浅草の木材バカ四代

東京下町・浅草の材木屋。四代目社長日記

かまぼこの板

2005-11-28 07:54:42 | 木の話題
師走の慌しい季節がやってきましたね。
あっという間にお正月です。
お正月といえばおせち料理、おせち料理といえばかまぼこが不可欠です。
私も先日豊橋に行ってお土産にヤマサのちくわを買ってきました。
さて、日本人の食生活と木(箸やお椀など)は、切っても切り離せない関係があります。
かまぼことかまぼこ板の関係もそうです。(包丁で切れば切り離せるけど…)
かまぼこの板は白くて節のない、においのない木がよく使われています。
モミや松といった木です。
なかには杉の板を使っていることもあります。
杉のほのかな香りがかまぼこのうまみを引き立ててなかなかイイというツーな方がいるそうで…。
なぜ、かまぼこの板は木なのでしょうか。
かまぼこは蒸す時や冷やす時に、水分をはいたり吸ったりします。
その時に木の板は水分を調整してくれるのです。
それによってかまぼこは腐りにくくなります。
かまぼこが板付になったのは安土桃山時代といわれています。
かまぼこに板が付いていると、作る時に形を整えやすい、持ち運びに便利などなど、板はさまざまな役割を果たしているのです。
食べ終わったら板を再利用して、箱やネームプレートや子供の遊び道具などを作って楽しんでいる方々もいらっしゃいます。
ちなみに「板わさ」という、かまぼこを切ってわさびを添えた料理がありますが、なぜ「かまぼこわさ」ではなくて「板わさ」なのでしょうか。
これは、かまぼこイコール板を使う…という特色の為に、かまぼこのことを「板」と呼んだ料理人の間でできた言葉だそうです。

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木桶復活

2005-11-07 17:38:14 | 木の話題
ウィスキーやワインはオーク材の樽で仕込まれます。
日本酒は言わずと知れたスギ材の桶です。
木の国・日本で育まれた日本酒には木と重なりあうイメージがありますね。
ところが、戦後の高度経済成長期、木桶はホーロータンクや合成樹脂タンクになってしまいました。
悲しい話じゃありませんか。
外国では今でも木樽で酒を造っているってーのに、木の国・ニッポンじゃ効率と衛生を追求するがあまりに…。
日本が木桶で酒を造らなくなったわずか四十年の為に、伝統の技術が永久に失われてしまうのです。
桶づくりの技術を受け継ぐ桶師の世界でも、後継者難に直面しています。
しかしこの危機に、「桶仕込み保存会」が発足してくれました。
発起人はなんとアメリカ人女性ですよ。
がんばっていただきたい。
木桶で仕込まれた日本酒はうまいらしいですよ。
木肌に自然に穿たれた無数の孔に棲みつく微生物は発酵に影響を与え、桶ひとつひとつに独自な味わいをもたらすそうです。
いいじゃーないですか、木桶の日本酒。
飲みたいです。

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