元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

出張の移動時間は、労働時間なの?(その3)

2012-01-23 05:09:23 | 社会保険労務士
 社有車運転の移動は、労働時間であるが、「みなし労働時間」の適用が可能
 
 前回までは、出張を電車・バスで移動する、その移動時間は、物品の監視等の別段の指示がある場合を除くほかは、労働時間として取り扱わないとしました。

 では、会社の車を運転して出張に行く場合には、どうでしょうか。これは、移動について自動車の運転を命令されていることになるので、「労働時間」にはなると考えられますが、社有車を出張先への乗物と使用するような交通機関としての足代わりの場合には、出張先で手待ち(実際に手足は動かしていないが待機している時間)や休憩時間等の自由裁量制を有するのであれば、「みなし時間」となり、所定労働時間の労働とみなされることになります。
 
 この「みなし労働時間」とは、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす」という労基法38条の2のことを言います。例えば、営業等で社外に出ている方で、労働時間の管理が困難の場合に、いつが自由な時間で労働から解放されているのか、いつが労働時間なのかわからない時に、このみなし規定が適用になりますが、社有車の運転についても、同様に解されるということです。
 
 となれば、社有車の運転で出かけた場合には、その運転は労働時間ではあるが、この「みなし労働時間」の規定により、一般的には所定労働時間働いたと考えることが可能ということになります。
 
 これは、自家用車で出かけたとしても、考えかたは全く同じですが、事故が起きたりしたときには、会社の責任がいずれにしても問われますので、就業規則に自家用車での承認などの規定をして置くなど、ここでの議論とは別の意味で、就業規則上、必要な規定を設けなければならないでしょう。
 
 ただし、乗客や物品の運送を本来の目的としている運送業の場合は、労働時間を管理し、それにより労働時間を計算することになるので、この「みなし規定」の対象にはなりません。
 
 (参考)安西愈著 全訂版労働基準法のポイント(厚友出版)
     同著   労働時間・休日・休暇の法律実務 



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