
さて、長らく続けて来ましたデスゲームスペシャル「死亡遊戯:THE RESTART」も李小龍の命日の今日が大結局(最終回)となります。
まずはご覧の上の画像をご覧ください。これは五重塔は3階“虎殿”におけるダン・イノサント☓解元&田俊のファイトシーン撮影中のフィルムのテイクとテイクの合間に一瞬映し出されたカチンコですが、その白チョークで書かれた作品題名をよく見て下さい。『黄面虎』とあります。
この『黄面虎』なる題名は“虎殿”で僅か数日使われただけで、すぐに『死亡的遊戯』へと変更されます。
つまり李小龍監督、脚本、武術指導、そして主演作品『死亡遊戯』は、当初極秘裏に撮影がスタートしたカリーム・アブドゥル・ジャバールのフロアで使用された『試鏡』に始まり→『黄面虎』→『死亡的遊戯』→『死亡遊戯』と、何と4度に渡り題名が変更された作品だったわけです。
では何故『死亡遊戯』という作品世界を検証する際にこれほど重要な事実が今日まで何十年も殆ど知られずに来たのか?実はそれは今回遂に一般公開された幻の丸太戦映像と密接な繋がりがありました。
フォーチュンスター社が保管していた約110分の五重塔内のファイトシーンを収めた『死亡遊戯』のマスタープリントは、当然何巻ものフィルムリールに分かれて保管されていました。
そして丸太戦の映像はフィルムリールの1巻目に収録されていました。実はこの丸太戦のフィルムリールの最初には“他作品の未公開フィルム”も収録されていたのですが、それはまた別のお話。
ところが『ブルース・リー死亡遊戯』(78)で、五重塔内のファイトシーンを“本物”李小龍による約11分のクライマックスファイトに編集する際、恐らくは「フィルムリールの1巻目には李小龍は映っていない(ファイトシーンがない)から」との理由で、編集サイドはフィルムリールの1巻目には手を触れず、リールの2巻目に収録されたフィルムから編集作業に使用したと思われます。
ここがまさに運命の分かれ道で、このフィルムリールの2巻目、つまりダン・イノサントがカリスティックを田俊に対して悠然と振り回して見せるシーンから収録されていた映像こそが後に78版『死亡遊戯』の編集使用済みフィルムとして知られる事となる約96分のラフカットであり、そのラフカットを基に製作された作品が『BRUCE LEE in GOD/死亡的遊戯』(00)と『A Warriors Journey』(00)だったのです。
ではたまたまフィルムリールの1巻目に収録されていたがために、それこそ何十年も我々の目に触れずに来た『死亡遊戯』の初期題名『黄面虎』とは果たして何を意味するのか?
唯一1972年前後『死亡遊戯』撮影中に香港の雑誌に「李小龍の次回作品の題名は『黄面虎』である」との記事が載ったぐらいでその謎の題名の背景は殆ど不明です。また以前に日本のファンがフォトセッションのみの企画作品『細鳳』の別題名が『黄面虎』だと断言していましたが、それが誤りであった事はこのカチンコ画像を見れば明白です。
『黄面虎』、黄色い顔の虎。それは主人公李小龍が身に纏ったイエロートラックスーツを意味するのか?それとも“フィリピンの魔杖師”ダン・イノサントが守るフロア“虎殿”を意味するのか?それとも?
私が2000年にダン・イノサントにインタビューした際、この『死亡遊戯』の初期題名『黄面虎』の事実を知っていたら、その場で何らかの事実をイノサントから聞き出せたかと思うと改めて断腸の思いです。
幻の『死亡遊戯』フィルムと言われ続けた丸太戦映像や新界野外ロケ映像は遂に一般公開されました。
しかし、今ここに『死亡遊戯』という作品世界の、ある意味中核となる作品題名『黄面虎』の大いなる謎が新たに生まれました。
そう、まだ私たちのデスゲームは終わってはいない!未完成で終わったが故に、未完成だからこそ次々と我々に投げかけられる永遠の謎解きと言う名のデスゲームがこれから始まるのだ!Our Game is not over yet!!
Yellow Faced Tiger.Yes this was early title of Game of Death.