gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

アトピー性皮膚炎 局所性脱毛を伴う苔癬化アトピー 漢方治療第18報

2014-08-06 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 

脱毛と色素沈着を防止しつつ苔癬化アトピーを治療していくには?

 

 

 

症例に入ります。ブログ容量の関係で、写真サイズのビット数を減少させましたので、写真をクリックしていただけたら、ホップアップウインドウで詳細がご覧いただけます。

 

 

 

患者:S.W 37歳7女性 初診年月日2012319日 主訴:皮膚の乾燥とアトピー性皮膚炎の遷延化 病歴:小児期からアトピー性皮膚炎があり、一度は落ち着いていたが、22歳ごろからアトピーが再燃、抗アレルギー剤、ステロイド外用薬で治療を続けてきたが病状は思わしくなく、皮膚の乾燥と痒み、局所的な脱毛も生じてきたために当院受診。

 

初診時所見:前額部 両側頬部、特に右鼻翼に近い皮膚、口周囲から下顎にかけて乾燥した痒疹と苔癬化が目立つ。(写真下)

1

同様の後頸部から背部にかけての皮膚病変、色素沈着。(写真下)

 

2

 

肘内側部の湿疹と色素沈着、前腕部にも湿疹がある。(写真下)

 

3

頭皮のやや発赤を伴う脱毛局面。他にも有り。(写真下)

 

25517

 

漢方(中医学)の考え方赤みは熱と、痒みは「風(ふう)」と捉えます。皮膚の赤みを除くためには、清熱剤が有効ですが、清熱解毒薬に分類されている生薬は殆ど「燥湿」の性質を持つために漫然と使用していますと、皮膚の乾燥が進む弊害があります。従って、配伍するにしても少量にする必要があります。

 

皮膚の乾燥とは陰血による皮膚の濡養が不十分であると捉えます。従って陰血を養い皮膚を潤す(養陰血潤膚)必要があります。中医学では「肺は皮毛をつかさどる」という考えがあります。直接的な養陰剤と共に肺陰を補う必要が生じます。

 

次に、痒みですが、祛風(きょふう)剤の配伍が必要になってきます。いわゆる祛風止痒(風を除き痒みを止める意味)が治療法の選択肢です。但し、「治風先治血、血行風自滅」(風を治するには先ず血を治する、血が巡れば風は自ずから消失する)の原則に従います。養陰血祛風止痒潤膚になります。「血虚生風」という中医学用語も存在します。

 

さて、頭皮のやや発赤を伴う脱毛は、実熱にせよ虚熱にせよ熱邪は上炎する性質がありますが、本症例は虚熱(あるいは虚火)が頭皮に上炎と「感覚的」に判断して、潤燥退虚熱を治療原則としました。総合すれば、清熱解毒/養血生津(しょうしん)・祛風止痒/養陰潤膚・滋陰降火・退虚熱が治則となります。(面倒な中医学用語で恐縮です。患者さん個人別に生薬そのものや、生薬の配伍比率が異なりますので詳細は省略させていただきます)

 

治療開始半年後の治療効果をご覧ください。皮膚病変は面倒な中医理論を振り回すより、ビジュアルな結果から治療効果を判定できます。

 

2013921日(第七診)顔面の苔癬化アトピーはほぼ消失。(写真下)

 

241023

頭皮の発赤を伴う脱毛病変の縮小。(写真下)

 

251024

 

直近201482日の所見。顔面の苔癬化アトピーの消失。皮膚に潤いが出現し、肌の乾燥感も消失。前額部には皮脂による艶も出ている。(写真下)

 

26822

26821

26823

26824

順に肘部、前腕部、後頸部/背部の写真上3枚。色素沈着を残すことなく、アトピー性皮膚病変は寛解しています。

 

 

 

経過順調、病情寛解です。一目瞭然ですね。

 

弁証論治 随症加減もありますが、人体の自然治癒力には驚かされますね。

 

 

 

ドクター康仁

 

201486日(水)

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿