Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

敗血症のpersonalised medicine

2016年04月13日 | 感染
Davenport EE, Burnham KL, Radhakrishnan J, et al.
Genomic landscape of the individual host response and outcomes in sepsis: a prospective cohort study.
Lancet Respir Med. 2016 Feb 22. PMID: 26917434.


肺炎による敗血症でICUに入室した265例の末梢血白血球の遺伝子発現について検討した研究。
紹介したいなと思ったのはこれではなく、この文献のeditorial。

Vincent JL.
Individual gene expression and personalised medicine in sepsis.
Lancet Respir Med. 2016 Feb 23. [Epub ahead of print] PMID: 26928384.


Vincent先生のお言葉です。
敗血症に対する研究はたくさん行われたけど、全部ネガティブだった。その大きな理由は、患者さんの免疫状態は症例によって時期によって大きく異なるからだ。患者それぞれに合わせた治療が遺伝子情報などによってきめ細かくできるようになれば、もっと効果的な治療ができるようになるかも。

One-size-fits-all approach has resulted in a multitude of negative RCTs, especially in sepsis, with vast amounts of wasted effort and resources. One size cannot fit all.

僕は行ってないけど、先月のブリュッセルのISICEM(すごいタイミングで行われた)で、この話をVincent先生はされたらしい。

たしかに。ごもっとも。
1990年ごろから20年くらい、”one-size-fits-all approach”が試みられ、全部失敗。次の20年はpersonalised medicineを試みる時代が来るんでしょう。
期待したいところではあるのだけれども。
何だろな。直感的に、成功する気がしない。
ずっとネガティブな研究を見せられ続けているからなのと、subgroup analysisはダメよと教わっているからなのと。

じゃあ敗血症患者の予後を改善する方法は無いのか、とは思っていなくて。なんかね、もっと基本的なところにある気がするんですよ、ね。うまく言えないのだけど。
コメント
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