元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

36協定の締結当事者は、だれ?

2012-01-11 06:58:58 | 社会保険労務士
基本的には、その事業所の長であるのだが・・・ 

 時間外労働や休日労働を命じる場合は、36協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません。(労基法36条)
 
この協定の当事者は、労働者であれば、過半数労働組合の代表者か、そういった組合がなければ労働者の過半数の代表者になりますが、使用者側はだれになるのでしょうか。
 
 使用者とは、事業主のために行為をする全ての者をいう(労基法10条)とされ、その認定は部長、課長との形式にとらわれずに、各事業において、労基法各条の義務につて実質的に一定の権限があるかどうかで判断しますので、36協定の使用者としての締結当事者は、労基法の「使用者」であって、36協定についての権限を有する者であることになります。(昭22.9.13発基17)
 
 また、36協定は、基本的には、事業所単位で、すなわち事業所ごとに締結することになります。そこで、その事業所としての、例えば、営業所や支社等の「長」と一般的には締結することになりますが、前段からの傍線部分からいって、本社の人事部長や社長であっても労働時間管理の権限を有すれば、差し支えないことになります。
 
 
 
 参考;労働法実務Q&A下p236(財労務行政研究所編、株式会社労働行政発行)



   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年俸には時間外手当を出さなくていいは、間違い!!

2012-01-09 05:09:32 | 社会保険労務士
 さらに、年俸の「賞与」は時間外手当の時間単価の中に含まれますので、会社にとっては損なのでは・・・

 年俸制にすれば、時間外労働や休日労働等の割増賃金は、支払わなくてもよいとの誤解があるようであるが、労基法41条2号の管理監督者または機密事務取扱者にしない限り、割増賃金は支払わなければなりません。

 この割増賃金の算定基礎となる賃金は~イメージ的にはこの賃金に、1.25や1.35等の数字を掛けて2割5分増や3割5割増の「時間外手当・休日勤務手当」という割増賃金となるのですが・・~「通常の労働時間又は労働日の賃金」(労基法37条1項)となっており、この「通常の労働時間等の賃金」から除外できる賃金は労基法で定められていまして、それもこれだけという限定されたものであると解釈されているところです。それは、1)家族手当、2)通勤手当、3)別居手当、4)子女教育手当、5)住宅手当、6)臨時に支払われた賃金、7)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、ということになっていますが、労働とは関係ない個人的事情に対応した1)~5)の賃金や6)7)の算定技術が困難などの理由によることから、除外されるものであり、これ以外のものはすべて算定の基礎として計算することになります。

 ところで、年俸制とは、「賃金の全部又は相当分を労働者の業績等に関する目標の達成度を評価して年単位に設定する制度」(菅野和夫著「年俸制」)のことであるが、労基法24条では、「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」とされているので、年単位で評価した年額を、いわゆる分割で1か月に1回は支払わなければならないものであり、年俸制であってもこれは守らなければならないものです。つまり、年俸制は、年単位で評価して年の賃金額を決定するものであり、支払方法は、年俸制とはいえ、少なくとも1か月に1回は支払わなければなりません。したがって、、上記除外項目の1)から6)はもちろん、年俸制度の制度そのものの月々の支払いは、7)の「賞与」等の1か月を超える期間ごとに支払われる賃金には該当せず、これらのいずれにも入らないことになり、年単位で評価した年俸額そのものが割増賃金の計算の基礎となることになります。

 そこで、具体的には、年俸制の場合の割増賃金については、この年俸を12か月で除して月額賃金を算出し、これを1か月の所定労働時間で除した金額を時間単価として計算することになり、これに1.25や1.35などを掛けて時間当たりの割増賃金額を出して、実際行った時間外労働・休日労働の時間を掛けて時間外手当・休日労働の手当を計算することになります。

 ところで、前述のとおり、「賞与」は一般的には、「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」として、割増の計算の基礎からは除外されます。ただし、この賞与は、通達では「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないもの」であって、その支給額が確定されているものは、賞与とはみなさないとされています。

 年俸制におけても「賞与」と称するものがあることもありますが、これは、例えば年俸を18等分し、18分の1を毎月の給与として、18分の3をそれぞれ夏・冬の各賞与とするものです。この年俸の「賞与」は、始めから額は確定しているものであり、定義にいう不確定額としての「賞与」ではないことになりますので、割増賃金の算定基礎となる賃金には、含めなければならないことになります。すなわち、時間外手当等の時間単価は、賞与を含めての年俸の1か月分を1か月の所定労働時間で割ることになります。

 これから計算すると「賞与」を含んだ年俸の時間単価を5000円とすると、そのうち18分の6は賞与部分の1666.66・・円が含まれていることになり、一般的な給料では時間単価は3333.33・・円なのに、会社にとってはかなり大きな時間単価になってしまいます。

 実際には、ここまでのことしか私の頭にはなく、年俸制にしたらまったくのところ、この意味においては、会社にとって費用がかさむことになるのではないかとの考えしかありませんでしたが、安西愈氏は次のような趣旨のことを述べておられます。割増賃金の計算基礎からこの「賞与」部分を除外するためには、確定額でない形で、勤務成績、会社業績等に基づき変動もあり得るものとしなければなりません。18分の1は給料分として確定しておき、夏18分の3、冬18分の3の計18分の6の「賞与」分は、あくまでも基準額として、実績により変動するとしたり、年俸はあくまで12等分し毎月支払うこととして、賞与は別途設定することといった方法が考えられます。(安西愈著、労働基準法のポイント)

 いずれにしても、年俸制にする場合は、人事管理の一環等として、それぞれの会社の実情に応じてこの制度を採用するのでしょうが、単に時代の主流だからということで決めるのではなく、こういったことを含めて検討・考慮の上で、法違反のないような形での採用が望めまれます。



   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

同じ内容の就業規則は本社を通じて役所提出が可能!!<就業規則作成10>

2012-01-05 04:30:54 | 社会保険労務士
 組合が単一労組の場合は、本社においての労組本部の意見聴収でOK

 就業規則は、使用者が作成して、労働基準監督署に届け出る形になりますが、本社、支社、現地の事務所等があった場合に、本来は、その本社・支社等のそれぞれの事業所ごとにその管轄の労働基準監督署に届け出ることになります。

 ところが、同一会社の場合は、それぞれの事業所で独立採算性的に経営方針等が異なり就業規則も異なる等と云うのであれば別ですが、一般的には、本社・別々の支社等であっても、同じ内容の就業規則が作成されることが多いと思われます。この場合は、本社・支社等の各事業所ごとそれぞれに届け出を行うよりも、本社機能を有する事業所を介して行う方が、1)より実効ある指導が可能となること、2)事務手続きの簡素化となり企業の負担軽減になることから、次のような通達がでております。(平成15.2.15基発0215001号、以下同通達)

 複数の事業所を有する企業等が、当該企業等の複数の事業所において同一の就業規則を適用する場合であって、本社において一括して就業規則の作成を行い、かつ、本社以外の事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長あてに届け出る就業規則を本社の使用者が取りまとめて、当該本社の所轄労基署に届け出を行う場合には、次に掲げる要件を満たしているときは、本社以外の事業所の就業規則についても届け出があったものとして取り扱うものとする。
 1)本社の所轄労基署長に対する届け出の際には、本社を含め事業所の数に対応した必要部数の就業規則を提出すること
 2)各事業場の名称、所在地及び所轄労基署長名並びに労基法89条各号(就業規則の記載事項)に定める事項について当該企業の本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容のものである旨が付記されていること。また、就業規則の変更の届け出の場合にあっては、変更前の就業規則の内容についても同一である旨が付記されていること。
 3)労基法90条2項に定める書面(過半数組織労働組合等の意見書)については、その正本が各事業場ごとの就業規則に添付されていること。

 なお、各事業場の労働組合が単一の労働組合の場合は、次のように「本社の聴収による意見書」の提出でも可能となります。

 労働組合が単一組織である場合は、本社において労働組合本部の意見を聴取することとし、支部等の意見聴収を行わないこととして差し支えない。ただし、当該事業場の労働者の過半数が本社において意見を聴収する労働組合に加入していない場合は、別に、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を徴収しなければならない。(昭39.1.24 38基収9243号)



   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

労働者側が意見書を出さない場合は・・・<就業規則作成等9>

2012-01-02 04:57:04 | 社会保険労務士
労基署へはいわゆる「上申書」の添付で可能ということになりますが・・・

 就業規則の労働基準監督署への届け出にあっては、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴収し、その意見書を添付して提出しなければなりません。

 では、労働組合側が反対して意見書を出さない場合は、労基署に提出できないのかということになりますが・・。前に説明したように、就業規則作成の過程で意見書を聞けばいいのであって、意見書がないため提出できないというのであれば、不合理ということになります。

 そこで次のような通達があります。
 「労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見書に労働者代表の署名押印がないことを理由として受理しない向きもあるようであるが、労働組合が故意に意見を表明しない場合または署名押印しない場合でも、意見を聞いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するように取り扱われたい。」(昭23.5.11基発735号、昭23.10.30基発1575号)とされています。

 「意見書の提出がない場合でも、意見を聞いたことがはっきりしておればよいので、上申書などをもってその事情とそれを疎明する書類をつけて届け出れば労基署は受理する」とされています。(労働基準法のポイント 安西愈著)

 しかし、こういうことによって、労基署へ届け出をしたとしても、後々の経営に支障が出てくることは目に見えていますので、こういう形での提出は非常時の最終手段として考えるべきで、労働者側と意見の調整を図ることが経営者には求められることになります。



   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする