Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

COVID患者のCMV再活性化

2022年06月04日 | COVID-19
Gatto I, Biagioni E, Coloretti I, et al.; Modena COVID-19 Working Group.
Cytomegalovirus blood reactivation in COVID-19 critically ill patients: risk factors and impact on mortality.
Intensive Care Med. 2022 May 18:1–8. Epub ahead of print. PMID: 35583676.


イタリアの3つのICUでCOVIDによるARDSになった431例。入室時と週1~2回、CMV-DNA血症の有無を検査。その結果、20%の症例でCMVの再活性化が起こっていて、重症度が高い症例で多かった。死亡率は明らかにCMV再活性化群で高かったが(67% vs. 24%)、多変量解析では有意差はなかった(p=0.5)。

COVIDに限らず、なんか患者さんの治りが悪かったり炎症反応が上がったりすると誰かがCMV抗原とかを測り、だいたい陽性で、感染症科がコンサルトされ、まず間違いなくガンシクロビルが開始され、それで状況がスパッと良くなることはまずなく、腎障害が起こったり白血球や血小板が低下してきたりして、薬をどうしよう、なんていう話をする。
慈恵でもよくやっていたし自治でもよくやっているので、日本中でやっているのではないかと想像する。

でもこれ、相当根拠が乏しい。
ICU患者の免疫不全によるCMV再活性化が治療対象なのか、誰も知らない。
根拠が乏しくて副作用が強くてコストも高いことを、みんながやっている状況、そろそろ何とかならないだろうか。

それとも、僕が知らないだけで、もう有効性が示されているのか?
僕が知っているのは、これこれだけなのだけど。
コメント
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