Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ICU退室の遅れと患者予後

2020年12月04日 | ICU・システム
Forster GM, Bihari S, Tiruvoipati R, et al.
The Association between Discharge Delay from Intensive Care and Patient Outcomes.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Nov 15;202(10):1399-1406. PMID: 32649212.


ANZICS-APDのデータベースを用いた研究、Nは100万越え。ICUが退室OKと判断してから実際に退室するまで2日以上かかった症例が約2%あり、この患者群ではリスク補正された病院死亡率が有意に低かった(OR 0.87)。その効果は入室時の予測死亡率が高い(>5%)の群で顕著だった。

Early discharge、つまり夜間とか休日の予定外の退室は予後が悪いと一般に言われており、複数の研究がそのことを示唆している。理由は、ICUでの重症患者管理は病棟でのそれよりも質が高いので、まだ退室可能と判断されていない患者さんが早めに病棟に行ってしまうと予後が悪くなるから、とされている。
ということは、その逆のlate dischargeは予後が良くなるかもしれなくて、この研究はその可能性を示唆している。退室判断が100%正確とは限らないし、あり得る話だとは思う。

考えたことなかった。無駄なICU在室は望ましくないと思っていた。

一般に、ICUの病床数を増やすと在室期間が延びる、という現象が観察される。今までは無理やり出していたのに、”じゃあ念のためもう一泊しますか”という会話がしやすくなるので、普遍的に起こっている現象ではないかと思う。在院日数の延長、コストの増加、ICUスタッフの業務増などにつながるので、望ましいことではないと思っていたのだが、そうでもないということか?

うーむ。
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テンプレート変更:冬バージョン

2020年12月03日 | ひとりごと
突然寒くなった。

それにしても今年は変な年だった。
何年かしたら、「あの時は大変だったねー」くらいの思い出になるのだろうか。
そうであってほしい。
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