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薬膳で使用される人参は粗悪養殖人参?

2008-02-04 15:44:28 | 漢方

TVチャンピオンという番組がある。「鍋料理選手権」という番組を見た。韓国系の料理人が棗(なつめ)や人参を鍋に入れる際に、レポーターが「さあ惜しげもなく立派な人参を2本いれましたあ!」と絶叫していた。

 ものにもよるが、養殖人参でも「いいもの」は確かにある。しかし、番組中の養殖人参は色が白すぎて、皮に張りと艶がなく、主根部がボテッと太っていて、ひげ(須)は断裂していて、とてもじゃないが「いい養殖人参」ではなかった。太ければいいと勘違いするのは殆んどの日本人である。訪韓した際に、韓国の名物料理のサンゲタンを食べて、粗悪な人参が鶏の腹に詰まっていても、太いがゆえに感動するのが日本人である。

 職業柄、患者さんがなにやら持ち込んできて「先生、この粉末は本物か?」「知り合いから買った野山人参だけど、ちょっと見てくれないか?」の鑑定依頼が多い。  結果は? 100偽物の假的(ジャーダ)である。 

 野山人参、天麻(てんま)、田七人参などの粉末は、ほとんどがいわゆる粗悪品、あるいは中国語では假的(ジャーダ)といわれる贋物(がんぶつ)である。

野山人参も養殖人参も、長葉、花、果実は直立する地上茎によって支えられており、この地上部分を総称して台?(タイグアン)という。養殖人参の一部は何回か斜めに植え替えられるので台?(タイグアン)は斜めに地面に寝ている場合もある。台?は人参の最も太い部分である地下の主根と芦(中国語でル-)でつながっている。

主根は土壌の関係によって横向きに生長するものがある。一方、野山人参の原産地は吉林省、長白山などに代表される厳冬地であるので、厳冬期は芦の地表に一番近い部分の芦頭(ルートゥ)は凍りつく危険性がある。その凍結を防止する意味で、芦の主根に近い円柱状の円芦と呼ばれる部分が収縮する。これを年々繰り返していくうちに、円芦が全体として長く彎曲してくる。このように芦は人参の生長とともに湾曲、変形してくるものなのである。一般的に養殖人参は厳冬地域では栽培されないために芦は単純な形をして変形もわずかである。養殖人参の中にも移山人参といい、なるべく野山人参の環境に近くするために掘り起こしては栽培地を移動させるものもあるが、やはり野山人参のような芦はまれである。

上質な人参とそうでないものの違いは主根部の紋である。

主根の膀頭の上にある横の皺(皺紋)を指す。この皺紋は野山人参の下に向かって収縮するという特徴をみごとに反映している。野山人参の皺紋はっきりとした環状紋であって、互いに交錯するような紋ではなく、螺旋を描く紋でもない。 

野山参の紋の特徴は? 

良い野山人参の皺紋は細かく密でかつ深く、条紋が一周ずつ、お互いに独立していて、つながっていない。 微量の黒泥が付着しており、細い鉄線の輪で縛り付けているように見えるために、鉄線紋と呼ぶのにふさわしい。 

鉄線紋を習慣的に肩紋、膀紋、あるいは環紋、皺紋と呼ぶ。よくよく観察してみると、下にある皺紋の縁は上にある皺紋の縁(へり)に接しており、紋の溝は下を向き、紋の縁は上を向く、この種の緻密な皺紋は、直立して生長する芦頭が収縮する際に下に向かって圧力がかかり、多年にわたってその圧力が累積するために生じる。 

   野山人参を賛美あるいは検証する語句に、中国語で“肩紋緊密細結皮”という語句があることが納得できる。

  

比較的いい養殖人参は、まず芦が長く、変形があり、主根がぶよぶよと柔らかくなく、白っぽくなく皮に艶があり、須も長く、途中で断裂いていない。

粉になってしまったものなど信じるに値しない。 これは自信を持って言えることだ。粉になる前からして粗悪品が多いのだから。