時間単位の年休は労使協定締結によりはじめて認められる。(5日以内)
年次有給休暇については、時間単位については、労使協定が必要とされており、「労使協定を締結しなければ、労働者から請求されても時間単位で付与する必要はない」と書いてある。(人事総務検定2級講習テキスト、LECリーガルマインド) 一方、半日単位での付与については、「就業規則で定めれば付与可能」と記されている。(上記同テキスト) 時間単位については、労使で定まった「労使協定」という形式によらなければならないのに対し、半日は使用者の定める就業規則でも可能とされているのはなぜか。
これには、沿革的なことから説明した方が分かりやすい。年次有給休暇の趣旨は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることです。従って、かっては時間単位は認められていなくて、あくまでも一日単位でした。したがって、時間単位の付与は全く認めず労基法違反という時代があったのです。しかし、その頃も土曜日は半日の労働日という職場も多く、土曜日に年次有給休暇を取得したら、これを半日休暇として、土曜日の年次有給休暇が2回で年次有給休暇1日と取り扱うことは、労働基準法を上回る日数を与えることになるので差し支えないとされていました。つまり、休暇の単位は労働力の維持培養のために一日が原則だったのですが、例外的に半日まで認めていたのです。労働基準法解釈総覧(厚生労働省労働基準局編)には、法39条第1項に継続または分割した10労働日となっているが、半日ずつ請求することができるかという問いに、年次有給休暇は、一日を単位として請求するものであるから、使用者は半日単位で付与する義務はないとなっています。(昭24.7.7基収1428号、昭63.3.14基発150号、発令年月日が昭和24年や昭和63年になっていることに留意)裏を返せば、使用者の義務はないということであって、半日単位の休暇は認めるとも読めます。また、本来の1労働日単位の取得方法の阻害にならない範囲であれば、労使が同意した場合(労使協定・労働協約とは必ずしも言っていない点に注意⇒単なる労使での同意でいいと思われる。筆者)は、半日付与することに問題はないとも書かれています。(人事労務の実務4 畑中義雄ほか著 秀和システム)、
なお、注意点としては、半日の時間をどこで分けるかを決めておくことが重要です。例えば「午前と午後で分ける」「一日の所定労働時間の半分とする」
こういった原則1日単位の有給休暇の付与から、年次有給休暇の取得率が半分しかならない現状の下で、年休取得の促進と労働者のちょっとした用事を済ませるためにという要望もあって、平成22年4月1日から、労使協定を結んだ場合には、時間単位での休暇の取得ができるように労基法改正がなされました。今まで、原則1日で運用規定で半日単位であったものが、法改正により時間単位でどうどうと認められるようになったというわけです。
ただし、労使協定で次の4つを決めることになっています。この協定は労働基準監督署へ届け出る必要はありません。
1 時間単位年休の対象者の範囲
「工場の生産ラインで働く社員は対象外とする」など除外する必要性もあり。もちろん当該社員全員を時間単位年休の対象としても問題はない
2 時間単位年休の日数
5日以内で定めることとされていますので注意の事。
3 時間単位年休一日の時間数
どういうことかというと、一日の所定労働時間が8時間のときは、時間で取得した時間数の累計が「8時間分」の年休をとったときに一日取得したと数えるということ、所定労働時間が7時間のときは「7時間」となりますが、所定労働時間が7時間30分の時は、繰り上げて「8時間」としなければなりません。(労働者に有利に考えるということです。)
4 一時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
ふつうは1時間単位ですが、一日の所定労働時間内で2時間、3時間という単位でも決めることができるということです。4時間になると、ほとんど半日の有給休暇と変わらないことになりますが・・・
参考 人事労務の実務4 畑中義雄ほか著 秀和システム
人事総務検定2級講習テキスト、LECリーガルマインド
年次有給休暇については、時間単位については、労使協定が必要とされており、「労使協定を締結しなければ、労働者から請求されても時間単位で付与する必要はない」と書いてある。(人事総務検定2級講習テキスト、LECリーガルマインド) 一方、半日単位での付与については、「就業規則で定めれば付与可能」と記されている。(上記同テキスト) 時間単位については、労使で定まった「労使協定」という形式によらなければならないのに対し、半日は使用者の定める就業規則でも可能とされているのはなぜか。
これには、沿革的なことから説明した方が分かりやすい。年次有給休暇の趣旨は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることです。従って、かっては時間単位は認められていなくて、あくまでも一日単位でした。したがって、時間単位の付与は全く認めず労基法違反という時代があったのです。しかし、その頃も土曜日は半日の労働日という職場も多く、土曜日に年次有給休暇を取得したら、これを半日休暇として、土曜日の年次有給休暇が2回で年次有給休暇1日と取り扱うことは、労働基準法を上回る日数を与えることになるので差し支えないとされていました。つまり、休暇の単位は労働力の維持培養のために一日が原則だったのですが、例外的に半日まで認めていたのです。労働基準法解釈総覧(厚生労働省労働基準局編)には、法39条第1項に継続または分割した10労働日となっているが、半日ずつ請求することができるかという問いに、年次有給休暇は、一日を単位として請求するものであるから、使用者は半日単位で付与する義務はないとなっています。(昭24.7.7基収1428号、昭63.3.14基発150号、発令年月日が昭和24年や昭和63年になっていることに留意)裏を返せば、使用者の義務はないということであって、半日単位の休暇は認めるとも読めます。また、本来の1労働日単位の取得方法の阻害にならない範囲であれば、労使が同意した場合(労使協定・労働協約とは必ずしも言っていない点に注意⇒単なる労使での同意でいいと思われる。筆者)は、半日付与することに問題はないとも書かれています。(人事労務の実務4 畑中義雄ほか著 秀和システム)、
なお、注意点としては、半日の時間をどこで分けるかを決めておくことが重要です。例えば「午前と午後で分ける」「一日の所定労働時間の半分とする」
こういった原則1日単位の有給休暇の付与から、年次有給休暇の取得率が半分しかならない現状の下で、年休取得の促進と労働者のちょっとした用事を済ませるためにという要望もあって、平成22年4月1日から、労使協定を結んだ場合には、時間単位での休暇の取得ができるように労基法改正がなされました。今まで、原則1日で運用規定で半日単位であったものが、法改正により時間単位でどうどうと認められるようになったというわけです。
ただし、労使協定で次の4つを決めることになっています。この協定は労働基準監督署へ届け出る必要はありません。
1 時間単位年休の対象者の範囲
「工場の生産ラインで働く社員は対象外とする」など除外する必要性もあり。もちろん当該社員全員を時間単位年休の対象としても問題はない
2 時間単位年休の日数
5日以内で定めることとされていますので注意の事。
3 時間単位年休一日の時間数
どういうことかというと、一日の所定労働時間が8時間のときは、時間で取得した時間数の累計が「8時間分」の年休をとったときに一日取得したと数えるということ、所定労働時間が7時間のときは「7時間」となりますが、所定労働時間が7時間30分の時は、繰り上げて「8時間」としなければなりません。(労働者に有利に考えるということです。)
4 一時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
ふつうは1時間単位ですが、一日の所定労働時間内で2時間、3時間という単位でも決めることができるということです。4時間になると、ほとんど半日の有給休暇と変わらないことになりますが・・・
参考 人事労務の実務4 畑中義雄ほか著 秀和システム
人事総務検定2級講習テキスト、LECリーガルマインド