浅草の木材バカ四代

東京下町・浅草の材木屋。四代目社長日記

日本伝統工法研究会

2006-01-30 10:53:47 | 木の話題
日本伝統工法研究会が発足しました。
設立目的は、「我が国の歴史の中で匠達が培ってきた伝統的な技に学び、その成果を生かした住まいづくりを実践することで、住まいの環境を基本から考え直し、人々の健康を守り、自然環境と共生する社会の構築を目指します」…というものです。
もちろん、無垢の木材、特に日本の気候風土に合った国産材の仕様を増やすことも活動内容に入っています。
また、毎年様々な講演会を主催される予定のようです。
私は今年度第3回目の講演会を東京大学弥生講堂一条ホールに聞きに行きました。
ちなみにこのホールは木材をたくさん利用したホールで、一見の価値ありですよ。
講師はお二人、宮崎良文先生とCWニコル先生。
宮崎先生は「木材の健康・快適性」をテーマに講義されました。
現代人のストレス状態に、木材の効果はどうなのか、ストレス軽減に役立つのか、それを「なんとなく」ではなく「科学的データ」を使ってご説明いただきました。
例えば「被験者がスギの香りを嫌いであると評価した場合においても、収縮期血圧は上昇せず、ストレス状態は生じない」とか…。
「クスノキ、ヒノキ、ヒバから発散された香りの物質は、ダニの行動を強く抑制することが分かった。スギにおいては上記の3種に比べ弱い活性を示し、ミズナラとケヤキにおいては全く効果が認められなかった」とか…。
詳しくはこちらから>>≪http://www.ffpri.affrc.go.jp/≫
続いてはご存知、CWニコル先生です。
「日本の森に住んで(森を守るには)」をテーマに講義されました。
中世EUの森はどうだったか、中世日本の森はどうだったかとか、自らの森づくり体験談とか…。
豊富な知識と様々なエピソードで私達聴衆をひきつけてくれました。
特に印象に残った言葉は「同じ情熱をもった仲間を探せ」「まず出来る、と思ってやれ」です。
ニコル先生は現在長野の森を再生させるべく運動中。
彼の夢は「日本の森を蘇らせたい。美しい日本をつくりたい」です。
かっこいいっす!!
詳しくはこちらから>>≪http://www.afannomori.com/≫
終わったのは夜の9時。
寒風吹き荒れる中、東大前の中華料理屋で東大生に混じりながら餃子とビールで乾杯しました。

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木材チップ農法

2006-01-19 14:53:16 | 木の話題
木の新しい使い道を発見するのが私の夢です。
現在、木の使い道は「住宅用」と「紙用」が圧倒的に多いのですが、それ以外にもいろいろな木の特性を活かした使い道があります。
今回ご紹介したい木の新しい使い道は、木材チップ農法です。
取り組んでいらっしゃるのは元建設会社にお勤めだった田原義昭さん。
石川県能登町の山間で、使われなくなった水田の跡地を利用してブルーベリーを栽培されています。
もともとこの地域の水田は硬い粘土質で、繊維のように細かい根が特徴のブルーベリーには栽培が難しいと言われていました。
そこで田原さんは木材のチップを厚さ50センチほど敷き詰め、根の伸びやすい土壌を整えることで、実がしっかりした甘いブルーベリーを作っています。
チップは地元の山林から出た間伐材などで、まさに地産地消ですね。
チップは、重さが従来の土の半分ほどと軽く、しかも耕す必要がなく、雑草も取りやすい。
さらに保水性にも優れ、水やりもあまりいらないという利点があります。
高齢者にとっては、まさに理想的な農法で、新しく栽培を始める農家も増え始めたそうです。
私が注目したのはこの農法を広めていらっしゃる田原さんがもともと農業の専門家ではなかった点です。
情熱があれば何でも出来るっていうことですね。
かっちょいい!田原さん!!

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グリーンバンク制度

2006-01-10 09:14:47 | 木の話題
昔は女児が誕生すると桐を植え、嫁がせるときに伐り倒して、タンスなどの家具調度品を用意しました。
ところが最近は晩婚化がすすんで娘もなかなか嫁に行かない、そうこうしているうちに家も老朽化して建て直さなければならない、庭には立派な桐があるが廃棄処分するにはしのびない…。
そんな時に利用したいのがグリーンバンク制度です。
育てられなくなった樹木などを提供したい人と、樹木がほしい人が、それぞれ樹木の種類や大きさなどを登録し、自治体が譲渡の手助けをする制度です。
自治体は登録された情報をリストにして、サイトでも公開しています。
希望の樹木が見つかった人には、自治体が提供者の連絡先を紹介します。
引渡し方法は互いに相談して決め、引き取る側が費用を負担します。
葛飾区や江戸川区など、いろんな自治体でやっています。
良い制度ですね。
ただ、実際はあまり機能していないのではないでしょうか。
自治体はただ単に文字だけのリストを公開するだけでなく、写真付きにしたり、移植費用を少し助成したりしてほしいものです。
もっともっと木がたくさんある街にしていきたいですから。

≪eco-moku エコモク≫
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