「おれが長崎にいたころは、教師から教えられたことがある。それは、時間さえあれば市中を散歩して、何事となく見覚えておけ、いつかはかならず用がある。兵学をするひとはもちろん、政治家にもこれは大切なことだと教えられた。・・・その後、何処へ行っても暇さえあればひとりでぶらついた。それゆえ、東京の市中でもたいていのところは知らないところはない。日本橋、京橋の目貫のところ、芝や下谷の貧民窟、本所、深川の場末まで、ちゃんと知っている。そしてこれが、維新前後に非常の為になったのだ。」(勝海舟「氷川清話」より)
現代人は時間を効率的に動こうと無駄を省きすぎますが、ちょっと便利な交通手段を降りて歩いてみると、いろいろなものが見えてきます。政治家も忙しいと言って何処へ行くにも運転手付きの車に乗って庶民の暮らしが見えなくなっているのではないでしょうか。
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