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続 「痰」 考

2012-11-27 00:15:00 | 漢方市民講座

本日の漢方市民講座は引き続き「痰」です。

師弟問答

老師:

痰は病をなし、その病理学はとても広く、喀出される形のある痰も指し、又痰の特異症状を指しても言う。「痰」を生む原因が異なるために生じる痰の性質にいかなる違いが生じるや。

貴方:

寒 熱 燥 湿 風等の多種類の痰です。痰が存在する臓腑が異れば、症状の表われも特異です。

老師:

然り。痰が存在する臓腑が異れば、症状の表われも特異であることは覚えておかなくてはならない。痰の産生と密接に関係する臓とは?

貴方:肺・脾・腎の三臓です。

老師:然り。では肺について痰の発生を述べよ。

貴方:

肺は気を主り、外邪が肺を犯すと、肺失宣粛により、肺の津液が凝集して痰ができます。

老師:然り、次ぎに脾を問う。

貴方:

脾は運化を主り、外感の湿邪、或いは飲食の不摂生、或いは思慮労倦、脾胃の損傷によって、運化ができなくなると、水湿が内停し、凝集して痰ができます。

老師:然り、次ぎに腎を問う。

貴方:

腎は開合を司り、腎陽不足、開闔不利によって、水湿が上氾し集まって痰となります。命門の火が衰え、温運脾陽ができなくなり、水殻が精微を形成できない等により、湿を生じ、痰ができます。腎陰虧耗、虚火内熾によって、津液から熱せられて痰となります。

老師:

肝について覚えておきなさい。この他、情志不遂、肝気鬱結、気鬱化火等によって、津液が熱せられ痰となり、痰と鬱が互いに結びつきあうと鬱痰が発生する。肝陽化風、痰涎内壅は風痰の発生を成す。痰と熱が結びつくと熱痰となり、寒と痰が互いに凝ったのが寒痰であり、痰に湿証を兼ねそなえたのが湿痰であり、痰に燥証を兼ねたのが燥痰である。

痰がすでに作られて体内に留まると、ともに升降し、どこにでも現れる。或いは肺に阻し、或いは胃に停止し、或いは心竅に蒙閉し、或いは肝に鬱し、或いは腎に生じ、或いは経絡に流れると、いろいろな証が生じる。以下は痰の存在するそれぞれの部位についての証を分類して述べるものとする。

老師:

証治分類に論を進めよう。痰阻于肺とは?

貴方:

病機概要の主な原因は、風・寒・湿・熱邪を受けたり、長期の咳によって肺に津液が分布されずに集まって痰となり留まることです。

主要症状は咳嗽喘息、喉に痰がありゴロゴロ鳴る、痰多色白、喀痰しやすい、或いは伴って寒熱表証が見られ、苔薄白膩、脈浮或いは滑。

老師:

治療法則宣肺化痰である。いかなる方剤をもちいるや

貴方:

方剤挙例:止嗽散(しそうさん)、杏蘇散(きょうそさん)の2方剤を挙げます。

止嗽散(医学心悟):効能:止咳化痰 疏表宣肺

ききょうけいがい じーわんばいぶ びゃくぜんちんがん

桔梗 荊芥 紫菀 百部各9 白前陳皮4.5甘草 

全 量54g 細末一回6g服用 9回分

平性に近く、風寒、風熱の両者の咳嗽に使用可能です。

杏蘇散(温病条弁):効能:軽宣涼燥 宣肺化痰 主治外感涼燥です。

  きょうにんそよう しょうはんげ きこくききょうちんぴぶくりょう

  ぜんこ各6大棗2と覚えております。

  杏仁 蘇葉 生姜 半夏  枳殻 桔梗 陳皮 茯苓 前胡6大棗2

老師:

外感温燥には何を用いるや。

貴方:

外感温燥には桑杏湯(温病条弁)を用い清宣涼潤をはかります。

そうきょう    べいしゃだんどうち  さんしし梨皮 外温燥と覚えております。

桑葉3杏仁4.5 貝母3沙参6淡豆豉3 山梔子 梨皮3 水煎服用

老師:

佳にして然り。痰蒙心竅を覚えておきなさい。

痰蒙心竅(たんもうしんきょう)とは、病機概要として、多くは七情によって人体が傷つけられて生じる。例えば抑鬱、暴怒等、或いは湿濁の邪気を受け、気機が塞がれ、気結により痰ができ、心竅を阻閉することを意味する。

主要症状は精神錯乱、胸悶心痛、或いは卒倒、人事不省、喉で痰の音がする、苔白膩、脈滑。治則化痰開竅である。方剤を記憶しているや。

貴方:

導痰湯(どうたんとう)、蘇合香丸(そごうこうがん)を記憶しています。

導痰湯(済生方):主治:風痰上擾 効能:化痰熄風 健脾除湿 

はんちんふーじ たんきしょうと記憶しています。

半夏9陳皮9茯苓6甘草3


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