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尿路感染症 漢方治療 温陽法弁治 尿道総合症 1(腎病漢方治療365報)

2014-05-24 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

簡便に申し上げれば、尿道総合症(中国語では征を用いて尿道総合征と表記します)は、現代医学での無菌性膀胱炎、あるいは膀胱鏡検査と病理組織的検査を行い診断する間質性膀胱炎を含む、下腹部痛を主症状とする尿意切迫症候群を指す疾患群と理解できます。中医学的には原因(体質)別に各種の病因論がありますが、最も一般的な病因は「気陽虚」です。本日から5案にわたり、医案(症例報告)をご紹介します。<o:p></o:p>

 

患者:張某 42歳 女性<o:p></o:p>

 

初診年月日2005年6月13日<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

患者は20年前新婚時代に泌尿器感染症を起こし、尿血が出現したが、治療により快癒。十年前に特別な誘因無く頻尿が出現、頻回の発作があった。尿検査で異常なし。尿細菌培養検査も全て陰性、西洋医を受診し排尿調節剤(薬剤名不詳)を服用後、症状加重、下腹部疼痛、排尿痛、尿道に収縮感を伴い、腰酸痛も合併、眼瞼浮腫、排尿無力、尿が出にくく、時に点滴状になる。<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

舌質淡紅、舌苔薄白、脈象虚数。(北京市での治療は無効で、北京協和病院では膀胱鏡の検査を提案したが、患者は同意せず、ハルピン受診、中薬は全て清熱利尿痛淋の剤であった。)自覚症状は同上。<o:p></o:p>

 

中医弁証<o:p></o:p>

 

弁証は陽気不足“膀胱は州都の官、気化則出埃”。寒淋に属し、故に温陽化気、活血通淋の剤となる。<o:p></o:p>

 

西医診断尿道総合症<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝(通陽)15g 茴香理気和胃 散寒止痛)(桂枝 茴香は協調して温補腎陽、行気利水に作用)15g 川椒(辛 温中燥湿)15g 附子(補火助陽 散寒止痛 回陽救逆)10g 澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)20g 猪苓(利水滲湿)20g 茯苓(健脾利水)20g 白朮(健脾燥湿)15g 土茯苓(清熱解毒)30g 白芍養営斂陰)30g 甘草20g 烏薬(温腎散寒 行気止痛)15g 桃仁(活血化瘀 潤腸通便)15g 丹参(活血化瘀)15g 水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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二診:2005年6月20日<o:p></o:p>

 

服薬7剤で、排尿困難、尿線の細さは好転、腰痛、下腹部下垂感減軽、下腹部の冷えも減軽。再診時体温37,2℃程度の発熱あり、腹部と右側のわき腹の張痛、会陰部の張痛時に大便がしたくなり、まだ頻尿が残存、舌質淡紅、苔白、脈象は緩に転じた。<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝15g 茴香15g川椒15g 附子10g 橘核15 石葦(利水通淋、止咳 涼血止血)20g 茯苓30g 白朮15g 土茯苓30g 黄耆(益気)30g 甘草15g 川楝子(せんれんし 苦/寒 行気止痛)15g 桃仁15g 丹参20g 萹蓄(利水通淋)20g 瞿麦(活血利水通淋)20g 車前子(包煎)(清熱利水)30g 水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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三診:2005年7月13日。<o:p></o:p>

 

本人の受診は無かったが、本人の電話での病情説明では、服薬22剤で、排尿通暢、腰痛及び下腹部下垂感、尿道の収縮感が消失、発熱無し、腹部と右わき腹の張痛消失、会陰部張痛消失、全身有力、下腹部にまだ畏寒あり。<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝15g 茴香15g川椒15g 附子10g 橘核15 石葦20g 茯苓30g 白朮15g 土茯苓30g 黄耆30g 甘草15g 川楝子15g 桃仁15g 丹参20g 萹蓄20g 瞿麦20g 車前子(包煎)30g 烏薬15g 王不留行(苦/平 おうふるぎょう 活血化瘀 通経 下乳)20g 水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

初診時の処方は、<o:p></o:p>

 

五苓散(通陽利水)に茴香 川椒 附子を加えて温陽利水、桃仁 丹参 烏薬で活血行気、芍薬と甘草の芍薬甘草湯で尿道の緊張や収縮を除くという配合です。<o:p></o:p>

 

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服薬7剤で、排尿困難、尿線の細さは好転、腰痛、下腹部下垂感減軽、下腹部の冷えも減軽したのは温薬の配伍と芍薬甘草湯の効果です。芍薬甘草湯単独ではここまでの早期改善は無いでしょう。やはり通陽 桂枝茴香、温腎助陽 附子 温腎行気止痛の烏薬等の温薬の配伍があってこその治療効果です。見事ですね。<o:p></o:p>

 

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「腹部と右側のわき腹の張痛、会陰部の張痛、頻尿が残存」に対して、温薬の理気薬の橘核、寒薬の理気薬の川楝子で寒熱のバランスを取り、行気止痛をはかり、頻尿に対する対症療法として車前子、瞿麦、萹蓄等の利水通淋剤を加味した流れです。寒薬を増やさない目的で、清熱解毒薬でもの性質を持つ土茯苓が用いられていますね。いわゆる排尿無力に対しては微温黄耆が用いられています。<o:p></o:p>

 

王不留行薬の活血剤にも工夫が感じられます。<o:p></o:p>

 

どうしても、涼寒の利尿通淋剤と苦寒の清熱解毒薬の使用が習慣になってしまっている漢方医にとってはコペルニクス的展開に思えたでしょうね。<o:p></o:p>

 

無菌性膀胱炎間質性膀胱炎治療ヒントのひとつになる医案であると思います。<o:p></o:p>

 

弁証の温腎助陽、理気活血と弁病の芍薬甘草湯の収縮を緩和する併用による見事な症例でした。<o:p></o:p>

 

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2014524日(土)<o:p></o:p>

 


尿路感染症 前立腺肥大症 残尿 漢方治療 滋腎通関丸と八味地黄湯加減治療 (腎病漢方治療364報)

2014-05-23 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

本案のような症例は以前、私が30代の頃までは日本にも多く見られましたが、現在では少ないようです。前立腺肥大症そのもののコントロールは西洋薬で充分可能です。現在では前立腺癌の早期発見、治療に主題が移行しつつあります。約20年前の中国では本案のようなご老人が多くいたことでしょう。<o:p></o:p>

 

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知母15g 黄柏15g 肉桂10g滋腎通関丸と言いますが、知母は清熱潤燥、黄柏は斂陰清熱、肉桂は温裏散寒、補火助陽、引火帰源に作用します。知母と黄柏のカップリングは退虚熱で陰虚火旺時に用いられます、大熱の肉桂には養陰清熱作用などさらさらありません。つまり3者は陰陽倶虚に用いるのです。<o:p></o:p>

 

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患者:程某 73歳 男性<o:p></o:p>

 

初診年月日:1993年4月27日<o:p></o:p>

 

主訴:頻尿、一回尿量減少約十年、尿は点滴状に出る、下腹部張痛二ヶ月<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

患者は十年前から頻尿、一回尿量減少が出現、現地の病院で超音波検査により前立腺肥大症と診断されたが未治療。ここ2ヶ月、小便は点滴状で、下腹部の張痛、腰酸痛が出現。超音波検査にて前立腺肥大、大小5.94.33.6cmの前立腺肥大を認め、膀胱内に突出を認め、エコー像は不均一、点状のストロングエコー有り、膀胱内に200mlの残尿有り。尿検査:WBC3040/HP。終日導尿、患者は痛苦に耐え難い。<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

脈弦かつやや数、舌質紅、苔少ない。(嘗て、多種の抗生物質の点滴静注を受けたが著効無し。八正散の類を百余剤服用したが、効果はまた不十分であった。)<o:p></o:p>

 

中医弁証:腎陽衰微(湿濁内蘊挟血瘀)<o:p></o:p>

 

西医診断:前立腺肥大症 合併 尿路感染症 残尿<o:p></o:p>

 

治法:調補腎中陰陽、清熱利湿、活血化瘀<o:p></o:p>

 

方薬滋腎通関丸 合 八味腎気丸加減:<o:p></o:p>

 

熟地黄25g 山茱萸15g 山薬15g 茯苓15g牡丹皮15g 澤瀉15g黄柏15g 知母15g 肉桂10g 附子10g 瞿麦20g 萹蓄20g 大黄7g 桃仁15g<o:p></o:p>

 

14剤、水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

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経過<o:p></o:p>

 

上方服用14剤で、導尿は必要なくなり、自力で小便の排出が可能になった。ただし、通暢感を感じるところまでは改善せず、腰酸痛があるが、下腹部の張痛は大減した。<o:p></o:p>

 

尿検査:WBC810/HP。継続服用するように患者に言う。<o:p></o:p>

 

再度服用14剤で、排尿は基本的に通暢となり、諸症は消失した。尿検査にても正常。患者の家族は再発を恐れ、自らさらに30余剤を服用したところ、夜間に遺尿が出現、治療を求め急患となった。<o:p></o:p>

 

以上の方から、瞿麦 萹蓄 車前子通利の品を去り益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)、補骨脂(辛苦大温 補腎壮陽 温脾止瀉 固精縮尿)、巴戟天(温潤 補腎助陽、袪風除湿)何首烏補肝腎養血)烏薬(温腎散寒、行気止痛)等の温補腎陽固摂の品を加味し、治療して快癒した。患者の排尿は正常、かつ体力も著明に増加、半年後再診、再発無し。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

覚えておくと将来役に立ちますね。六味地黄丸+知母 黄柏は知柏地黄丸です。本来の腎気丸は六味地黄丸+附子+桂枝となりますが、桂枝を肉桂に変え、上下を重ね合わせると、六味地黄丸+滋腎通関丸+附子となります。知母 黄柏 附子 肉桂 大黄 桃仁(2剤で活血化瘀泄濁)+六味地黄丸加減ということになります。<o:p></o:p>

 

急場は治標で瞿麦 萹蓄 車前子も用い、治本は陰陽双補となるのです。<o:p></o:p>

 

腎陽衰微だけはありえません。ご老人は陰陽両虚となるのが老化の自然現象です。<o:p></o:p>

 

大黄と桃仁の組み合わせは活血化瘀泄濁の定番ですね。<o:p></o:p>

 

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2014523日(金)<o:p></o:p>

 


尿路感染症 頻尿 微熱 漢方治療 升陽益胃湯加味治療 (腎病漢方治療363報)

2014-05-22 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

患者?某 20歳 女性<o:p></o:p>

 

初診年月日:2003年5月2日<o:p></o:p>

 

主訴:陳旧性頻尿、微熱十年<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

1993年疲労累積(患者13歳時)にて頻尿が出現、微熱(37.2~37.6℃)、ハルピン医科大学付属第二病院受診、多種の抗生物質治療を受け、無効であり、故に再診しなかった。2002年9月頃、黒龍江省中医病院受診、尿中に白血球(WBC)、赤血球(RBC)陽性(具体数不詳)、三金片服用後、発熱腰痛緩解、その後、また再発、起床時36.8℃、夜間37.1~37.2℃、尿培養でブドウ球菌(+)、感受性薬物は使用されなかった。(感受性試験を経た抗生物質という意味でしょうか?)<o:p></o:p>

 

補記三金片は中成薬で、根、金(菝葜)、羊口、金沙藤、草を主成分として、抗菌消炎に作用し、下焦湿熱、熱淋に主に使用されます。)<o:p></o:p>

 

初診時所見<o:p></o:p>

 

身熱を自覚、手心多汗、胸悶、倦怠、乏力、尿黄、痩せ、頻尿、舌質淡紅、苔白厚満布、舌体大、脈弱。<o:p></o:p>

 

中医弁証:中気不足、挟有湿熱<o:p></o:p>

 

弁証付記:初診時の所見から漢方医の脳裏に走る病機を述べてみましょう。<o:p></o:p>

 

身熱を自覚(→熱証)、手心多汗(→気虚或いは湿熱の為?)、胸悶(→胸陽不振或いは湿熱内蘊による気機失調)、倦怠(→気虚)、乏力(→気虚)、尿黄(→膀胱湿熱?)、痩せ(後天の気血生化の源の脾の機能低下 脾虚→昇清降濁の失調→昇清、升陽が必要)、頻尿(膀胱湿熱、膀胱気化失司)、舌質淡紅、苔白厚満布、舌体大(→内湿停滞?)、脈弱(→気血両虚?)。<o:p></o:p>

 

以上のような病機連想から、脾虚(中気不足)、湿+熱→挟有湿熱となるのです。<o:p></o:p>

 

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西医診断:尿路感染<o:p></o:p>

 

治法:益気升陽除湿、収渋を補佐とする。<o:p></o:p>

 

方薬升陽益胃湯加味:<o:p></o:p>

 

西洋参(益気生津)15g 黄耆(益気健脾)30g 白朮(健脾燥湿)15g 黄連(清熱解毒利湿)10g 半夏(辛散温 化痰燥湿散結止嘔)15g 陳皮行気和中化湿)15g 茯苓(健脾利水)15g 澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)15g 防風祛風解表、勝湿、止痛、解痙)15g 独活祛風勝湿、止痛、解表)15g 柴胡(疏肝理気 清熱 升陽)15g 白芍養営斂陰)15g 生姜15g 大棗5個(生姜 大棗で健脾和胃) 土茯苓(清熱解毒)20g 萆薢(利水滲湿 化湿濁 祛(風)湿)20g 桑螵蛸補腎助陽、固精縮尿)15g 益智仁(温脾開胃摂唾、温腎固精縮尿)15g 


尿路感染症 腰痛 漢方治療 参耆地黄湯加味治療 (腎病漢方治療362報)

2014-05-21 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

実は医案には3歳の女性とあるのですが、使用されている薬剤量が成人の量ですので、加えて3歳で慢性腎盂腎炎の西洋医診断は不自然な感じが否めませんので、私が勝手に「成人女性」としました。通常は患児(患儿)、患児を取り巻く家族環境についての記載がどうしても記載されてくるものですが、全く記載が無いので、「3歳」の「女」は起稿する段階、あるいは製本する段階でのミスではないのかと強く疑います。

( )内に随時、解説やコメント、印象を入れます。

患者:郎某 成人女性

初診年月日:2003年4月6日

主訴:腰痛一年、加重一週、尿道灼熱感を伴う、夜間頻尿

病歴

患者は1年前、寒さに当たり発熱、腰痛出現、尿中白血球出現(具体数不詳)、当時の診断は急性腎盂腎炎、治療後病情は好転、但し腰痛発作があり、過労が誘因となることが多かった。ここ一週腰痛が加重。

(発熱 腰痛 尿中WBCなどから当初は急性腎盂炎であったろうと推定します。恐らくは抗生物質の投与にて解熱し症状は治まったのでしょう。しかし完治までには至らなかったのか、発熱までは起こさない再発を繰り返していたのかと推定します。)

初診時所見

後背痛 腰痛、双下肢乏力、尿黄、時に尿道灼熱感あり、夜間頻尿4~6回、多夢。(これは問診が主体ですので3歳の子供がここまで話をしたとは思えません。)

尿検査:蛋白(-)、沈渣WBC30~35個/HPRBC1~2個/HP、超音波検査:双腎集合系配列不規則。

(集合管から腎盂までの変化を来たしていますので、慢性腎盂(腎炎)という西洋医診断になるでしょう。3歳の子供では考えにくいものです。)

中医弁証:気陰両虚 膀胱湿熱

(気陰両虚と弁証した根拠が示されていませんね。舌象や脈の記載が無く、口干などの症状の記載もありません。)

西医診断;慢性腎盂腎炎

治法:益気養陰、清利湿熱

(弁証からの治法ということになります。)

方薬参耆地黄湯加味

熟地黄20g 山茱萸20g 山薬15g 茯苓15g 牡丹皮15g 澤瀉15g 黄耆30g 党参20g(ここまでが参耆六味地黄湯です:益気補腎陰に作用します) 杜仲補肝腎、強筋骨、安胎)15g 桑寄生(祛風湿強筋骨薬に分類。帰経 肝腎 肝(筋)腎(骨)効能:祛風湿 養血 強筋骨 補肝腎 養血安胎)15g 女貞子(養陰)20g 莵絲子(補陽)15g 巴戟天(温潤 補腎助陽、袪風除湿)15g 甘草15g 白花蛇舌草(清熱解毒利湿)30g 金銀花(清熱解毒利湿)30g 砂仁(化湿行気和中)15g 陳皮行気和中化湿)15g 麦芽(消食導滞)30g

14剤、水煎服用、11剤、2回に分服。

処方解説

益気養陰目的で参耆(黄耆 党参)六味地黄湯となります。

杜仲 桑寄生 は腰痛を意識した配伍です。

治法の清利湿熱目的に、白花蛇舌草 金銀花が配伍されました。

女貞子、莵絲子は広い意味で補腎と考えれば良いのでしょう。前者が養陰、後者が補陽であり、陰陽双補になります。

巴戟天は湿を除くには目的に適っていますが、温腎助陽の性質は治法の清利湿熱とはやや矛盾しますが、氏の医案では巴戟天の配伍が多いのが事実です。これも、陰陽双補の類になるでしょう。

二診:2003年4月23日

服薬後腰痛減軽、夜間尿2~3回、食欲不良、脚が冷える。舌質紅苔白、脈沈。

尿検査:蛋白(-)、WBC4~6個/HPRBC2~5個/HP

方薬

熟地黄20g


尿路感染症 前立腺肥大症合併 漢方治療 温陽除湿、活血利水法治療 (腎病漢方治療361報)

2014-05-20 00:15:00 | 尿路感染症 漢方

 

患者陳某 76歳 男性<o:p></o:p>

 

初診年月日2004年3月23日<o:p></o:p>

 

主訴頻尿 尿の切れが悪いこと十年<o:p></o:p>

 

病歴<o:p></o:p>

 

前立腺肥大症の病歴約十年、排尿無力、排尿に時間がかかり、尿の切れが悪い。<o:p></o:p>

 

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初診時所見<o:p></o:p>

 

近日上記症状が加重し一回排尿量が少なく排尿痛があり、下腹部張満、夜間に加重、畏寒を伴い、全身に軽度の浮腫があり、舌苔白膩、脈沈。尿検査:WBC8~12個/HP、超音波検査;双腎正常、膀胱に(排尿後でも)残尿を認める。<o:p></o:p>

 

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中医弁証:腎陽虚衰、湿熱留恋、気滞血瘀<o:p></o:p>

 

西医診断前立腺肥大症 尿路感染合併<o:p></o:p>

 

治法温腎利水、清熱利湿、行気活血<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝(通陽)15g 茴香理気和胃 散寒止痛)15g 茯苓(健脾利水)20g 澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)20g 車前子(清熱利水)30g 瞿麦(活血利水通淋)20g 萹蓄(利水通淋)20g 滑石(清熱利湿 下焦湿熱の要薬)20g 猪苓(利水滲湿)15g 土茯苓(清熱解毒利湿)30g 萆薢(利水滲湿 化湿濁 祛(風)湿)20g 桃仁(活血化瘀 潤腸通便)15g 紅花(活血化瘀)15g 赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)15g 生甘草(清熱)15g<o:p></o:p>

 

7剤、水煎服用、11剤、2回に分服。<o:p></o:p>

 

処方解説<o:p></o:p>

 

桂枝は膀胱経に入り、温通経脈作用により、水湿の邪が除かれやすくし;茴香は肝腎に入り、温腎行気止痛に働き;(桂枝 茴香の配伍は温補腎陽、行気利水に作用するというような中医論になります);茯苓 澤瀉 車前子 瞿麦 萹蓄 滑石 猪苓 土茯苓 萆薢は利水除湿、清熱通淋に作用し;桃仁 紅花 赤芍は活血化瘀に働きます。<o:p></o:p>

 

方意の軽重は利水除湿清熱通淋温陽活血の順になります。<o:p></o:p>

 

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二診2004年3月30日<o:p></o:p>

 

服薬7剤、尿量は前より増加、下腹部張満減軽、まだ尿線が細い、全身浮腫減軽、脈沈、舌苔白膩、舌暗紅。<o:p></o:p>

 

方薬<o:p></o:p>

 

桂枝15→20g 白朮(健脾燥湿)20g 茯苓20g 茴香15g 胡芦巴温腎助陽、逐寒湿)15g 車前子30g 瞿麦20g 萹蓄20g 石葦(利水通淋、止咳 涼血止血)20g 滑石20g 澤瀉20g 橘核(行気散寒止痛)15g 紅花15g 骨砕補こつさいほ 温腎助陽活血 続筋骨)15g 葛根(舒筋活絡 活血化瘀)20g 丹参(活血祛瘀)15g 乳香活血止痛 消腫生肌)10g 当帰