Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

2型糖尿病患者の血糖コントロール

2022年10月20日 | その他
Poole AP, Finnis ME, Anstey J, et al.; LUCID Study Investigators and the Australian and New Zealand Intensive Care Society Clinical Trials Group (ANZICS CTG).
The Effect of a Liberal Approach to Glucose Control in Critically Ill Patients with Type 2 Diabetes: A Multicenter, Parallel-Group, Open-Label Randomized Clinical Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2022 Oct 1;206(7):874-882. PMID: 35608484.


ANZICS-CTGのPhase IIb。DM患者では血糖のターゲットが高い方がいいという観察研究がいくつかあり、それを検証するためのphase III RCTの前段階として、低血糖の発生をprimary outcomeとしたRCTをやった。血糖ターゲット:180-252 vs. 108-180 mg/dl、N=419。その結果、低血糖は高いターゲットの方が少なかったが、死亡率が高くなった(29.5% vs. 24.9%, p=0.29)。

興味深い点が複数。
1:ここでも観察研究に基づく仮説が裏切られた。低血糖は悪い、DMでは高血糖でも良い、その両方。残念。
2:ANZICSともなると呼吸とは何の関係もない血糖でAJRCCMに乗りますか。さすがです。
3:Primary outcomeは予定通り、でも死亡率が高くなった、でも有意差はない。さて、ANZICSは次をどうするんだろう。文献内にはphase IIIについての記載は無いように思う。他にも研究はたくさんあって暇では無いから、少なくとも優先はされないんだろうな、きっと。

ベルギーの1施設RCTから始まった血糖論争。21年の時を経て、そろそろ終結かな?
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