元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

ホワイト企業の選択方法<就職四季報のデータの優位性>

2016-03-19 17:46:03 | 社会保険労務士
 ブラック企業とは?<最終的には、歩いて収集した情報が確か>

 定義そのものは、未だに確定したものはないところであるが、ブラック企業に対して、ホワイト企業という言葉も定着してきた。ブラック企業が法令(労働法)を無視して、労働条件の劣悪な環境の中で働かせて、精神的肉体的に悪影響を及ぼすような企業をいい、(さらには、追い詰められた労働者を辞めさせてしまう。)ホワイト企業とは、その反対に労働条件を良好なものにして、心身の健康を健全な状態にすることに重きを置いている企業ともいうことができる。

 このホワイト企業を選択するためにはどうしたらいいのだろうか。ブラック企業という認識がない時代においては、日本の企業においては、従業員は家族なりといって、そんな労働者をはいて捨てるような企業はないというような性善説に立っていたようだが、今では、就職する若者の方で、ホワイト企業を選択する心構えがないといけない時代になったようである。このホワイト企業の選択に必要な情報を得ることが肝心だが、その情報ってどこから得るのか。

 就職四季報においては、3年後離職率というのが掲載してあります。(大体、7・5・3といって、この数字は中学・高校・大学の一般的な離職率を表すといわれています。)この離職率が高いとブラックの確率が高いことになりますが、高くても、4人しか採用しない会社においては、たまたま2人辞めたとしても、それがブラックとは関係がなく、家庭の事情であったりした場合であっても、離職率は50%となり相当高い離職率になるという統計的なマジックにかからないよう注意する必要がある。それを除けば(この点は、就職情報により、採用枠が多いか少ないかで確認できる。)、離職率の高い企業というのは、かなりブラックの要素が大きい可能性があることになります。会社も採用するためには、採用するコストもかっかっており、さらには一人前に教育するための教育費もかかり、それだけのコストをかけて初めて、会社の戦力として、その人の費用(人件費)に見合ったパフォーマンス(収益)ができるようになり(それまでは投資期間である)、本当は会社にとってはその期間は全くのマイナスであるはず。それにもかかわらず、3年経過するまでに辞めていくわけであるから、むしろそういった考えはなく、開きなおおって多くの人材を採用して使いつぶしていこうという気があるのかも知れません。辞めるのを見越して大量採用しているのなら、最悪です。

 また、就職四季報には、初任給、昇給率、平均年収額と平均年令というものも掲載されているが、初任給があまりにも低いと生活を維持できないので高い方が良いが、その後の昇給(ということでここの「昇給率」も選択判断基準となる。)がなされないと結婚等もできないことになるので、昇給率や平均年収額も重要となる。ただ、会社の平均年齢が高いと平均年収額も高いことになるので、高ければいいというのではなく、平均年齢との関係でとらえていく必要がある。

 そこで、次の認識として、平均年齢が高いと、若手ではなく年配者が多いのであるから、組織的にはかなり年数が経過していることになる。ということは、職場のスキルは習熟しているとみるのか陳腐化しているのかは、その企業の置かれた位置ずけにもよるが、言い方を替えれば、会社が円熟期なのかそれとも老朽化なのかということになろうが、この点が就職選択の判断の要素になる。そして、中高年が多くなると会社は何らかのポストを用意しようとするため、頭でっかちの管理者層が多い職場になる傾向になる。ブラックとは関係がないように思えるかもしれないが、結果、若者の新鮮な意見を排除するような傾向もあり、全体の意思疎通もうまくいかなくなることもあり得、こうなると風通しのいい職場ではなくなり、若者にとっては決して居心地のいい職場ではないだろう。逆に、中高年者の経験が故に、若者を上手に取り扱って、うまく運用できることにもなるかもしれない。いずれにしても、そのどちらであるかは、リスクがあることは認識した上で検討しなければならないだろう。最終的には、この情報は外にいる限りは分からないことが多いため、その会社に学校の先輩等がいれば、尋ねるしかないであろう。

 また、給与との関係でいえば、退職金の有無も大きな会社を選ぶ際のポイントとなります。退職金がないということは、それだけ毎月の給料に振り向けられ給与はより高くなります。一方、ある場合は、退職後の年金の上乗せとして利用できます。就職の際には、若い人たちは老後の事はあまり頭にありませんが、大きなポイントです。これは、就職四季報には掲載されていますんが、ハローワークの求人情報には、いくらかは分からないまでも退職金の有無だけは分かるようになっています。

 さらに、月の給与について、例えば30時間分の残業手当が上乗せした場合もありますので注意です。これを定額残業手当といいますが、支給の仕方としては違法ではありません。35時間残業したときは5時間分を別途支払わなければなりませんが、もともと30時間残業をすることを前提に給料は支払われており、見た目の月の給与額は大きくなりますし、30時間前後の残業が会社では一般的になっているといえるでしょう。そこで、この定額残業制になっていないかを見極める必要があります。しかし、この制度を採用しているかは就活ナビなどでは出てきません。唯一ハローワークの求人票では、明細がありますので場合によっては判断可能です。

 次に年次有給休暇(以下「年休」といいます。)の消化率である。注目すべきは、年休の付与日数ではなく、そのうちどれだけ取れたかです。今から学校を卒業し就職する方で、全く職場の雰囲気が分からない人もいると考えますが、日本の職場においては、職場全体で仕事をするという感覚があり、自分だけ仕事の踏ん切りがついたという場合でも、年休をなかなか取りづらい雰囲気にあります。これが事実なのです。それもあってか、年休取得率は48.8%(平成26年度)と半分以下なのです。このデータも、就職四季報にありますが、それゆえ、取得率が8割程度というのはかなりホワイト企業の部類に入ります。

 最後に、ブラック企業を判断する代表的な項目としては時間外勤務の多さ、そしてその未払い賃金、不当解雇の3本柱です。これらは、どの就職情報を見てもなかなかでてきません。会社のOB訪問等で情報を得るしか方法はありません。また、今まで言ってきました情報源としての就職四季報はかなり大きな会社でないと掲載されていませんし、求人票についても、ハローワークに求人を出している企業しか、情報を得ることはできません。そこで、最後の頼りとなるのが、会社訪問それもOBとかかなりフランクに話せる相手しかいません。そこで、収集した情報から今まで言ってきましたさらに確かめたいことやこの3つの代表的な項目を聞き出すためには、聞きたいことをその尋ねるときのためにメモしておくことが必要でしょう。

 さて、時間外勤務をしているにも関わらすその時間外の賃金が未払いなのが、いわゆるサービス残業です。もともと時間外は会社の方でなんとなーく制限を設けている場合だってありえます(はっきりいえば違法ですが)。そこで、サービス残業はありますかと単刀直入に聞くのは、いくら学校のOBに対してもはばかれます。「先輩は残業代って、だいたいどれくらいのものになるものなんですか」と聞き方から(先輩に不満があればサービス残業のこともいうかも知れません)始め、「ということは、月に×時間ぐらいの残業をやっているということですか」と続ける。次に「先輩は月に何日ぐらい休みをとれていますか」という質問。「△日」と答えれば、月に休みが9日前後(週休2日の場合)ですから、差し引きの×日はとれておることですね」と月の休日出勤日数を確認していきます。この休日出勤日数も、仕事の量が多く、休めないということから発生しますので、ブラックの判断の大きな要素ということになります。。(「ホワイト企業の選び方」の著者=池内氏は以上のような質問の投げ方を書いている。)
 また、「先輩は、上司とはどんな付き合いをされていますか」「会社の雰囲気はどんなでしょうか」などから、不当解雇をやるような会社であるかの判断を含めた、会社の雰囲気を察することができるかも知れません。

 ホワイト企業の選択の方法を書いてきましたが、若い時の苦労は買ってでもやれというように、ラクな職場はないといってもいいでしょう。むしろ、あなたの労働力を買って仕事をしている会社としては、それ相応のパフォーマンスをしてもらわなければ困りますし、それなりの苦労はしなければなりません。そして、3年程度は、少なくてもそこで苦労しなければ、一人前にはなれないでしょう。
 
 (参考)採用情報で見極めよ!「ホワイト企業」の選び方 池内恵介著 同文館出版 

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