本日と明日の2案は、糖尿病性腎症の補脾腎活血利湿法についてご紹介します。
( )内に随時私のコメントや付記を入れます。
医案に進みましょう。
患者:劉某 59歳 女性
初診年月日:2005年3月22日
主訴:全身浮腫、尿少悪心半月間
病歴:
糖尿病歴15年、半月前感冒に罹り、顔面と双下肢浮腫が出現、尿少、悪心あり、ハルピン医科大学付属第二病院受診、糖尿病性腎症、腎不全と診断され、降糖薬、腎機能改善等の入院治療の後、症状はやや好転し退院となった。治療効果をさらに固めるために氏の病院の外来を受診した。
初診時所見:
全身浮腫、尿少、悪心、納呆、腰酸痛、乏力あり。面色萎黄無華、精神萎縮、神清語利(意識障害は無く発語は正常の意味)、表情痛苦、咽部充血、扁桃腺腫大無し、心肺部聴診異常なし、腹部やや膨隆、腹水証あり(側腹部を指で叩くと波動が反体側に伝わる)、顔面四肢に陥没性浮腫あり。舌質暗淡、苔膩、脈沈滑。空腹時血糖10.7mmol/L(192.6mg/dL)、Cre256.7μmol/L(2.9mg/dL)、BUN13.5mmol/L(81mg/dL)、血清総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.6g/dL、グロブリン1.93g/dL。尿蛋白3+、尿糖+、末梢血液RBC282万、ヘモグロビン9.8g/dL。
中医弁証:
水腫、脾腎両虚、水湿挟熱内停
西医診断:糖尿病性腎症、慢性腎不全
治法:標本兼顧、清熱活血、益気健脾補腎
方薬:
黄耆40g(益気) 党参(益気養陰)30g 熟地黄(補肝腎養血滋陰、補精益髄)30g 赤芍(清熱涼血、祛瘀止痛)20g 当帰(養血、活血、止痛、潤腸通便)20g 川芎(活血行気、祛風止痛)15g 茯苓14g 澤瀉(泄濁清熱利水)15g 萹畜(利水通淋)20g 山梔子(清熱解毒利湿)15g 淡竹葉(清心泄熱除煩止渇 利水通淋 利水滲湿薬)15g 白朮(健脾燥湿)15g 生姜15g 半夏(化痰燥湿止嘔)15g 竹筎(清化熱痰、除煩止嘔、泄濁)15g 白花蛇舌草(清熱解毒利湿)30g 大黄(活血通腑泄濁)7g 甘草(諸薬調和)15g
水煎服用、毎日2回に分服
情志を調整し、起居を慎み、過労を避けるように言う。
二診:2005年4月6日
患者全身浮腫、腰以下が更に甚だしい。指で押すと陥没して戻らない、
尿少、悪心納呆、腰酸痛、乏力、舌紅苔白膩、脈沈滑緩。空腹時血糖9.9mmol/L(165.6mg/dL)、尿糖+、尿蛋白2+、WBC0~1個/HP。前方加味とする。
方薬:
黄耆40g 党参30g 熟地黄
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