Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ICU患者の脳波異常

2015年04月23日 | 神経
ご存知のように、先週はICMとCCMが両方とも出たわけですが、
タイトルに関連した文献が3つも出ていたので、まとめてみる。

Gilmore EJ, Gaspard N, Choi HA, et al.
Acute brain failure in severe sepsis: a prospective study in the medical intensive care unit utilizing continuous EEG monitoring.
Intensive CareMed. 2015 Apr;41(4):686-94. PMID: 25763756.

アメリカの一施設前向き観察研究。セプシスで入室した98例、100エピソード。持続的に脳波のモニタリングを行ったところ、25エピソードでperiodic dischargeが認められ、そのうち11エピソードではnonconvulsive seizuresだった。

Seder DB, Sunde K, Rubertsson S, et al.; International Cardiac Arrest Registry.
Neurologic outcomes and postresuscitation care of patients with myoclonus following cardiac arrest.
Crit Care Med. 2015 May;43(5):965-72. PMID: 25654176.

国際心停止レジストリのデータ。2532例の院外心停止蘇生患者。18%にミオクローヌスが認められ、そのうち9%は予後良好(CPC2以下)だった。ミオクローヌスを起こした患者のうち78%で治療が打ち切られ、その中央値は心停止後5日だった(撤退が早すぎる可能性を示唆)。

Marchi NA, Novy J, Faouzi M, et al.
Status epilepticus: impact of therapeutic coma on outcome.
Crit Care Med. 2015 May;43(5):1003-9. PMID: 25654177.

スイスの一施設研究。痙攣重積(30分以上継続)467例。そのうち50例にtherapeutic coma(持続鎮静)が行われた。多変量解析において持続鎮静は予後不良と関連しており、とくに複雑部分発作において顕著であった。感染の発症率や病院滞在期間にも悪影響を示した。

どれも初めて聞く話ではないのだが。
どれも自分の臨床経験と照らし合わせるとしっくりこない。
敗血症の意識障害で脳波をとってNCSが1割もあるとは思いにくいし、心停止後のミオクローヌスで1割も元気になるとも思いにくいし、痙攣重積で持続鎮静しないという選択肢は選びにくいし。

うーん。
頭の中の保留ボックスに入れておくことにする。
コメント
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