超級龍熱

香港功夫映画と共に

邵氏版エクソシスト映画『鬼新娘』&朴重勲主演『アメリカン・ドラゴン』CS字幕放送

2009-10-06 12:13:50 | 作品レビュー
最初は恒例の韓国映画の小ネタですが、今月スカパーの「FOXムービー(318CH)」でパク・チュンフンこと朴重勲のハリウッド進出作品でラルフ・へメッカー監督、マイケル・ビーン共演によるアクション・ノワール『アメリカン・ドラゴン』(98)を放送していますね。この映画、残念な事に国内ではビデオもDVDも未発売なんですが、私は以前から韓国版のオリジナルVHSを持っていました。でもやっぱり日本語字幕付きで観たいので、今まで観るのをズッと我慢していたんですが、そう言う意味では今回のスカパーの日本語字幕放送は嬉しいですね(笑顔!)。
朴重勲がこの『アメリカン・ドラゴン』出演に至るまでには、12人のキャスティング・ディレクターが東洋人主演俳優を本作にキャスティングするために各国のトップスター数10名をオーディションした結果、見事朴重勲が選ばれたそうです(拍手!)。まあ韓国映画ファンで朴重勲を知らない人はいないと思いますが、朴兄貴の他の主演作品だと言わずと知れた『ツーコップス』(93)、日韓合作映画でラストの朴尚民との対峙シーンが余りにも哀しい『極道修行/決着(おとしまえ)』(96)、ルトガー・ハウアーの『ヒッチャー』(86)のパクリ映画ながらB級感覚的な弾け振りが逆に面白かった『セイ・イエス』(01)などが印象に残っているんですが、最近も朴兄貴はソル・ギョング主演の津波パニック映画『海雲台』(09)にも出演していましたっけ。私は昨日の初回放送の『アメリカン・ドラゴン』を無事に録画したんですが、まだ今月何回か再放送がありますので、ご興味のある方は是非!

さて、先日ちょっと必要があって邵氏兄弟公司のホラー映画で周旭江導演、邢慧&楊帆主演『鬼新娘』(71)を観ていました。この『鬼新娘』は天映娯楽社が邵氏片をDVDリリースする以前は激レアだった作品で、私の周囲の映像コレクターでさえも誰も観た事がない作品でした。なので天映娯楽社から実にアッサリと本作のDVDがリリースされた時には私も嬉々として購入しながら、実は最近まで放置状態だったわけです(反省)。
でもこの映画、英語題名がカッコイイよねえ、何たって『The Bride From Hell』ですから。
映画は典型的な中国の復讐ホラー映画で、邢慧演じる女幽霊が20年前に自分の両親を殺した3人の悪漢に復讐するため、その悪漢の親戚である善良な男性(楊帆)と結婚します。そして邢慧は悪漢たちと同じ村に移り住み1人、また1人と悪漢たちに復讐していくんですが、邢慧が普段の可憐な嫁から本来の怨霊(実は邢慧自身も既に死んで怨霊になっている設定)の妖気な姿へと一瞬にして変化するシーンはやっぱり迫力がありますね。
ただ先日「熱風!韓国LEGENDS」でレビューしました韓国ホラー映画『整形美人』(75)などの良い意味での下品さ&強烈さは逆に希薄で、改めてこの時代の邵氏のホラー映画、あるいは香港ホラー映画は作り自体が上品だったんだなぁ、と感じさせてくれます。だって邵氏も80年代に入ると桂治洪や楊権とかがもうムチャクチャなホラー映画撮り始めるしねえ(苦笑)。
で、この『鬼新娘』タイプの言わば正統的な香港ホラー映画の一つの到達点が胡金銓導演による『山中傳奇』(79)になるんですが、邵氏公司サイドに言わせると、この『鬼新娘』はあのウィリアム・フリードキン監督作品『エクソシスト』(73)に先駆けること2年も前に公開された“香港版エクソシスト映画”だそうです。
そう言えば本作『鬼新娘』のもう1人の主役である楊帆は74年に奥さんと離婚した後に精神状態がおかしくなって(!)映画界を去ったそうで、やっぱり楊帆が『鬼新娘』で愛した美しき女幽霊は文字通り“地獄から来た花嫁”だったのかも知れません。

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