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香港功夫映画と共に

THIS IS 甄子丹(89) 「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」③ 宿命の“詠春正宗”張天志編

2016-04-07 11:18:12 | THIS IS 甄子丹
張天志「葉師父、貴方は陳華順に学んだと聞きました」
葉問「はい、そうです(笑顔で)」
張天志「では私たちは同じ陳華順の師、梁賛を師公と仰ぐ同門だな」
葉問「おお、私たちは兄弟弟子だね。改めてよろしく!(と包拳礼)」
張天志「陳華順師父は蹴りや刀よりも、拳と棍術に秀でていたとか?」
葉問「力強さと柔らかさ・・・・どちらも正統かと」
張天志「じゃあ貴方はどちらなのか?」
葉問「・・・・私はバタバタする程度さ」
張天志「機会があったら、友好的な手合せをお願いしたい!」
葉問「・・・いいとも(厳しい表情で)」

お互いの息子が同じ小学校に通う縁で知り合った2人の類まれなる詠春拳高手、葉問(ドニー兄貴)と張天志(張晋)。
香港で高い名声を得ながらも愛する妻永成と寄り添うように生きる葉問。車夫として働きながら敢えて息子に自分を「師父」と呼ばせ、闇試合で燃え滾る野心を募らせる張天志。
「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」第3回にして大結局は、この“詠春正宗”を懸けて火花を散らす2人の武道家の壮絶な闘いを語っていきたいと思います。

不動産王フランクが送り込んだ刺客のムエタイ拳士を撃退し、そのフランクとの直接対決に挑み、息子葉正が通う小学校を守った葉問ですが、そんな葉問を待っていたのは長年連れ添った愛妻からの癌の告白でした。
「老公、私の余命は・・・あと6ヶ月よ!」「何だって・・・」
その日から葉問の人生の全ての時間は永成と過ごす事に捧げられます。2人で共に病院に通い、絶えず永成の傍に寄り添い、残された2人だけの掛け替えのない時間を日々大切に過ごす葉問。
しかしそんな葉問に1人の野心に燃えた武道家からの挑戦状が叩き着けられた!!我こそは最強の詠春宗師である!目的達成のためには手段を選ばない張天志は香港の名立たる武道家を次々と倒し、自らの武館を立ち上げると、遂に葉問に公開挑戦状を叩き着けます。

張天志「武芸では誰が真の頂点なのか確立されなければならない。葉問、あの男は詠春を代表する人間ではない。諸君、私はここに宣言する。どちらが真の“詠春正宗”か、私、張天志は葉問との公開決闘を望む!!」

詠春vs詠春!!香港がこの世紀の対決に沸き立つ中、葉問は日に日に病状が悪化する永成の枕元から離れようとしませんでした。
張天志との公開決闘当日も永成とのダンスを楽しんでいた葉問は、世間が張天志を勝者と決定してもそれを全く意に介しませんでした。
そんな夫の姿に永成は薄れゆく意識の中で葉問にこう訴えかけるのでした。
「老公、貴方にはやらなければならない事があるわ。私の事が原因で貴方に後悔して欲しくないの」
それでも黙して自分に寄り添う葉問の姿に、永成は張天志に手紙を書くのでした。
雨が張天志の武館を叩く夜、永成と共に張天志の前に姿を見せた葉問は、葉正と張天志の息子が見守る中、遂に張天志との宿命の“詠春正宗比武”に挑みます・・・!

「詠春・・・張天志!」「詠春・・・葉問」
まずは六點半棍による棍術合戦では葉問の力強い根術で張天志の棍が折れ、続く八斬刀対決では葉問のしなやかな刀捌きが張天志から2本の刀を奪い取ります。「ババッ!」「バッ!バッ!」素手となった葉問と張天志は同時に身構えると、いよいよ交手による決戦が幕を開けます。激しく拳を打ち付け合う2人の詠春高手。
しかし闘いの要所要所で葉問の鋭く短い蹴りが張天志に決まり、張天志は徐々に精神的に追い込まれていきます。
2人は武館中央にある階段を上がりながら一心不乱に拳を打ち合い、葉問の蹴りが、張天志の蹴りが同時に炸裂し、その衝撃で2人は階段の手摺をそれぞれ身体ごとヘシ折り宙に舞うと地面に着地!直ぐに接近すると再び猛然と拳を打ち合う!!
葉問は愛する妻への深い愛と悲しみを背負い、張天志は自分の飽くなき野望と息子の憧れを背負い、その2人の燃え上がる闘志は張天志の殺気漲る手刀の連環撃、それを的確に防ぎ電撃の掃腿法で応戦する葉問による決死戦へと姿を変えながら、闘いは最高潮を迎える!!!
明らかに自分が劣勢である事を悟った張天志は、一瞬の間合いで葉問の腕を捉えると、防ぎ手を抑えられた葉問の右目を手刀で突きます!この卑劣な攻撃で視界を塞がれる葉問!!
そこに猛然と迫る張天志の容赦ない連続正拳突き!それを聴覚だけを頼りにカワす葉問!!張天志が自らの勝利を確信した、その瞬間!!
「バキィ!ドガッ!!」「ぐはぁ!?」葉問の寸勁が張天志の腹部に炸裂!張天志は苦悶の表情でその場に崩れ落ちます。

闘いに勝利した葉問は、壁の向こう側で自分を待つ永成の許へと歩を進めますが、その背中越しに張天志が自分の武館に掲げた「詠春正宗」の看板を棍で叩き割り「私は・・・恥を知らない人間に負けたわけではない!」と吐き捨てる声を聞きます。振り返った葉問は全ての悲しみを乗り越えた表情で呟きます。
「最も大切なのは貴方の身近にいる人だ」そしてその夫の言葉を壁越しに聞いた永成は、ただ穏やかに微笑むのでした。

「葉問3」における葉問と張天志の生き方を通して、私は同じような武道家同士の相対する対立概念を描いた1本の香港クンフー映画を思い出しました。
そう、「ワンチャイ天地黎明」(91)の黄飛鴻(李連杰)と厳振東(任世官)です。
高い名声を得ながらも、その名声よりも尊い物が何かを知るがために無益な闘いを避ける黄飛鴻と、自分の境遇に不満を満ち、その野望を達成するためには手段を選ばず猛進する厳振東。
この黄飛鴻を葉問に、厳振東を張天志に置き換えて観てみるのも面白いですし、「葉問3」ではさらにそこに葉問の病に倒れた妻への深い愛情を感動的に盛り込んでいる点に注目でしょう。
どちらも素晴らしい作品ですし、葉問と黄飛鴻という同じ中国が生んだ稀代の武道家の人生を描いた2つの作品がこうして私たち観客の高い支持を得ている事は大変喜ばしい事です。
ただ私自身、この「葉問3」に不満が無いわけではありません。ドニー兄貴の主演作品だからと言って手放しで絶賛してばかりでは、香港功夫映画評論家として本当の意味での評論とは言えないでしょう。
私がこの「葉問3」で最も残念だった部分、それは今回の特集の中で私が敢えて1度も言及しなかった1人の重要な登場人物に関する部分です。
この不満点に関しては、また機会を見て「葉問3」の特集を組んだ時にジックリと語ってみたいと思っています。そう「葉問3」、まだまだ語り足りません(^_^)。
さて、今回の特集「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」如何でしたでしょうか。
この特集をドニー兄貴信者だけでなく、多くの香港クンフー映画ファンの皆さんに読んで頂き、また楽しんで頂けたら幸いです。それでも「葉問3」、まだまだ語り足りません!
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