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中村文則の「自由思考」

たまたま読む本が無くて、連れが借りていた中村文則の「自由思考」(河出書房新社)を手にしました。


初めて読む作家さんですが、2002年に「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。以降17年、結構多くの著作を出してるんですね(私が知らなかっただけか…)
公式サイト;http://www.nakamurafuminori.jp/

今回手にした「自由思考」はエッセイ集で、「太陽が似合わない男第一位」なんて自虐ネタもありますが、総じていうと極めて硬派な社会的なテーマに発信している方との印象を受けました。

『この国の「空気」』と題した書き下ろしエッセイで、「公正世界仮設」という心理学用語を紹介して、「この世界は公正で安全だと思いたいから、何かの被害が発生すると、それはあなたにも落ち度があったのでは、と思う心理。社会制度などのせいではなく、個人の過失に還元してしまう心理と言われている」… 何か世の中で起きてることが そのまま当てはまるような気がしますね、、、

電車の中や街中でスマートホンを見ている人を目にすることが多いですが、「ある研究によると、スマホを見ている時、人間はぼうっとしている時よりも、前頭葉の働きが抑制的になるという」「ネット上の言葉に劣化したものが多い理由の一つは、前頭葉が抑制的になっている時の言葉だから、というのがあるかもしれない」…ふむふむ なるほど、、、

脳の最重要箇所ともいえる前頭葉の働きが、ヒトと他の動物との違いを際立たせていわれていますが、一日中スマホに支配され前頭葉の働きが「ボ~~ッ」している時よりも抑制的になっている状態が常態化している人が増えれば、ヘイトスピーチに煽動されたり、煽動されないまでも「公正世界仮設」で思考を停止してしまう人が増えているような気が…
そんなことに気づかされた「自由思考」でした。
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