後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔26〕初めて選挙応援演説をしてみました。

2015年04月28日 | 市民運動
 まさかこの歳になって、駅頭や街頭で選挙のための応援演説をするとは考えてもみませんでした。
 事の起こりは昨年末、地元清瀬市で30年来の友人、同世代の布施哲也さんが亡くなったことから始まります。布施さんとは、私が数人で開始した清瀬・教育ってなんだろう会で知り合い、その会が中心となって彼を清瀬市議会に議員として送り出しました。議員としては4期、市長選挙にも出馬し、惜しくも次点になったこともありました。この間、ワーキングプア問題に取り組んだり、反原発自治体議員・市民連盟の共同代表として活躍しました。護憲・反原発の闘う市議ということばが似合う人でした。地域では、今に至る清瀬・憲法九条を守る会立ち上げ、その代表でもありました。7冊の著書をもつ市議というのは珍しい存在です。
 我が家で開かれた彼を偲ぶ会で、彼のやり残したこと、意思をどう継いでいくかということが話し合われました。彼は病に倒れなければ、再度市議選に挑戦するつもりでした。年をまたいで話し合いが継続されたのですが、結論的にはお連れ合いの布施由女さんが選挙に立つことになったのです。私は反対しました。さまざま思い巡らしても、勝算がなかなか見つからないのです。選挙の専門家は一人もいないし、由女さんはけっして若くはありません。でも彼女の意思は固いし、みんなもやろうと言うのです。
 私が選挙応援を決意したのは、あまりにお粗末な清瀬市議会の現状があるからでした。原発再稼働反対、道徳の教科化反対、特定秘密保護法案反対、などに関する陳情や請願を否決されたり、従軍慰安婦問題では国の強制力が働かなかったかのような決議をあげたりする事実はブログでも取り上げてきました。(〔13〕〔14〕〔15〕〔24〕参照)そこに1人でも革新派、リベラル派が入ることで変わるはずです。(20人定員で23人立候補)
 選挙素人集団の取り組みが2月ぐらいから始まりました。でもあまりに遅いのではないでしょうか。他の候補は1年もかけて着々と準備しているのです。しかも我々夫婦はこの後3週間の海外旅行を計画していました。でも凄いものです。我々がアメリカを周遊しているとき、しょっちゅう選挙準備活動のメールが入るのです。集団として、どんどん「成長」しているのが手に取るようにわかりました。
 由女さんは、無所属市民派、どこの政治団体にも所属しない市民運動家でした。まさにお金もない、組織もない選挙戦に突入したのです。
 我々ができることはなにか。由女さんの考えをとにかく知ってもらうことでした。そこで、A3版、裏表の「ゆめ通信」を作り、新聞折り込みやポスティングで、とにかく多くの市民に読んでもらうことに努めたのです。選挙戦が始まる前になんと3号、そして号外も出しました。これには手応えを感じました。質量ともに他の立候補予定者のチラシを明らかに凌駕するものでした。
 選挙は4月19日(日)告示、26日(日)投票です。なりふり構わず選挙応援をしました。駅前や街中でマイクを握りました。初めての体験でした。
 そして最高の結果が出ました。当選でした。当選の場合は最下位しかないと思っていましたが、そのとおりになりました。保守系1人の引退者の代わりに革新系の由女さんが入ったのです。清瀬市議会からしばらくは目が離せませんよ。
 反省会では、もう次の「闘い」について話し合われたのでした。

〔25〕祝!「森の劇場」4号完成。会の歴史、バックナンバーも紹介します。

2015年04月18日 | 図書案内
 先日、森の会の例会がありました。メンバーが全員集合して、届いた「森の劇場」4号の包みを開けました。編集担当の私としては、完成までにはけっこう「苦戦」したのですが、皆さんの笑顔をみるとやって良かったと思うのです。(関連記事、〔9〕〔23〕にあります。)
 私が森の会に参加したのはここ10年間です。でも森の会の歴史は古く、なんとそれは1960年にさかのぼります。冨田博之さんの発案でした。森の会は「児童劇の古典を読む会」や「脚本創作土曜講座」などとして連綿と続いています。この間来ていただいたゲストは宮本研、福田善之、筒井啓介、小松幹生、香川良成、ふじたあさや、さねとうあきら、多田徹、小池タミ子、田島義雄、藤田圭雄、岡田陽、山室静、わだよしおみ、内田莉沙子、生越嘉治、浜野卓也、吉沢京夫、上地ちづ子、新井早苗さん…などです。すごいメンバーですね。これはほとんど冨田さんの人脈です。子どもたちの脚本には一番優れたものを! という冨田さんの願いが反映されているように思うのです。
 「森の劇場」の4号までの総目次を載せておきます。
 なお、「森の劇場」4号(A5版、112頁、頒価600円)は、お声をかけてくださればお送りします。
 森の会はますます元気です。とりわけ辰嶋幸夫さんの、寺山修司作品の脚色が素晴らしいです。質量とも、出版される価値は十分とみました。

■「森の劇場」総目次■
●第1号(1993年10月)
・「森の会」誕生の頃 冨田博之
・人形劇遊びのための小品
 「ぼたもとがえる」「まりつき鬼さん」「森のなかま」「鬼の姫」杉浦俊雄
・劇「ありとはと」後藤富美
・生活劇「ありとはと」新井早苗
・朗読劇「イソップ物語」谷口幸子
・人形劇「アリとはと」東信男
・児童劇「ありとはと」成田芳子
・あとがき 東信男

●第2号(1996年11月)
・巻頭言 後藤富美
・「ロボットどろぼう」「ぼくはテレビのけらいじゃない」冨田博之
・「ざしきぼっこのはなし」小池タミ子
・「アサの物語」後藤富美
・「吉四六ばなし」オムニバス形式による 谷口幸子
・「杜子春」原作・芥川龍之介 脚色・東信男
・「どうぶつえんのいっしゅうかん」原作・斎藤洋 脚色・新井早苗
・冨田博之追悼文 成田芳子
・「森の会」の歴史 第二号に寄せて 新井早苗

●第3号(2013年5月)
・巻頭言 辰嶋幸夫
・「忘れた領分」 原作・寺山修司 潤色・辰嶋幸夫
・「ねこはしる」 後藤富美
・「へびさんとしっぽ」 東信男
・「おじさんのかさ」 新井早苗
・「おじさんのかさ」で劇あそび 平井まどか
・「竹内敏晴から学んだこと」 福田三津夫
・「寺町の竹藪」 辰嶋幸夫
・あとがき 平井まどか

〔24〕市報に「自衛隊入隊予定者の激励会を開催」という記事が堂々と載る時代になったのですね。

2015年04月12日 | 市民運動
 3月の中頃のことです。「この記事読んだ?」、連れ合いが、「市報きよせ」(2015.3.15)を読んでいて突然大きな声を出しました。何事かと思って見てみると、そこには「自衛隊入隊予定者の激励会を開催」と見出しがあり、こんなことが書かれていました。

 2月24日、市役所で自衛隊入隊予定者の激励会が行われました。
 4月からの入隊予定者6人は、入隊に向けた決意をそれぞれ発表した他、
 市長などから励ましの言葉をもらい、決意を新たにしました。

 写真には市長とともに自衛隊入隊予定者とその家族が、日の丸と市旗を背景にして写っていました。見逃すほど小さな記事ではないのに、連れ合いからの指摘ではじめて気づく自分が少し恥ずかしかったです。
 私が参加している、清瀬・くらしと平和の会(代表・布施由女)という市民団体でこのことを話題にしました。やはり何人か疑問に思った会員がいました。このままにしておくのは良くないということで、市長宛に質問や意見を出すことにしました。ある人はメールで質問し、ある人はファックス、ある人は手紙にしたためました。2,3週間たってから市や市長から返事が届きました。その顛末を会の通信にまとめました。

●「ゆめ通信」3号
 自衛隊入隊予定者の激励会を開催(記事省略)

 来年度自衛隊入隊予定者の写真入りのこの記事が清瀬市報3月15日に掲載されたとき、清瀬・くらしと平和の会では疑問を感じて議題に取りあげました。なぜ自衛隊入隊予定者だけなのだろう? 主催者は誰なのだろう? 何のために激励会に市長が参加したのだろう? 毎年やっているのだろうか? 費用はかかっているのだろうか? その費用はどこから出しているのだろうか? こうした疑問を市長宛に送ったところ、秘書課、または市長本人から以下のような返信がありました。

<激励会の目的について> 毎年自衛隊に入隊される市民を激励する主旨で、入隊予定者がいる場合に実施。市が目指す安 全・安心なまちづくりの観点からも、こうした機会を通じて関係機関との協力体制を築いておくことは、災害発生時の対応にも効果的であると考える。
<主催及び所管、運営費用> 自衛隊との共催で開催し、企画自体は自衛隊東京地方協力本部が行っている。これに伴う市の支出はない。
<いつから始まったのか> 多摩地区では平成12年度より始まったと聞いている。
<市報に掲載する理由> 自衛隊法及び同法施行令により、都道府県及び市町村が自衛官または自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行うこととされ、広報宣伝などもこの中に含まれていることから市報に掲載している。
<いつから市報に載せているのか> 平成26年4月15日号に続き2度目となっている。
<他に激励会を行っている対象者はいるのか> 市で実施するものがないためお答えすることができない。

 来年度自衛隊に入隊する人たちだけでなく、消防署や警察署に就職が決まった若者たちにも同じように激励会が行われているのならまだわかるのですが、激励会の対象が自衛隊入隊予定者のみというのが気になります。
 私たちは昨年4月、清瀬市報に載った「自衛隊入隊予定者の激励会を開催」という小さな記事を見過ごしてしまいました。しかし、この後、7月1日に政府は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を強行しました。市はこの動きを先取りするようなタイミングで激励会の記事を掲載し始めたことになります。自衛隊を「わが軍」と言い、限りなく戦争に近づく道を進み始めた安倍政権とともに歩むという意思表示のようにも思えます。清瀬市は、1974年に「平和の塔」を建立し、1982年に「非核都市宣言」を出しました。この清瀬市の願いを私たちは誇りに思っています。今だからこそ、あらためて清瀬からしっかりと「戦争反対」の声を挙げていきたいと思います。

「この塔は市の平和のシンボルとして また市民の心のよりどころとして いつまでも平和を守りぬいていきます」(写真省略)
「平和の塔」 澄川喜一氏制作 一九七四年(昭和四九年)十一月

 「ゆめ通信」は清瀬市で新聞折り込みをしたり、地域にポスティングしたりしています。3号は間もなく印刷、ポスティングということになりますが、いち早くこのブログでお知らせする次第です。
 ところで「市報きよせ」(2015.4.15)が本日届いていて、3月の「市長への手紙・ファックス・メール」は合計46件もあったというのですが、内容については一切書かれていないのです。「一応意見は聞きました、でもそれが?」という渋谷金太郎市長の意思表示なのでしょうか。
 






〔23〕「森の劇場」4号完成! 自信作「演劇教育の手引き」『ことば編』は間もなくです。

2015年04月06日 | 図書案内
 <〔9〕「森の劇場」(4号)まもなく発行しますよ。>
 以前のブログで上掲のような記事を書きました。先日、新井早苗さんと市内の市民センターの印刷機を借りて、2時間で印刷を終了させました。すぐに製本所に発送して、あとは本の到着を待つばかりです。〔9〕でお知らせした内容と若干内容が増えましたので、確定した目次を掲載したいと思います。同人全員の文章が揃いましたよ。

●「森の劇場」4号目次

巻頭言「言霊の幸わう国にいて」 辰嶋幸夫
目次
「鋏を持つアリス」   辰嶋幸夫
「思い出内科」     辰嶋幸夫
「グー、チョキ、パー国の王様たち」 新井早苗
「子ブタとカエルとカラス」     東信男
ある昭和ひと桁の回想          後藤富美
劇あそびは「遊びの本質」を捉えることから始まる  平井まどか
鳥山敏子さん逝く        福田三津夫
あとがき        福田三津夫
森の会名簿

 さて、日本演劇教育連盟では研究部が中心となって「演劇教育の手引き」、『からだ編』『ことば編』『劇づくり編』『学びと演劇編』(仮)の4分冊を作成中です。昨年あたりから進めてきた企画です。連盟の出版物としては機関誌『演劇と教育』や脚本集を除けば、、久しぶりの大きな編集企画ということになります。『演劇教育実践シリーズ』(全20巻、1988年)『新・演劇教育入門』(1990年)『授業のなかの朗読』(1998年)以来でしょうか。
 私は編集部ということで4分冊の編集に関わっているのですが、とりわけ『ことば編』の編集責任者ということになっています。先日、そのすべての原稿が揃いました。いつ出版ということは明言できないのですが、皆さんにはいち早くその内容をお知らせします。完成したらまたお知らせしますね。執筆者がすごいでしょ。はっきり言って、自信作です。

●「演劇教育実践の手引き」「ことば」編・目次

第1章 声を届けること・語ること   福田三津夫
○香山美子「ちいさい おおきい」を遊ぶ
       ○竹内敏晴の朗読原論を考える
       ○朗読劇で「はのいたいワニ」を遊ぶ
       ○<遊ぶ>感性を磨く
第2章 ことばあそびを遊ぶ
□ことばあそび 内部恵子
○音を重ねる
       ○かけ合い
       ○げきあそび・カノン・しりとり・メロディーにのせて
□ことばを文字に閉じこめない 霜村三二
  ○まど・みちおの詩をあそぶ
        ○谷川俊太郎の詩をあそぶ
       ○阪田寛夫の詩をあそぶ         
□詩を遊ぶ・ことばで遊ぶ 福田三津夫
       ○~になって、声を出す
       ○相手に声(気持ち)を届ける
       ○みんなで遊んでみよう!
第3章 朗読を生かす
□あんな詩・こんな詩、あそぼう!読もう!書いてみよう! 大垣花子
   □物語の世界を朗読で表現しよう 刀禰佳夫
     ○朗読を中心にした授業の展開
  □古典の授業の中でできる朗読 藤田昌子
○落語「三方一両損」
      ○歌舞伎「外郎売り」
      ○百人一首
      ○平家物語「扇の的」・「敦盛の最後」
      ○漢文「論語
第4章 群読を生かす
□「夕日がせなかをおしてくる」を群読する 刀禰佳夫
   □「白いぼうし」(あまんきみこ)を音読劇にする 玉垣淳子
□ 授業に生かす群読 大沢清
      ○『おくのほそ道』の授業をめぐって
         ○群読の授業のねらい
○群読の授業のポイント
第5章 これからの音声表現について-あとがきにかえて   刀禰佳夫
   

〔22〕いま、地域の演劇教育の実践、ラボ教育センターの「テーマ活動」がとてもおもしろいです。(後)

2015年04月01日 | ラボ教育センターなど
 今回は〔21〕の続編です。
 前回で、ラボ・パーティの概要がおわかりいただけたかと思います。1週間に一度、年齢によってグループに分かれることはありますが、幼児から大学生までがチューター(指導者)のもと(パーティ)に集まってきます。つまり異年齢の学びの場というのがこのラボの大きな特徴です。考えてみればこれは凄いことです。子どもによっては20年近く在籍するということがありうるわけです。日常的には「テーマ活動」がその中心で、非日常的な活動としてキャンプや国際交流があるということです。
 それでは「テーマ活動」とはどんなことをするのでしょうか。実はこの活動がラボ独特のもので、とてもユニークで興味深い活動なのです。前回取り上げた『大人になったピーター・パン』に再度登場してもらいましょう。

 ラボでは、外国語を母語とのかかわりのなかで、いかに生き生きと体験するか、その体験の蓄積により外国語をいかに母語の習得に近いかたちで獲得していくかを追求してきた。
 家庭でラボ物語ライブラリーを聴いている子どもたちは、週一回ラボ・テューターのもとに集まり、グループ活動に参加する。子どもたちは、物語のテーマを話し合い、イメージを広げ、その世界をことばと身体で表現していく。その活動を、ラボではテーマ活動と呼んでいる。グループの仲間(異年齢構成)の輪のなかで、子どもたちはのびやかに母語とともに外国語を体験していく。(315ページ)

 テーマ活動に入る前に、多くのパーティで取り組まれているのに「ソングバード」いうのがあります。これはマザー・グースを中心とした歌のラボ・ライブラリーです。歌にあわせて子どもたちが、踊り、遊び、ゲームをするといったもののようです。こらはまさに、身体表現のウォーミングアップといったものになっています。
 パーティ参観をするようになって、テーマ活動の特徴が少しずつ見えてきました。
⑴出演するラボっ子たちは、ほぼ全員出ずっぱりで、役についたり、背景や状況を身体表現する。登場人物の心象風景も表現することもある。
⑵基本的には、衣装や大小道具、背景などは使用しない。音楽はCDで頻繁に使われる。
⑶テーマ(物語)決定、役決め、演出などのテーマ活動づくりにはラボっ子が大きく関わってくる。
 「衣装や大小道具、背景などは使用しない」舞台を見て私が真っ先に思いだしたのは演出家の関矢幸雄さんが唱えている「素劇」でした。おもに児童劇にこの手法を生かしていましたが、ここでは音楽も使わないことが多かったようです。ただ、ラボではこの⑵の方法を子どもたちで発見し、編み出したことに驚くのです。
 テーマ活動づくりでは、テューターは一歩退いてラボっ子たちを見守っているように感じるのですが、長いパーティ活動のなかから自分たちでそれを創り出す力量を培われているのでしょう。中高大生といった大きな子たちとテューターのミーティングがとても大切にされていました。
 そして、幼児が2,3時間の練習に当たり前のように参加しています。それを支える、高大生たちの「集団指導体制」が見事です。それらを大きく包み込むテューターの存在が眩しく輝いています。
 「物語を全身全霊で遊ぶ」テーマ活動はまさに地域の優れた演劇教育活動なのです。