後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔83〕「日本と原発 4年後」「太陽がほしい」是非観てもらいたい映画です。

2016年03月31日 | 映画鑑賞
 江古田映画祭というイベントがあることを知りませんでした。会場になるギャラリー古藤は西武池袋線江古田駅から徒歩数分のところです。さらにそこから私の実家は数分という距離にあります。幼少の頃、私が遊び場にしていた武蔵大学の正門前に会場があるのです。そこですべての日本人必見の映画を2本観ました。
 まずは「日本と原発 4年後」の紹介です。この映画は弁護士の河合弘之さんと海渡雄一さんが中心になって作った映画です。なぜ原発は全廃しなければならないかがわかりやすく描かれています。これに反論できる人は誰もいないでしょう。とにかく観てほしい映画です。
 この日のゲストスピーカーは海渡さんでした。原発関連の訴訟を一手に引き受ける市民派の弁護士さんです。高浜原発勝訴の予想をこの日展開してそのとおりになりました。たしか4月6日の川内原発訴訟も勝算があるということで、期待したいと思っています。

●「日本と原発 4年後」
■ 2016/3/7 東京都練馬区(上映2回)
■ 主催:江古田映画祭実行委員会
○ 上映日時:2016年3月7日(月)  13 時~  
○ 会場名:ギャラリー古藤 (練馬区栄町9-16)

●「日本と原発 4年後」 自主上映そのものが脱原発運動です。(公式サイトより)
「日本と原発 私たちは原発で幸せですか?」はおかげさまで大好評をいただき、この一年間で約1,000回(観客動員数約7万人)の自主上映がされました。その改訂版の「日本と原発 4年後」は、ここ一年の大きな出来事(高浜原発差止仮処分、元東電役員の強制起訴など)、被バクの問題、テロと原発の問題、推進派(近藤駿介氏、木元教子氏)の言い分等を入れました。日本の原発の全ての論点を論じ尽くしました。これを見た人は必ず脱原発を確信するようになります。
 したがって、この自主上映そのものが脱原発運動になります。「脱原発運動のために何かしたいのだけれど何をしていいのか分からない」という方がいます。その様な方こそ自主上映運動をお願いします。
 そして自主上映による上映料は次の映画「日本と自然エネルギー 未来からの光と風」の製作費に充てられます。その意味でも「日本と原発 4年後」の自主上映運動は「脱原発そして自然エネルギー」の推進そのものになるのです。皆様の強力なご協力をお願い申し上げます。
                 平成27年12月吉日
                   映画監督・弁護士 河合弘之

 もう1本の映画は「太陽がほしい」です。班忠義監督が20年かけてつくった中国女性の「慰安婦」の映画です。彼女たちは売春婦でも「帝国の慰安婦」でもなく、まぎれもなく性奴隷であったことが、一目瞭然となる映画です。日本人は目を背けないで見続ける義務があります。

●「太陽がほしい」
〇作品紹介(公式サイトより)
太陽がほしい
「慰安婦」とよばれた中国女性たちの人生の記録

「(湖北省の「慰安所」では)生理のときも休めませんでした。妊娠したときは「紅花」という薬を飲まされました。そのあとお腹からどろどろの血が流れます。すると、体から力が抜けて、顔が黄色く痩せます。そんなことがあって、私は子どもを生めない体になってしまいました」 袁 竹林
「(山西省の日本軍の駐屯地の)真っ暗なヤオトンに監禁され、用をたすときだけ外に出られました。食べていないので何も出ないが、外に出たいのでトイレに行って背をのばす。
太陽の光がほしかった。」 劉 面換

 班忠義監督は、1992 年より80 余名の、慰安婦とよばれた中国女性たちへの支援活動とともに、ビデオ記録をつづけてきました。
 長い年月おさえてきた苦い水を突然一気に吐きだす苦しみ、その痛みに堪えて彼女たちは証言してくれました。
 しかし、20 年の間に生存者は、10 名ほどとなってしまいました。
 湖北省では「慰安所」が、山西省には「強姦所」が存在しました。
 このふたつの地域を中心に、旧軍人の証言もまじえ、当時の事実を明らかにすると同時に、その後も心身の後遺症や周囲の無理解のなかで苦しんできた彼女たちの人生を映しだします。
 その証言は、「私がいたことを忘れないでほしい」という痛切な願いです。
 その願いは、現在も世界で発生しつづけている性暴力への警鐘となり、人間の尊厳、人権、とりわけ女性の人権、人間の罪とは何かを問いかけます。
 当事者の証言は、日本と中国の共通認識をつくり、新たな関係を築いていくことにつながると信じています。

 上演後1時間にわたる詩人の石川逸子さんのお話が心にしみました。武力と性暴力が一体となったのが戦争なのだということを膨大な資料から余すところなく語り尽くしてくれました。
  読んでくださった自作の詩2編のうちの1つを紹介しましょう。

  少女         石川逸子

戸外の椅子に すわりつづける少女
秋の日も 真冬にも
さらさらと雪は降り
少女の黒髪に 膝のうえに 降りつもる

あなたは 故郷からはるかに遠い南の地で
爆撃に倒れたのか 飢え死んだのか
あるいは だまされて連行された 中国の「慰安所」で
日本軍兵士に逆らい 斬られたのか
うつされた性病で病み死んでいったのか

    ―『慰安婦』ではない 性奴隷でしたー

辛くも生き残り 解放後も辛苦の生を送った
かつての少女たち 今 年老いたハルモニたちは
かつての自分のうら若い面影に
手をさしのべ 少女の髪の毛に降る雪をそっと払いのける

韓国・ソウル・日本大使館前
ものいわず すわりつづける 少女
二十万にもおよぶという 被害者たちの
悲憤を やわらかな胸に抱いて
すわりつづける 少女

なお 地球のあちこちで
起きつづける あまたの 少女たちへの凌辱に向かって
しっかと目を見開き
雪に濡れながら すわりつづける
少女の像

 家に帰ってから、以前にいただいた『石川逸子詩集 定本 千鳥ヶ淵へ行きましたか』(影書房)を読み直しています。

〔82〕「原発のない未来へ!3.26全国大集会」ノリノリのデモ行進でしたよ。

2016年03月28日 | 市民運動
 さて、今回は「原発のない未来へ!3.26全国大集会」について報告しておきましょう。といっても、「さようなら原発 1000万人アクション」のHPが、細大漏らさず集会の様子を書き切っているので、まずはそれを読んでもらいましょう。映像で観たい人は、「2016・3・26 さようなら原発集会」とでも検索してもらえば、いくらでも豊富に出てきます。

●さようなら原発 1000万人アクション(HPより)
「原発のない未来へ!3.26全国大集会」に3万5000人集まる!(2016年3月27日)

 福島原発事故から5年が経過し、チェルノブイリ事故から30年を迎える中、安倍政権は原発推進政策を打ちだし、各地で原発再稼働を強行しようとしています。これに対し、「つながろう福島!守ろういのち!」をスローガンに、3月26日に東京・代々木公園で「原発のない未来へ!3.26全国大集会」が開かれ、3万5000人が集まり、憲法や沖縄基地問題などでも民意を無視し暴走する安倍政権にNO!を突き付けました。
 午後1時から開催された集会は、女優の木内みどりさんが司会を務め、主催4団体を代表し、Misao Redwolfさん(首都圏反原発連合)があいさつを行った後、ルポライターの鎌田慧さんと作家の澤地久枝さん(ともに「さようなら原発1000万署名」呼びかけ人)が、原発と戦争を進めようとする安倍政権との対決を呼びかけました。
 福島現地から「福島原発告訴団」副団長の佐藤和良さんが「放射能汚染の不安を抱える被災者を政府は強制的に帰還させ、賠償を打ち切ろうとしている。ともに立ち上がってほしい」と訴えました。また、チェルノブイリ原発事故について、ベラルーシから来日したジャンナ・フィロメンコさんが「事故当時、政府は危険を知らせず、被災を拡大した。被災者の権利を守る運動を進めてきた。この危険はすべての原発で起こるものだ」と、連帯を呼びかけました。
 愛媛県の伊方原発の再稼働が迫る中、原水禁愛媛県協議会の中村嘉孝事務局長が「いま県民の3分の2が再稼働に反対している。かつてなかったことだ。脱原発に向け、4月23日に大集会を開く」と力強く発言。さらに、元東海村村長で脱原発首長会議世話人の村上達也さんも「茨城の東海原発を動かしてはならない。首都圏で原発を止めることが大切だ」と強調しました。
 さらに、福井のもんじゅについて、原発反対福井県民会議の宮下正一さんが「先日、大津地裁で稼働差し止め判決が出され、高浜原発は停止した。もんじゅは爆発したら日本の半分に人が住めなくなるほど危険だ。何としても廃炉へ」と声をあげました。一方、4月からの電力自由化について、国際環境NGO[FoE Japan]の吉田明子さんが「東京電力など原発を進めるこれまでの電力会社の電気はやめ、再生可能エネルギーを選ぶ人を多くしよう」と呼びかけました。
 今回の集会に協力した「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」から、福山真劫さん(平和フォーラム共同代表)が立ち、「安倍政権は原発再稼働とともに、戦争法、沖縄の基地建設を進めている。断じて許せない。5月3日に大集会を開き、さらに6月に国会包囲などの運動を積み重ね、参院選に勝利しよう」と訴えました。
 沖縄・辺野古新基地建設について、高里鈴代さん(「基地・軍隊を許さない女たちの会」共同代表)が「裁判所の和解勧告で工事は一時的に止まっているが、政府はまだ方針を変えておらず、現地は緊張の中、座り込みを続けている。もう沈黙はしない」と決意を表明。さらに、運動の中心を担う沖縄平和運動センターの山城博治議長も駆けつけ、「ファシズムに対抗するために団結をしよう」と呼びかけ、自ら作詞した「いまこそ立ち上がれ」を熱唱すると、壇上の発言者全員がスクラムを組み唱和しました。
 ステージの最後に、3月12日の福島県民集会が開かれた郡山市を起点に、2週間にわたり関東一円でフクシマ連帯キャラバンを続けてきた10数人が登壇し、盛んな声援を受けました。会場に集まった参加者は最後に「つながろう福島!」「原発のない未来へ!」と書かれたプラカードを一斉に掲げてアピールしました。
 メインステージに先立ち、第2ステージでは「つながろう福島」をテーマに、福島原発作業労働者や畜産農家、福島原発訴訟団や避難者の会などの代表が、それぞれの実態などを報告しました。
 第3ステージは「基地も戦争もいらない」をテーマに、憲法・戦争法、沖縄基地問題についての訴えのほか、インドやトルコから来日した反核、反原発運動を進める団体からも報告が行われました。
 集会後、渋谷駅周辺、原宿・青山方面、新宿方面の3コースに分かれてデモ行進が行われ、参加者は工夫を凝らしたプラカードや横断幕などを手に、「原発再稼働反対!」「安倍政権を許さない!」などとシュプレヒコールをあげてアピールしました。

 さすがにうまくまとめているなあと感心するのですが、実は3つのステージに分かれていて、「報告」では第1ステージが中心で、第2,第3については簡単に触れられているだけです。こんな流れになっていたのです。

●第2ステージ(野外音楽堂)
テーマ:つながろう福島
11:30~12:50 
司会 神田香織(講談師)
オープニングライブ
 寺尾紗穂(シンガーソングライター)
著名人あいさつ
 内橋克人
課題別報告
 武藤類子(福島原発告訴団 ひだんれん)
 宇野朗子(「避難の権利」を求める全国避難者の会)
 中井ゆみ子、稲垣芳(放射能からこどもを守ろう関東ネット)
 松本信夫(葛尾村畜産農家)
 池田実(被ばく労働者から)
 中島孝(生業を返せ!地域を返せ!福島原発訴訟)
まとめ
 鎌田慧
海外ゲスト
 シュウ・グァンロン(台湾) 通訳:鈴木真奈美
●第3ステージ(ケヤキ並木)
テーマ:基地も戦争もいらない
11:30~13:00 
オープニングライブ
 ジンタらムータ
司会あいさつ 
 満田夏花(国際協力NGO「FOE Japan」理事/辺野古・高江を守ろう!NGOネットワーク)
憲法・戦争法
 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
 安保関連法に反対するママの会
 SEALDs
 枝木美香(アーユス仏教国際協力ネットワーク事務局長/非戦NGOネットワーク運営委員)
沖縄
 高里鈴代(「基地・軍隊を許さない女たちの会」共同代表/「オール沖縄会議」共同代表)
海外ゲスト(逐次通訳)
 ラリータ・ラムダス(インド・反核運動全国連合)
 メチン・グルブズ(トルコ・シノップ反原発プラットフォーラム)

 「 清瀬・くらしと平和の会」からは確認されただけで4人の参加でした。全員、渋谷駅周辺のデモコースに加わりました。若者のラップ調コールに合わせて、ノリノリのベテラン集団でした。

〔81〕ますます元気、3月19日の総がかり集会報告です。

2016年03月27日 | 市民運動
 戦争法廃止、さようなら原発、沖縄の基地撤廃の市民運動はますます盛んですよ。地道に着実に続けられていることを報告しておきましょう。

  2016年3月19日(土)、東京都千代田区の 日比谷野外音楽堂で、「戦争法廃止・安倍政権の暴走許さない 3.19総がかり日比谷大集会」(主催 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が開催されました。当日はあいにくの小雨模様でしたが、集会中に傘を差したこともありましたが、デモ行進ではほとんど気になりませんでした。
  昨年の暮れ、野音で開かれた辺野古基地反対の集会に、開会間際に会場に到着したら、参加者が多いので、寸前のところで入れませんでした。そこで「開場12:00 プレ企画13:00 集会開始13:30 パレード開始14:30」という予定が発表されていたので、12時半には会場に着くことにしました。
  集会が始まる頃にはもう満席でした。5600人の参加者という発表がありました。少し遅れてきたYさんは後ろで立ち見だったそうです。
  司会は、朝日新聞の「ひと」欄に紹介された菱山南帆子さんでした。元気いっぱいの若者で、司会からコールまで大活躍でした。

〔プレイベント・リレートーク〕
・武井由起子氏(ミナセン〔みんなで選挙〕、弁護士)/白川徹氏(非戦ネット・日本国際ボランティアセンター〔JVC〕)/西川あや氏(安保関連法に反対するママの会@東京)/あいねさん (T-nsSOWL)/亀岡顕氏(日本基督教団エパタ教会牧師)
〔本集会〕
・主催挨拶 福山真劫氏(戦争をさせない1000人委員会)
・国会議員挨拶 枝野幸男氏(民主党幹事長、衆議院議員)/小池晃氏(日本共産党副委員長、参議院議員)/メッセージ 吉田忠智氏(社会民主党党首、参議院議員)、小沢一郎氏(生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、衆議院議員)
・連帯挨拶 福山陽子氏(日弁連憲法問題対策本部副委員長、弁護士)/原中勝征氏(元日本医師会会長、医師)/志葉玲氏(イラク戦争検証委員会事務局長)/田中章治氏(全日本視覚障害者協議会代表理事)/北上田毅氏(ヘリ基地反対協議会抗議船船長)

  デモ行進は日比谷公園西幸門から 丸ノ内鍛治橋駐車場まででした。皆さん、お疲れ様。私の体調は万全で、まだまだ行けますよ。

https://www.youtube.com/watch?v=npVh-eju0Yk

  「2016・3・26 さようなら原発集会」は、いずれまた報告しますね。

〔80〕脱原発反原発の請願は却下されましたが、全く負けた気はしません。

2016年03月19日 | 市民運動
  2016年3月15日(火)、清瀬市役所4階、総務文教委員会が10時から開かれていました。事務局からの案内で、私の請願についての審議が行われるということでした。ここでの陳情・請願は4回目です。他の1件ほど審議があって、請願は10時半頃から始まることが多いのです。
 請願者の補足説明として私に与えられた時間は約3分とのこと、その骨子を話すしかありません。その内容に触れる前に、請願文を読んでみてください。私としてはかなり気合いを入れて書いたものです。3.11のフクシマから、昨年の川内原発・伊方原発現地反対行動や、数回の東京での「さようなら原発」大集会などを通して、私が考えている「人類と共存できない原発」の根拠について私の言葉で書いたものです。

   原発を停止し、再稼働に反対する意見表明についての請願

         紹介議員 ふせ由女
 〔請願の趣旨〕
  安倍政権は川内・高浜原発の再稼働を強行した。しかし、私たち「清瀬・憲法九条を守る会」の会員は福島原発事故以来、原発の危険性を痛感し、全ての原発を廃炉にして再生可能エネルギーに切り替えるべきだと考えている。福島原発事故が進行中である現在、稼働原発を停止し、さらなる再稼働に反対することを貴市議会として意見表明し、国に対して要請することを求めたい。

〔請願の理由〕
 原発廃絶の最大の理由はフクシマを経験して明らかなように、人類に最悪の危険をもたらすということである。核廃棄物の放射能汚染自然消滅は約10万年と言われ、人類の手での安全保管は不可能である。どこの海岸の地下に安全な最終処分場が確保できるのだろうか。
 電力会社は原子力の発電は安価だと喧伝しているがこれは全くの詭弁で、「安全」に保管したり、最終廃棄まで含めると膨大な費用がかかるのは常識である。事故が起きた場合の処理費用は税金で賄われることを考えると、安く済むはずがない。
 人間の手には負えなく、高価この上ない原発を安倍政権が稼働させる理由は、「平和利用」ではなくて核兵器開発と結びついている。核兵器を持たない日本が膨大なプルトニウムを保持している事実、原発製造3メーカーがいずれも名だたる武器製造会社であることが意味するものはそのことである。戦争が始まったら真っ先に狙われるのは無防備な原発54基と沖縄の基地と言われている。
 最後に、原発稼働は、人間の倫理として、人の道としてやってはいけないことではないかと思う。10万人以上家に帰れない福島の人と、清瀬に住む我々がどう連帯できるのか。また我々の次の世代に何ができて、何をやってはいけないのか、問われているのはこのことだろうと思う。

  以上の考えから、貴市議会として、国に対し「原発を停止し、再稼働に反対する意見表明」を行うよう要請したい。

                            2016年2月21日
  清瀬市議会議長
  渋谷のぶゆき様
        清瀬・憲法九条を守る会 福田三津夫

 傍聴者は20人程度だったでしょうか。3分間の私の話は、先日の大津地裁の高浜原発差し止め判決から始まりました。この判決の趣旨は、世界で最も厳しいと安倍政権が豪語する原子力規制委員会の稼働基準の根拠が薄いということ、フクシマからしっかり学んでいないということがその大きな柱でした。
  確かにフクシマから全く学んでいません。東電の元幹部たちは想定外の津波がメルトダウンの大きな理由だと言いました。ところがこれが全くの嘘だということが明らかになってきました。東電はフクシマの数年前から、15.7メートルの津波の可能性を知っていたのです。実際の津波の高さは15.5メートルという報道もあります。あるいはそれ以下だった可能性もあります。しかし、財政的な理由で防波堤建設を放棄したのです。昨年、元幹部(社長、副社長、計3人)が強制起訴されました。最大の争点はこの点でしょうか。すでに裁判が始まっていますが、ついにフクシマの真実が明かされ、責任の所在が白日の下にさらされることになるでしょう。関西電力はこうした事実から目をそらしていると山本義彦裁判長は指摘したのです。
  関電の異議申し立てでまた裁判が始まります。山本裁判長は変更なしなので、よい結果を期待したいものです。
 さて、この判決を受けて初めて稼働中の原発が停止されました。汚染水漏れがあったり、スイッチを入れたにもかかわらず作動しなかったことがテレビカメラを通して明らかにされました。何が起こったのか唖然とし、右往左往する職員のみっともなさったらありはしませんでしたね。フクシマと同じでした。
 今稼働中の原発は二基だけになりました。昨年の夏、再稼働された鹿児島の川内原発です。この原発は本当に危険です。桜島火山が近くにあるだけでなく、日本列島そのものが世界でまれに見る火山列島なのです。鹿児島市からバスで約1時間半、薩摩川内市に入ります。原発への道はこの一本、もし原発事故が起きたら大渋滞が起こることは必定だし、道路のがけ崩れが頻繁に起こっていることはテレビ放送で周知の事実です。ウミガメが産卵するこの浜辺の原発に事故があったら、海や山の生き物は死に絶えるでしょう。

 請願は不採択でした。佐々木あつ子市議(日本共産党)、宮原りえ市議(風・生活者ネット)、ふせ由女市議(共に生きる)の賛成論議は理路整然としていて内容の濃いものでした。唯一の反対意見は友野ひろ子市議(清瀬自民クラブ)でした。自民党の政策集から丸写しでもしたのでしょうか。経済優先、大企業を擁護し、〈いのち〉を一顧だにしない冷たい言い回しでした。渋谷けいし市議(清瀬自民クラブ)、鈴木たかし市議(公明党)にいたっては、一言も議論に参加しないで反対しました。3対3の可否同数で、委員長・石川秀樹市議(風・生活者ネット)に託されました。予想通り、彼は反対に一票を投じました。したがって、この委員会では否決され、本会議に回されます。残念ながらここでもわずかの差で不採択でしょうか。
 世論調査などでの民意は確実に脱原発、反原発です。であれば、清瀬市議会は民意を反映していないことになります。市議会議員の構成を変えるしかないでしょうね。
  5回目の請願は「従軍慰安婦問題」を取り上げようと思っています。

〔79〕「糸巻きの聖母」をレオナルド・ダ・ヴィンチ展で見ました。

2016年03月17日 | 美術鑑賞
  私はなぜか、昔からレオナルド・ダ・ヴィンチに惹かれました。新しくできたばかりの中学校の図書室で借りたのがダ・ヴィンチの伝記でした。非嫡出子としてフィレンツェ共和国のヴィンチ村に生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチはなぜ万能の天才になったのか、その天才の実際はどうだったのか、知りたかったのです。とりわけ絵画は好きで、海外旅行先にダ・ヴィンチの作品があると、必ず足を運んだものです。
 趣味が高じて、ダ・ヴィンチの絵画作品一覧をつくりました。18点まで数えましたが、そのなかでまだ見てないのが次の3点です。
・「最後の晩餐」(1495-97、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会壁画)
・「ブノワの聖母」(1475-78、エルミタージュ美術館蔵)
・「リッタの聖母」(1490 - 91、エルミタージュ美術館蔵)
  20年前にミラノを訪ねたとき「最後の晩餐」は修復中でした。そして、エルミタージュ美術館はいまだ訪れていないので、ヨーロッパ旅行のときに立ち寄れないかと思っています。
  はたしてダ・ヴィンチ作品全踏破はいつになることでしょうか。

●私の調べた「ダ・ヴィンチ全絵画」
①フィレンツェ
「キリストの洗礼」(1472 - 1475、ヴェロッキオと共作、ウフィッツィ美術館蔵)
「受胎告知」(1472-75、ウフィツィ美術館蔵)
「東方三博士の礼拝」(1481-1482、未完、ウフィツィ美術館蔵)
②ミラノ
「最後の晩餐」(1495-97、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会壁画)
「音楽家の肖像」(1490頃、アンブロジアーナ図書館)
③バチカン
「聖ヒエロニムス」(1480- 1482、未完、バチカン美術館蔵)
④パルマ
「ほつれ髪の女」(1506-08頃 パルマ国立美術館蔵)
⑤パリ
「モナ・リザ」(1503-06、ルーヴル美術館)
「岩窟の聖母」(1483-1486、ルーブル美術館蔵)
「聖アンナと聖母子」(1508-1510、ルーヴル美術館蔵)
「洗礼者ヨハネ」(1513-16、ルーヴル美術館蔵)
⑥ミュンヘン
「カーネーションを持つ聖母」(14780-80アルテ・ピナコテーク蔵) 
⑦クラクフ
「白貂を抱く貴婦人」(1485-90、チャルトリスキ美術館)
⑧サンクトペテルブルク
「ブノワの聖母」(1475-78頃、エルミタージュ美術館蔵)
「リッタの聖母」(1490 - 91、エルミタージュ美術館蔵)
⑨ロンドン
「岩窟の聖母」(1495 - 1508、ナショナルギャラリー蔵)
「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」(1499 - 1500、ナショナルギャラリー蔵)
⑩エディンバラ
「糸巻きの聖母」(1501、スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵)
⑪ワシントン
「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」(1474-86、ナショナル・ギャラリー蔵)

 「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦」展が江戸東京博物館で開かれています。その概要は次の通りです。

●レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦(江戸東京博物館サイトより)
 日本とイタリアの国交樹立150周年を記念し、イタリアが生んだ天才レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の展覧会を開催します。本展はイタリア政府が都内の公立博物館1館のみでの開催が希望され実現した展覧会です。
 今回の展覧会では、自然観察を通じて真理に近づこうとしたレオナルドの挑戦を、日本初公開の絵画 《糸巻きの聖母》(バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト)と直筆ノート「鳥の飛翔に関する手稿」(トリノ王立図書館)を中心に紹介します。
 《糸巻きの聖母》は、イギリスの貴族バクルー公爵家が所蔵し、レオナルドの故郷イタリア、作品のあるイギリス以外の場所では初めて出品されることになりました。2009年にようやく、スコットランド・ナショナル・ギャラリーで一般公開されることになった至宝です。
 また、レオナルドの手稿の中でも人気の高い「鳥の飛翔に関する手稿」も、日本初公開となります。本展の図録で、日本側の監修者である斎藤泰弘氏(京都大学名誉教授)による待望の新訳も発表されます。
 2点とも、本展のテーマである「見えない世界を探る(beyond the visible)」ために、レオナルドが行った人間観察・自然研究が集約された円熟期の傑作です。このほか、花や子どもを観察した日本初公開の真筆素描7点(うち1点は弟子との共作)、レオナルド派による日本初公開の珠玉の絵画、神話化・伝説化されたレオナルドの生涯を表した版画など約70点と、素描から忠実に再現した関連模型を通じ、天才の挑戦を体系的に展観します。
 また、レオナルド・ダ・ヴィンチは都市計画にも深い見識があり、「都市史」を研究テーマとする江戸東京博物館において紹介するにふさわしい展覧会です。

  東京都立の美術館は、第3水曜日は65歳以上は無料(シニアデー)になるのを皆さん知っていましたか。東京都美術館、東京都現代美術館、庭園美術館もそうです。ついでにいうと、上野の西洋美術館は常設展が65歳以上は無料です。ここにはなんと日本で唯一フェルメール作品がありますよ! 真作ではないという研究者もいますがね。その真贋を確かめるためにも、いつか訪れるのを楽しみにしています。
  3月16日(水)、9時過ぎに江戸東京博物館に着きました。9時半開館ですが、すでに30人ほどの同年輩の人たちが入口前に並んでいました。しかしそこは風が吹いていてけっこう寒いのです。「中に入れてくれないかしら。」と後ろの人がささやいたときでした。
「中に入ってチケットをお求めください。」と係の人が言いました。そして、さらに待つこと10分、9時25分入場ということになりました。
  《糸巻きの聖母》にたどりつく前に「鳥の飛翔に関する手稿」や真筆素描、レオナルド派による絵画、レオナルドの生涯を表した版画などをじっくり鑑賞しました。そして《糸巻きの聖母》に並ぶこと10分、さすがダ・ヴィンチでした。レオナルド派の絵画とは歴然とした違いがあります。絵の構図や背景、マリアの優しさやキリストの愛らしさなど、どれをとっても超一流でした。かつてエディンバラに行ったときは丁度月曜日で、スコットランド・ナショナル・ギャラリーは休館していました。長年の夢がついに叶いました。
  帰りはお茶の水駅で途中下車して久しぶりに古本店街をぶらつきました。

〔78〕『真実 私は「捏造記者」ではない』植村隆著を勧めます。

2016年03月09日 | 図書案内
 私たちの清瀬・憲法九条を守る会の例会で、「いわゆる従軍慰安婦問題とはなんなのかについて話し合ってみたいね。」ということを言い出した人がいます。私は、ある程度はわかっているという思いがあるけど、本当のところはどうなのか、深く調べたことがありません。そこで「自分の勉強のために、勝手にレポートします。」と宣言しました。
 そんなわけで、いろいろ資料やネットであたってみたところ、次のような課題が浮かび上がってきました。

●追跡したいこと・調べたいこと
Ⅰ.「従軍慰安婦」とは何か。〔問題の所在〕
・『従軍慰安婦』吉見義明を読む。
・吉見義明・泰郁彦論争
・『帝国の慰安婦』朴裕河(パク・ユハ)をどう読む。
Ⅱ. 従軍慰安婦問題
・朝日新聞、植村隆バッシング
・従軍慰安婦をめぐって清瀬市議会での攻防
・慰安婦問題、日韓合意をどう捉える。
Ⅲ.従軍慰安婦問題の今後
・再度、清瀬市議会への請願の提出
・さらなる学習会
・真の日韓民間交流とは。

  レポートのまとめをしているとき、願ってもない本が出版されました。従軍慰安婦問題でバッシングを受けた元朝日新聞記者、植村隆さんの手記です。(以下、岩波書店のサイトより)

●『真実 私は「捏造記者」ではない』植村隆、岩波書店、235頁、2016.2.26
〔扉〕1991年に元慰安婦について書いた1本の記事が、23年後に元記者の人生を狂わせた。活字メディア・電話・ネットなどでの抗議・嫌がらせ・脅迫は家族・職場の大学にまで及び、元記者は闘うことを決意した。そしていまや司法、活字メディアへと抵抗のうねりは広がっている。元記者の名誉回復だけでなく、日本の民主主義の再生を求めて。
■ 著者略歴
植村 隆(うえむら たかし)
1958年,高知県生まれ.早稲田大学政経学部政治学科卒.1982年朝日新聞入社.仙台,千葉支局,大阪社会部などを経て,テヘラン支局長,ソウル支局,北海道支社報道部次長,東京本社外報部次長,中国総局(北京)を経て,2009年4月から北海道支社報道センター記者,2013年4月から函館支局長.2014年3月早期退職.2010年4月早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(博士後期課程)入学.2012年4月より16年3月末まで北星学園大学非常勤講師.2016年3月より韓国のカトリック大学校客員教授.
著書に『ソウルの風の中で』(社会思想社),共著に『マンガ韓国現代史 コバウおじさんの50年』(角川ソフィア文庫),『新聞と戦争』(朝日新聞出版)など.
■ 目次
第1章 閉ざされた転職の道
転職先を失う/『週刊文春』の取材のやり方/大学教員への夢/朝日新聞社とのやりとり
第2章 「捏造」と呼ばれた記事
「録音テープ」から始まった記事/1990年夏,空振りが続いた元慰安婦取材/金学順さんが名乗り出た/もう一つの記事,キーセン学校の経歴を書かなかった理由
第3章 韓国・朝鮮との出会い
京都で見た金色の仏像/朝鮮人に連帯した詩人「槇村浩」/友愛学舎での日々/『朝日』記者としてソウルへ語学留学/「ソウル遊学生通信」発行/猪飼野での暮らしと取材/金大中氏とコバウおじさん
第4章 反転攻勢,闘いの始まり――不当なバッシングには屈しない
『朝日新聞』に検証記事掲載/「負けるな植村!」/一筋の光,差別と闘う人々との出会い/小さな大学の大きな決断――脅迫には負けないことを表明した北星学園大学/弁護団誕生,訴訟への長い道のり
第5章 「捏造」というレッテルが「捏造」
西岡力氏への反証/『読売』との対決/幻の『読売新聞』インタビュー/虚偽と誤解に基づく『産経』の攻撃/『産経』は「強制連行」と報道していた/阿比留氏らとのインタビュー
第6章 新たな闘いへ向かって
東京地裁で名誉毀損訴訟が始まった/初めての意見陳述/アメリカ横断の旅――6大学で講演/歴史学者らの声明が追い風に/札幌での闘い/緒戦の勝利/望郷の丘/架け橋を目指して
資 料
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慰安婦問題を報じた主な記事のうち「挺身隊」という言葉が出てくる部分
慰安婦問題と植村隆をめぐる主な経緯
金学順さんの証言の各紙掲載内容
あとがき

 植村隆さんのことは、〔非売品・内部資料「『ねつ造記者』ではない」植村応援隊発行、2015.3.1〕で知ることができました。ただしこれは資料集なので、読み解くのはそう容易ではありませんでした。それに比べ『真実』は植村さんの心の動きがリアルに伝わってくる臨場感あふれるドキュメントになっています。さすが元新聞記者と言えるものです。
 アマゾンでこの本のページを見ると「カスタマーレビュー」という、本の感想の欄があります。この欄を一瞥しただけで、現代日本における草の根右翼やネトウヨの状況があからさまにわかります。6人の投稿者のうち4人が知性・理性のかけらもなく口汚く、植村さんのあること無いことを書き綴っています。この4人はこの本をほとんど読んでいない節があります。記された本質を捉えないレビューをよくいつまでも掲載しているのかも不思議です。この管理人の知性も問われますね。体制批判的な本に対してはこの手の「反批判」が大手を振るっています。

 ここ数年、朝日新聞バッシングには凄まじいものがあります。池上彰原稿不掲載事件は最も罪が重いものの、福島第一原発吉田調書スクープはどこが問題なのでしょうか。従軍慰安婦をめぐっての記事では、確かに吉田清治に関する紹介記事は問題があったでしょうが、何を今更という感じです。
 さて、朝日新聞、植村バッシングの急先鋒は西岡力氏、櫻井よしこ氏、読売新聞、産経新聞などです。『真実』は彼らへの見事な反証になっています。4者はこの本に対して、真摯に応答すべきです。
 植村バッシングのポイントは、挺身隊と慰安婦を混同していること、強制的に慰安婦にされたと書いているということ、運動している身内のために書いたのではないか、証言者の金さんがキーセンだったことを隠していた…ということです。前半の問題については同様のことを読売新聞、産経新聞も書いているということで、開いた口がふさがりません。後半の部分についても植村さんは丁寧な説明を書いています。もっといえば植村さんは「強制連行」とは書いていません。
 植村さんの朝日新聞でのわずか二本の記事はどう考えても捏造ではありません。朝日新聞検討の第3者委員会が、植村記事に捏造はなしとしたのは当然のことでした。
 反撃を開始した植村裁判を支援したいと思います。

*私の提出した、清瀬市での原発の停止・再稼働反対の請願は、3月15日(火)、10:00時から、清瀬市役所4階で審議されます。総務文教特別委員会です。各委員がどのような発言をするのか、見ものです。