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熱風!韓国LEGENDS⑬ 幻の別編集版遂に発掘!申一龍主演『鬼計双雄』韓国版!

2008-11-21 01:32:06 | 熱風!韓国LEGENDS
さて、何時の間にか既に第13回となっている「熱風!韓国LEGENDS」ですが、今回はコアな韓国クンフー映画ファンにとってはまさに衝撃&絶句の激レア別編集バージョンのレビューです。それが嘉禾公司作品で鄭昌和導演、申一龍主演『鬼計双雄』(76)の韓国バージョンである『審判者(韓国題名)』です。
ちょっと前に樂貿影視からリリースされた『鬼計双雄』香港バージョンのVCDは、それまで大昔に台湾で発売されていた同作のVHSを中々観る事が出来なかったファンの方々にとってまさに待望のリリースだったと思いますが、それほど『鬼計双雄』のソフトは長きに渡りレア・アイテムでした。(と言いながら本作には英語バージョンも存在している事が判明しています)で、今回レビューする韓国バージョン『審判者』は当然全編に渡って韓国語吹き替えであるばかりか、まさに韓国クンフー映画コレクター号泣の別編集映像満載のバージョンなのです!!
では、いよいよその大興奮の内容を“本邦初”の形でご紹介しましょう!

まず韓国バージョンは香港バージョンのオープニングとは異なり、主人公の龍健民(申一龍。全編韓国語で正確な物語や役名把握が難しいため香港バージョンの役名に従います)は新聞社の記者で、映画の冒頭で波止場で取材中の健民に健民の父親が殺害されたとの手紙が届き「アボジが死んだ!?」と健民が愕然とするシーンに重なるようにドーン!と『審判者』の題名が漢字で出ます。
勿論この冒頭のシーン、更には暗い表情で車中の人となった健民の姿にハングルのクレジット・タイトルが被さるオープニングは韓国バージョンでのみ観られるシーンであり、香港バージョン『鬼計双雄』では観ることが出来ません。
更に健民が父親の殺害現場に到着すると、何と香港バージョンには登場しない同僚の洪性中とマーチン・チュイが健民を出迎えます。
また健民の上司役をこれまた韓国バージョンのみ出演の李芸敏が演じていて、健民は父親の死の真相を追って韓国から香港に向かう事で別の上司と言い争い、最後は辞表(と思われます)を提出して新聞社を後にします。
で、ですね、実はここからがこの韓国バージョン『審判者』最大の衝撃映像が登場するんですが、何と香港出発前の健民がテコンドー道場に赴き、鍛え抜かれた上半身も露に鉄アレイでの筋トレを披露し、さらにテコンドーの胴着に着替えた健民が道場内でド迫力の連続蹴りを連発しての組み手シーンが登場します!それもこの申一龍のテコンドー・ファイトは、嬉しい事に数秒などではなくスロー・モーション描写も交えて延々と続くんですよー!
いや~私もこれまで色々な韓国クンフー映画の別編集バージョンを観て来ましたが、この『審判者』出演当時はまさに武打星として全盛期にあった申一龍の韓国バージョンでしか観られないこのテコンドー・アクションには流石にちょっと興奮してしまいました(苦笑)。
さらにこのテコンドー道場のシーンの後に、今度は龍健民がクレー射撃(!)を楽しむシーンまで登場し、やっと健民が金浦空港から韓国を飛び立ち香港に向かいます。因みにここまででやっと約11分です。
いやはや良かったぁ、このまま延々と韓国のシーンが続いて張友智役の陳星や陳恵敏たちが最後まで登場しないのかと思いました(苦笑)。この後は多少のカット編集を挟みながらも、ほぼ香港バージョン『鬼計双雄』と同じ展開となりますが、そうは言いながらも物語の随所に韓国の新聞社に残っている設定の李芸敏と洪性中の会話シーンが何度も挿入されたり、健民とインドネシア女優とのキス・シーンが香港バージョンに比べて微妙に編集されて短くなっていたり、香港バージョンでは申一龍と陳星が電話で会話するシーンが韓国バージョンでは申一龍と洪性中の会話シーンへと強引に編集が変えられていたりと、様々な相違点が確認出来ます。
さらに健民の父親が殺害されるシーンの回想場面では、これまた韓国バージョンにしか登場しない趙春が2人組の犯人の1人で登場します。いやそれにしても如何に韓国バージョンと言っても、これほど幾度にも渡って細かく韓国側による別編集映像挿入が施されているバージョンも珍しいですね。
ラストでは陳星vs洪金寶(ちゃんと韓国バージョンにも出演しています)、さらに申一龍vs陳恵敏の決闘が繰り広げられ、最後は申一龍と陳星がお互いの手を高々と挙げて劇終・・じゃないんです!!(苦笑)。
何とぉ!韓国バージョンでは香港バージョンでは映画が終わるシーンの後にまだまだ物語が続くんです!
韓国バージョンでは場面が韓国の金浦空港のシーンになり、無事に香港から戻った龍健民こと申一龍を出迎えた李芸敏と洪性中が車の中で以前に受け取っていた健民の辞表(と思われます)を健民に返し、思わず2人が笑顔で笑い合うシーンの後に、70年代クンフー映画では実に珍しいエンド・クレジット(ハングル)が軽快なBGMと共に韓国市街の映像をバックに延々と流れ、やっと『審判者』は劇終となります。

この韓国バージョン『審判者』は韓国では76年7月10日に公開され、香港バージョン『鬼計双雄』はやや遅れて同年の8月13日に香港で公開されています。因みに『審判者』は約1時間25分、『鬼計双雄』は約1時間34分です。つまり韓国バージョンは約10分短い事になりますね。更に余談ですが、この『審判者』は韓国国内でもこれまでビデオが出ていない事になっているんですが、私が実際に確認した韓国版のビデオのジャケットは香港バージョンの英語題名である『The Double Crossers』や韓国バージョンの英語題名の『A Judge』とは全く別の英語題名が付いたジャケットで確かに申一龍と陳星の写真が載ってはいますが、劇中の写真とは全く別の作品の写真でしたね(苦笑)。最後に主役の申一龍に触れると、私はこの申一龍こそ70年代から活躍する韓国武打星の中では、その“韓国の藤岡弘”と言われる端整なマスク、見事にビルドアップされた上半身、そして何より迫力満点のテコンドーの蹴り技と、文字通り全てが揃った最高にカッコイイ武打星だと思います。そういう意味では今回“本邦初”の形で、この『審判者』を当ブログで紹介出来た事を大変嬉しく思います。
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