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腎病と水腫論 漢方薬 2 「陽虚陰水には加味真武湯が適宜」(腎病漢方治療409報)

2014-07-07 00:15:00 | 漢方市民講座

 

まず、「陰水」からお話ししますと、脾腎陽虚で水湿の温運無力となり水腫を形成したものを「陰水」というのです。陰陽論から、当然の如く、(井上)陽水の「陽水」があります。(中医の定義づけは)風邪外侵、飲食不節度を成因とするのが陽水、労倦内傷、生育不節を成因とするのが陰水となります。病理論では、表証、実証、熱証が陽水、裏証、虚証、寒証が陰水、発病と病呈の特徴は、急短が陽水、慢長が陰水、主な症状として陽水は頭部顔面から発症し、皮膚は弾力があり光沢、指で押すと陥没の回復が早く、陰水は下肢から始まり、皮膚は弛緩し無光沢、指で押すと陥没の回復が緩慢です。観察と診察、問診からの情報であり、習慣化してしまえば、陰水、陽水の区別は半ば自動的に出来るものですが、(腎臓内科専門医でも)そもそも観察、診察しなければ無縁のことになります。<o:p></o:p>

 

全身浮腫、腰以下に浮腫が著しく、指で押すと陥没は容易に回復せず、水腫の反復発作があり、小便の量が少なく、便は溏で不爽、脘腹張満、腰痛、畏寒肢冷、精神萎糜、面色は暗あるいは皓白、舌体胖で水っぽく、舌質淡、瘀斑あり、脈沈細遅或いは沈渋の症候(情報)が脾腎陽虚の陰水の弁証根拠となります。<o:p></o:p>

 

治療は温腎健脾利水活血の剤が宜しいのです。<o:p></o:p>

 

方用:加味真武湯附子(先煎)2530g 茯苓30g 白朮25g 白芍25g 生干人参15g 麦門冬15g 五味子15g 益母草30g 紅花15g 桃仁15g 生姜15g 甘草15g<o:p></o:p>

 

本方は温腎健脾利水活血の剤で、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群のうち腎陽虚の水腫を主治とします。方剤中の附子は温助腎陽の品;人参 白朮 茯苓 甘草は益気健脾(四君子湯);白芍 五味子 麦門冬は斂陰滋陰の品;人参 附子 白朮は温熱燥の薬、故に斂陰滋陰の剤を配伍し、陰液を守り、熱燥耗陰を防止します。<o:p></o:p>

 

高度の水腫状態では、血液の凝固能が亢進します、故に益母草 桃仁 紅花の活血利水にて血凝を改善し、水腫がのぞかれ、気血が通暢となれば、全身の機能が回復するのです。<o:p></o:p>

 

益母草(活血利水消腫)は副作用が無く、使用上便利かつ有効な生薬です。<o:p></o:p>

 

附子に関しては多く説明してきましたので詳細は省きます。<o:p></o:p>

 

本稿の方剤は見ようによっては真武湯合参麦飲になります。過去の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140125<o:p></o:p>

 

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2014年7月7日(月)<o:p></o:p>

 


腎病と水腫論 漢方薬 1 「風水初期 加味麻辛附子湯を急ぐ」(腎病漢方治療408報)

2014-07-06 00:15:00 | 漢方市民講座

 

風水と言っても、吉凶禍福を占う陰陽道、八卦の類を指すのではなく、水腫を指すのです。水腫は水液が体内に貯留し、頭面、眼瞼、四肢、腹背及び全身に浮腫が生じる病証を指し、重症の者には、胸水、腹水を伴いますが、これは胸水 腹水と別に併記する医療上の習慣があります。(従って、浮腫は狭義な症候です)原発性急性、慢性腎炎を含む各種腎疾患のみならず、慢性心不全(うっ血性心不全)、肝硬変、内分泌系機能失調(甲状腺機能低下症など)、栄養失調の際に浮腫が現れた場合など水腫は多分野に渡りますが、本稿では腎病の水腫論です。タイトルに腎炎としなかった理由は西洋医学的に腎後性腎不全も水腫を起こすからです。脳浮腫の進行を怖れる余り、高浸透圧利尿剤を過剰に投与し、いわゆる「肺が真っ白」というレントゲン所見を示す肺水腫などに水腫という単語が残っています。糜爛性毒ガスによる肺水腫の水腫も同様です。<o:p></o:p>

 

本稿に進みます。急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎の急性憎悪期、さらにはネフローゼ症候群の発病時に多くは水腫を主症状とします。(一般には認識されていませんが)通常は頭顔面から始まり、全身に及び、咳嗽、喘鳴、畏寒、全身の関節の酸痛を伴うことがあり、(中医は)肺衛の証である肺気不宣にて、水湿が下降せず肌表に溢れて、風水の証を形成したと弁証します。この類の患者には臨床上、常に(これは西洋医にとっては異論もあるでしょう)面色皓白、小便不利等の腎陽虚、開閉失司、水気内停の証を伴います。<o:p></o:p>

 

治療には宣肺清熱温腎利水の法が宜しいのです。宣肺について説明は省きます。興味のおありの方は以下の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

肺の中医学的生理論:<o:p></o:p>

 

http://kojindou.no-blog.jp/happykanpo/cat12325512/<o:p></o:p>

 

方用:麻辛附子桂甘姜棗湯加味:桂枝15g 麻黄15g 附子1015(先煎) 細辛3~7g 生姜15g 蒼朮 20g 紅棗45個 生石膏50g 甘草10 水煎服用<o:p></o:p>

 

附子片の先煎の意味は先に1時間ほど煎じると毒性が無くなり、効能が残るということです。不整脈を惹起するアコニチン等が化熱加水分解されます。<o:p></o:p>

 

方中の麻黄 細辛 生姜は辛温宣肺に、多くの症例で熱邪を挟むが故に生石膏を配伍して清熱し、桂枝 蒼朮 大棗は温脾除湿に、附子は温腎助陽に作用し、諸薬は協調して水湿を除きます。<o:p></o:p>

 

水腫が高度で平臥不可能な場合には、葶藶子 冬瓜皮 西瓜皮等を配伍して利水の効能を付加することも可能です。また扁桃腺が充血腫大して、水腫が加重されてくる場合には、麦門冬 黄芩 山豆根 知母等の清咽利肺の品を加味します。(利咽清肺と表現してもいいでしょう。利咽利肺のように、利を繰り返さないのが四文字熟語です)<o:p></o:p>

 

水腫の(漢方)治療は肺脾腎から着手し、どの臓が主に障害されているのかの弁別が大切です。勿論、風水水湿不得下行の際には、治療の鍵は(中医は)肺にあると考えますが、脾腎との関連は忘れてはいけません。(と中医は考えるのです)<o:p></o:p>

 

治肺を主とし、治脾腎を補佐として、宣肺利水を先に選択し、温脾腎を補佐として、相補相生となり、水腫は消退するのです。<o:p></o:p>

 

本稿の方薬とは全部が一致するわけではありませんが、加減を勉強する上で、以下の2報告が参考になると思いますのでご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140123<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140124<o:p></o:p>

 

治療の順番があるのです。患者の病状の主次軽重に合わせて、方薬も変化していくのです。<o:p></o:p>

 

古典派の学者に叱られそうですので、以下を付記しておきます。原文そのものではありません。私が原文の格調を保ちながら、やや近代風に修飾したものです。<o:p></o:p>

 

【方薬】越婢加朮湯(金匱要略)加減。散風清熱、宣肺行水<o:p></o:p>

 

越婢加朮湯(金匱要略):麻黄 石膏 甘草 大棗 生姜 白朮<o:p></o:p>

 

処方中の麻黄は、宣散肺気、発汗解表に働き、表にある水気が取ることができる。生石膏は解肌清熱をし、白朮、甘草、生姜、大棗は健脾化湿をして、崇土制水の効能がある。それに適時、浮萍、澤瀉、茯苓を加えて、宣肺利水消腫の効能を増強する。咽喉腫痛があれば、板藍根、桔梗、連翹を加えて、清咽散結解毒を期し、熱重尿少の場合には、鮮茅根を加えて、清熱利尿をはかる。もし風寒偏盛であれば、石膏を取り去って、蘇葉、防風、桂枝を加えて、麻黄の辛温解表の力を増強する。もし咳、喘息が割合に酷い場合は、前胡、杏仁を加えて、降気平喘することができる。汗出悪風、衛陽気虚の場合防己黄耆湯(金匱要略)防己 黄蓍 白朮 甘草 生姜 大棗の加減を使い、助衛行水する。<o:p></o:p>

 

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2014年7月6日(日)<o:p></o:p>

 


腎炎血尿と漢方薬 6 「腎陰虚気虚 補腎益気固摂を主治とする」(腎病漢方治療407報)

2014-07-05 00:15:00 | 漢方市民講座

 

主治の意味は、この6稿では主な治則(治療の仕方)と言う意味です。腎炎血尿と漢方薬 4 「陰虚内熱 知柏地黄加味を主治とする」(腎病漢方治療405報)の主治は主な治療方剤の意味ですでから本稿の主治とは意味合いが異なります。前案の腎炎血尿と漢方薬 5 「陰欠火動迫血妄行 滋陰涼血収斂を主治とする」(腎病漢方治療406報)の主治は主な治則という意味ですので本稿と意味合いは同じです。主治則、主治療方剤とは長たらしくタイトルに向かないので短縮して主治としてあります。<o:p></o:p>

 

慢性糸球体腎炎、IgA腎炎で血尿を主な症候として、病呈が長く、血尿が頑固で遷延する症例は良く経験することです。また原因不明の頑固な顕微鏡学的血尿の症例もよく経験するものです。かかる症例が診察時に次のような症候、即ち、腰酸腿軟、全身乏力、体倦神疲気弱、舌淡潤、脈象沈弱或いは沈細無力等の症候(情報)がある場合に、(中医は)腎陰虚気虚血不統摂と診断(弁証)するのです。<o:p></o:p>

 

方用 益気補腎固摂合剤黄耆30g 党参(或いは太子参20g 石蓮子益腎固渋 収斂止血)15g 烏梅炭(生津 渋腸 収斂止血) 金桜子(酸渋/平 固精、縮尿、渋陽止瀉)15g 熟地黄25g 五倍子(斂肺降火、固精縮尿、斂汗生津、固渋収斂止血)亀板滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心)20g 孩儿茶(清熱 生津 収斂止血) 龍骨収斂固渋止血)20g 牡蠣収斂固渋止血)20g 山茱萸(益腎補陰収渋)20g 茜草涼血化瘀止血)20g 地骨皮(退虚熱)15g 赤石脂渋腸止瀉、収斂止血)15g 甘草15g 水煎服用<o:p></o:p>

 

方中の黄耆 太子参は益気を主な作用とし、血尿が遷延し腎陰を消耗させる(と中医は考えますので)、故に熟地黄 山茱萸 亀板の滋補腎陰の品;地骨皮 石蓮子の滋陰清熱の品;竜骨 牡蠣の収斂止血の品を加味します。五倍子 金桜子 烏梅炭 孩儿茶 赤石脂は皆、収斂固渋止血の効能を持ちます。<o:p></o:p>

 

五倍子は消化管出血に多用され良効ですが、腎炎の血尿、蛋白尿にも一定の効果があります;孩儿茶は日本での流通はありません。その清熱固渋止血の作用は、(中国では)外用されることも多く、内服されることも多いのです。<o:p></o:p>

 

赤石脂は別名 紅土、石脂、性味は甘渋/温で効能は?腸(=渋腸)止瀉 止血 斂瘡 生肌解毒等収斂と止血の作用があります。虚寒性の慢性の下痢、脱肛、便血、崩漏、帯下を治します。古くは「傷寒論」中の桃花湯、赤石脂禹余粮湯に配伍されていますが、尿血にも効果があるようですね。桃花湯方証を付記して本稿を終わります。 腹痛、下痢不止、膿血便、{陽虚滑脱}小便不利:生薬配伍:赤石脂、干姜、粳米<o:p></o:p>

 

本稿をもちまして(一時的に)「腎炎血尿と漢方薬」の最終稿とします。赤石脂は酸化第二鉄、酸化アルミニウム、シリカなどを含む粘土塊ですが、中国の土壌汚染が深刻ですので、輸入してまで使用する気にはなれません。益気補腎固摂合剤中に赤石脂が配伍されての臨床例は以下の医案が参考になると思いますのでご参照ください。<o:p></o:p>

 

IgA腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140112<o:p></o:p>

 

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2014年7月5日(土)<o:p></o:p>

 


腎炎血尿と漢方薬 5 「陰欠火動迫血妄行 滋陰涼血収斂を主治とする」(腎病漢方治療406報)

2014-07-04 00:15:00 | 漢方市民講座

 

慢性腎炎、慢性腎盂腎炎で血尿を主な症候とする場合、或いは慢性前立腺炎、乳糜尿があり、以下の症候即ち、頭昏腰酸、倦怠乏力、五心煩熱、尿は乳白混濁し、残尿感を伴う渋痛が排尿時にあり、肉眼的血尿或いは顕微鏡学的血尿があり、舌紅苔白少津、脈細数(等の情報)が存在する場合、(中医は)腎陰欠虚、相火妄動、血不能循経にて外溢と弁証します。<o:p></o:p>

 

溺血(中医独自の表現です)には(由来から)精孔と尿道の区別があり、精孔の血は近くは膀胱、遠くは腎に由来し、(一方)精道の血は必ず精嚢の血海から出て、多くは房事過多による陰虚火動営血妄行によるものです。凡そ、腎陰欠虚相火妄動の類は、異病同治で次の方薬で効を収めることが出来る。(と中医は考えます)<o:p></o:p>

 

方用:生地黄 熟地黄各20g 生山薬20g 阿膠15g 白芍15g 竜骨20g 牡蠣20g 海螵蛸20g 茜草(涼血化瘀止血)20g 白頭翁(清熱解毒涼血)15g 金桜子15g 亀板20g 水煎服用<o:p></o:p>

 

二地(生熟地黄)、阿膠、亀板、生山薬は滋補腎陰に、白芍は養血斂陰に、白頭翁は清熱涼血に(性味は苦渋であり寒、涼血と固渋の効を兼ねます)海螵蛸は収斂止血に、茜草は(正確には茜草根)は寒、涼血止血に、金桜子、竜骨、牡蠣は収斂固渋止血に作用します。<o:p></o:p>

 

全方で滋陰補腎の効を主として、清熱止血、収斂固渋の品を補佐として、上述した血尿の遷延に対して用いれば多くの症例で効果を収めることが出来ます。<o:p></o:p>

 

全部同じ生薬配伍の症例はありませんが、「以前の加味理血湯弁治」に本稿と近い報告がありますのでご参照ください。<o:p></o:p>

 

IgA腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140105<o:p></o:p>

 

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2014年7月4日(金)<o:p></o:p>

 


腎炎血尿と漢方薬 4 「陰虚内熱 知柏地黄加味を主治とする」(腎病漢方治療405報)

2014-07-03 00:15:00 | 漢方市民講座

 

慢性腎炎で蛋白尿遷延例、IgA腎炎、紫斑病性腎炎の血尿反復出現例、かかる遷延化症例で以下のような症候がある場合、即ち、腰痛、手足心熱、神疲乏力、腰膝酸軟、気短心悸、眩暈耳鳴、尿黄赤、舌紅少苔、脈細数或いは沈数等の症候は、陰虚内熱気虚固摂無力と(中医は)弁証(診断)します。<o:p></o:p>

 

方用:知柏地黄湯加参耆等:効能:補腎滋陰 益気固摂:薬物組成:熟地黄20g 山茱萸15g 山薬15g 茯苓15g 牡丹皮15g 澤瀉15g 知母10g 黄柏10g 亀板20g 地骨皮15g 女貞子20g 旱蓮草15g 黄耆20g 党参30g 甘草15g 水煎服用<o:p></o:p>

 

方中、知柏地黄湯加参耆(党参 黄耆)の前者は、滋腎陰降相火に、後者は益気固摂に働きます。蛋白尿は水穀の精微に属し(と中医は考えますので)、補腎益気固摂は陰虚火旺の血尿に、また、気虚不摂の蛋白尿にも共に効果があり、亀板と知母 黄柏の配伍は滋陰降火の効能を増強し、陰虚火旺、腎失封蔵の血尿に最も適宜なのです。女貞子 旱蓮草は二至丸のそれであり、地骨皮を加味して、皆、滋陰降火として作用し、諸薬協調して卓効に到るのです。中医の思考過程をうかがう上で次の症例案が宜しいと思います。<o:p></o:p>

 

隠匿性糸球体腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140510<o:p></o:p>

 

上記方剤は細別すれば六味地黄丸 加 知母黄柏 亀板 地骨皮 二至丸 参耆(人参と黄耆)となります。多くをご紹介してきましたので、再度、興味のおありの読者は、「ドクター康仁 ○○」の○の部分にそれぞれを入れて検索し、ご参照ください。<o:p></o:p>

 

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2014年7月3日(木)<o:p></o:p>