金時くん

仕事の関係で年に一度だけ訪れる所があって、今日はその年に一度の日でした。
終わると時間がちょうどお昼頃になるので、そこへ行ったら必ず行く喫茶店があるのです。
昔ながらの個人経営の喫茶店で、お客さんが入っているのを見たのは一度しかなく、いつも貸切状態。
個人経営の喫茶店の閉店が相次ぐなか、もし閉店していたらどうしようかと今日もドキドキしながら訪ねてみました。

果たしてお店は営業していて、やれ嬉しとドアを開けるとお昼時だというのにやっぱりお客さんはおらず、いつものようにひっそり静かな店内。
と思ったら今日は、いつもの美貌の女主人と一緒に可愛らしいワンコがキャンキャンと後ろ足で立ち上がり、ちぎれんばかりに尻尾を振って迎えてくれたのでした。

昔よく見た狆のような黒と白の毛色で毛足は長く耳が大きいそのワンコは初めて会ったのによく懐いてくれて、聞くとパピヨンとチワワのミックスだそう。
ひとしきりナデナデすると満足したように静かになって、女主人が珈琲を淹れるためにカウンターの中に入ってしまっても行儀良くお座りをして待つお利口さん。

帰り際にもう一度ワンコをナデナデして店を後にしたけれど、女の子だと思っていた大きな瞳のそのコはオスで、意外にも金時という男らしい名前でありました。