Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

「日本医師会、NP国家資格に反対の考え」というニュースについて

2023年02月16日 | ICU・システム
M3のニュース(もしかしたらM3にログインできないと読めないかも?)。
日本医師会、NP国家資格に反対の考え
こちらは同じくM3の13年前のニュース。
「診療看護師」の新設に反対、「意義も定義も不明」と日医

ちょっと面白いのは読者(つまり医者)による賛成反対の投票。この記事を書いている時点で、13年前の記事は賛成17で反対1(この1は僕がさっき入れた)だったのに、今回の記事は20対20になっていること。

で、思い出した文献。
Trunkey DD.
An unacceptable concept.
Ann Surg. 1999 Feb;229(2):172-3. PMID: 10024096.

この研究、つまりある外科ICUをclosed ICUにした効果についての研究に対するeditorial。繰り返すけど、correspondenceじゃなくてeditorial。
二段落目をDeepLで和訳。
「このコンセプトは受け入れがたいものであり、猛烈に非難されるべきものだ。私が非難するのは、主に誤った目的と不適切な結論に基づくものである。このコンセプトを否定する二番目の理由は、専門家としての哲学の問題であり、学習刺激、ケアの継続性、医療経済への悪影響が含まれる。」

こういうことを直接ではなくても間接的に言う医者には会ったことがあるし、今も存在するはず。でも、ずいぶん数は減ったと思う。理由は簡単。集中治療専門医が増えて、集中治療専門医が管理するICUが増えたから。賛成か反対かではなく、知っているか知らないか。M3のニュースの賛成反対の変化も、13年前と比べて実際にNPとして働いている人が増えて、NPと働いたことがある人が増えると、こういう結果になる。

20年前のちょうど今頃、オーストラリアから日本に帰ろうとしてICUの職場を探したのだけど、まったく見つからなかった(仕方ないので救命センターに就職)。でも今は、医者の斡旋サイトを見れば「集中治療医募集」なんて病院をいくつも見つけることができる。

NPの皆さんへ。
10年か20年したら、若いNPに、「昔はこんなだったんだよ」と教えてあげてください。

若い集中治療医の皆さんへ。
こういうことを言う医者と対峙する必要が(ほぼ)なくなった現状は、先人たち(僕も含む)のおかげであることを忘れず、会うたびに感謝しましょう。
コメント
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