会議』こまつ座公演=松林陽子
【PLAY ON!】
インクルーシブ・アーツフェスティバル2019で出会う=平井康子+神尾タマ子
晩成書房40年 お祝いと懇親のつどい=市橋久生
【発表会報告】
2019 関東中学校演劇コンクールによせて=一丁田康貴
【報告】
第7回 演劇部外部指導者情報交換会 参加者の感想から
【連載】
誌上教育カフェ 7 男の子 女の子の役割って、変わってきている?=編集部
劇づくり版「しくじり先生」 7 劇創り、夢創り=大野敬一
【誌上講座】
マイムの世界=近藤春菜
【小学生向脚本】
『たかがお話~A Never Changing Story~』=川窪章資
【中学生向脚本】
『明日の学校へ』=柴田千絵里
【全劇研NEWS】
2019全劇研 第68回全国演劇教育研究集会 講座・講師紹介!=日本演劇教育連盟
参加申込書
7+8月合併号のおしらせ
5+6月の本棚
事務局からの手紙
編集だんわ室


〔220〕今朝、谷川俊太郎さんの名エッセイ『ひとり暮らし』に「天声人語」で再会しました。

2019年06月06日 | 図書案内
 2019年6月6日。今朝、朝日新聞の「天声人語」に目をやってびっくりしたり嬉しくなったりついにやついたりしました。次のように書き出されていたからです。


 「朝寝」には、どこかふてくされたような響きがある。それに対して「昼寝」という言葉は快く、おおらかだ。昼寝と聞くだけで、からだがとろけてくる――。そんなふうに詩人の谷川俊太郎さんがエッセーに書いていた▼昼食を終えると眠気に抗しきれなくなる。「その気持ちの底に一抹の後ろめたさもひそんでいて、それが『昼寝』に欠くことのできない隠し味だ……」(『ひとり暮らし』)。読んでいるだけで眠くなってくる。…


  少し自慢話を書きます。
 『ひとり暮らし』は夫婦で愛読している谷川さんの名エッセイ集です。実は数年前にご本人からいただいたものだったのです。
 谷川さんのことば遊び歌は、クラスの子どもたちと私が大好きな日常的な「教材」の1つでした。小学校現場を離れた今でも大学生やラボ教育センターのラボっ子たちやテューターたちと真っ先に遊ぶのが谷川さんの「きりなしうた」だったりするのです。
 単なる読者ではなく、編集者として谷川さんと直接コンタクトをとる必要ができたのは演出家の竹内敏晴さんが亡くなった時です。私が編集代表をしていた「演劇と教育」(晩成書房)で竹内さんの追悼特集をしようということに決まりました。その時に思いついたのが、谷川さんが書いた竹内さんの追悼の詩を掲載することだったのです。この詩は立川の東京賢治の学校の竹内追悼会で披露されたものでした。
 ダメ元で谷川さんに掲載許可依頼の手紙を心を込めて書きました。しばらくして返信用のはがきが戻ってきました。掲載承諾ということでした。とても嬉しかったのを鮮明に覚えています。〈その詩の一部は拙著『実践的演劇教育論-ことばと心の受け渡し』(晩成書房)の前書きに紹介させてもらっています。〉
 その後、掲載の御礼も込めて、迷惑も顧みず、ミニコミ「啓」を送り続けていたのです。この「啓」をおもしろがってくださったのが谷川さんの「秘書」の箭本啓子さんでした。彼女とはその後親しくなり、我々夫婦とドイツ行きに付き合っていただいたこともあるのです。その顛末をブログに書きましたので、興味のある方は探してみてください。

 『ひとり暮らし』(新潮文庫)に話を戻しましょう。
 裏表紙には次のようなことばが書き込まれています。目次もどうぞ。


●結婚式より葬式が好きだ。葬式には未来がなくて過去しかないから気楽である――。毎日の生活のなかで、ふと思いを馳せる父と母、恋の味わい、詩と作者の関係、そして老いの面白味。悲しみも苦しみもあっていいから、歓びを失わずに死ぬまで生きたい。日常に湧きいづる歓びを愛でながら、絶えず人間という矛盾に満ちた存在に目をこらす、詩人の暮らし方。ユーモラスな名エッセイ。



ポポー
ゆとり
恋は大袈裟
聞きなれた歌
道なき道
ゆきあたりばったり
葬式考
風景と音楽
昼寝
駐ロバ場
じゃがいもを見るのと同じ目で
春を待つ手紙
自分と出会う
古いラジオの「のすたるぢや」
通信・送金・読書・テレビ、そして仕事
惚けた母からの手紙
単純なこと複雑なこと
内的などもり
とりとめなく
十トントラックが来た
私の死生観
五十年という歳月
私の「ライフ・スタイル」
ひとり暮らしの弁
からだに従う
二〇〇一年一月一日
二十一世紀の最初の一日

ことばめぐり












ある日(一九九九年二月~二〇〇一年一月)

あとがき
文庫版へのあとがき


 夫婦して、「おもしろいねえ、詩人てこんなことを考えているんだ。」とにんまりしあったのが昨日のことのように思い出されるのです。