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慢性腎不全 張琪氏漢方治療21 帰芍六君子湯 貧血治療1(腎病漢方治療220報)

2013-12-29 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

慢性腎不全に貧血が伴うのは「腎性貧血」として良く知られています。現代日本では、遺伝子組み換えのエリスロポイエチンの投与が一般的になっています。本案では、腎性貧血の漢方治療を紹介します。残存腎機能がある程度期待できる場合には、漢方治療でも十分に貧血に対処が可能であるという医案内容です。

患者?某 34歳 女性

初診年月日1992515

主訴:持続性蛋白尿5年、乏力半年

病歴

5年前腰痛にて検査:尿蛋白(3+)、尚志市人民病院で慢性腎炎と診断され、断続的に中薬治療を受ける。持続性蛋白尿(3+)。半年前、乏力にて検査、Cre300μmol/L3.39m/dL)に上昇、慢性腎不全と診断され、中薬治療と対症治療にて乏力減軽、Creは次第に増高、系統的治療を求め氏を受診。

初診時所見

面色皓白無華、乏力倦怠、食少納呆、腹張便溏、時に悪心、腰酸、双下肢無力、舌質淡歯痕有り、脈沈細。BUN21mmol/L126m/dL)、Cre424μmol/L4.79m/dL)、ヘモグロビン6.5/dL

中医弁証:脾腎虚衰、陰陽気血倶虚

西医診断:慢性糸球体腎炎、慢性腎不全

治法:健脾養血、化濁

方薬:

紅参15g 白朮15g 茯苓15g 甘草10g 当帰15g 白芍15g 半夏15g 陳皮15g 何首烏15g 砂仁(化湿行気和中)10g 蒼朮(燥湿健脾)10g 紫蘇15g

水煎服用、11剤。

二診

上方服用十剤、嘔悪便溏消失、腹張軽減、舌質淡歯痕有り、脈沈細。上薬を継続服用。

方薬:

紅参15g 白朮15g 茯苓15g 甘草10g 当帰15g 白芍15g 半夏15g 陳皮15g 何首烏15g 砂仁10g 蒼朮10g 紫蘇15g

水煎服用、11剤。

三診

前方再度服用14剤、全身は以前に比し有力、食欲増強、面色は転潤、精神状態も前に比し増強。前方加熟地黄20g 山茱萸20g 枸杞子20gを継続服用。

方薬:

紅参15g 白朮15g 茯苓15g 甘草10g 当帰15g 白芍15g 半夏15g 陳皮15g 何首烏15g 砂仁10g 蒼朮10g 紫蘇15g 熟地黄20g 山茱萸20g 枸杞子20g

水煎服用、11剤。

四診

連続服用1ヶ月後、患者の全身は有力、食欲転好、面色と口唇は以前に比し紅潤となった。ヘモグロビン9.0/dlBUN15mmol/L90m/dL)、Cre284μmol/L3.21m/dL)。この後、2ヶ月服用、病情穏定、一般家庭労働が可能になった。

ドクター康仁の印象

紅参は生干人参に比べ温脾作用が強く、脾虚寒湿(痰濁)内停に向いています。当帰、白芍、何首烏(不滋膩)は養血に、砂仁 蒼朮 紫蘇は燥湿に作用します。紫蘇は止嘔の目的もあるでしょう。嘔悪便溏消失、腹張軽減の後に、胃にもたれ易い滋膩の熟地黄を加え更に養血を強め、山茱萸 枸杞子で補腎陰する投薬の順番が見事ですね。

20131228() 記


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