元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

職務上の発明があり得れば就業規則に一条を加えましょう!!

2011-10-21 04:43:01 | 社会保険労務士

職務発明とは?

 最初の職場が工業開発課というところで、いろいろ担当業務があった中で (いろいろというのは、年に何回か発生しないような業務なのでいろいろ業務を持たされたということです。別に優秀だからというわけではありませんので、念のため) 発明の奨励がありました。発明コンクールの展示作業などを行いましたが、もちろん特許法についても一応勉強しました。40年前のことですので、ほとんど忘れていますが、枠組みの基本はかわらないようです。

 発明をしたら、特許法に基づく「特許権」という権利を取得して、他者を排除して、独占的にその生産・その使用をすることができますし、他の人に譲渡することだってできます。形はないものの、モノと同様に扱うことができるというわけです。

 ところで、その頃から「職務発明」については、問題となっていました。職務発明とは、会社に勤める従業員が会社の仕事として研究開発した結果、完成した発明をいいます。会社では○○研究所、国、県では試験場などがありますが、そんな組織立っていなくても、中には本当の日常業務の中で、生まれるアイデアが特許になる場合だってあり得る(この場合、職務発明かどうかは微妙なことにはなるとは思いますが)かもしれません。

 そんな会社で生まれた発明であっても
、特許を受ける権利は、会社ではなく従業員にあります。それは、発明はその人間個人の頭から生み出されるものであるという当たり前のことから来ていると思われます。

 では、なんで職務発明を定義し区別するかと云うと、会社は、その人の給与から研究費、設備機械を使わせるなど、めんどうを見たから、その人の発明ができたともいえるわけです。会社も当然何らかの貢献をしてきている場合の発明ですから、会社は従業員の許可をもらわなくても、特許発明を使用する権利(無償の「通常実施権」といいます)やあらかじめ従業員の職務発明に関する権利を譲り受けられるように決めておくことができます。(以下「予約承継」といいます。)

 そこで、職務発明が予想される会社としては、この法律に認められた予約承継の規定を就業規則にうたっているわけです。この予約承継の規定がなければ、従業員が私の発明だからと譲渡しないといえば、会社は自由に使えないことになってしまいとんでもないことになってしまいますので(もちろん、説明のように、通常実施権は、会社にも付与されますが、通常実施権は特許権者である従業員はだれかれと使用を許諾することができ、独占的に使用できませんので、その効果は半減してしまいます。)、会社としては、会社としての「権利」を考えている場合は、必ずこの規定をおいているはずですが、まだ新進気鋭の会社であれば、あるいは、まだかもしれませんので、就業規則のチェックをしてみてください。

 職務発明がよくなされる職場であれば、職場の従業員すべてが職務発明の可能性がないわけではないと思われますが、その労働者のすべてに適用される定めであれば、就業規則に必ず記載しなければならないことになっています。(相対的必要記載事項)

 リスク回避型就業規則・諸規定作成マニュアル(森・岩崎共著、日本法令)のモデル条文では、次のように記載されています。

第114条 従業員が自己の現在又は過去における職務に関連して発明、考案をした場合、会社の要求があれば、特許法、実用新案法、意匠法等により特許、登録を受ける権利又はその他の権利は、発明者及び会社が協議のうえ定めた額を会社が発明者である従業員に支払うことにより、会社に譲渡又は承継されるものとする。
  

 <参考>職務発明制度に関するQ&A(特許庁)、リスク回避型就業規則・諸規定作成マニュアル(森・岩崎共著、日本法令)


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